青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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古い家

午前午後と打ち合わせがあり時間を取られる。合間に現場へ行き色々指示する。電気配線や壁の下地を大工に指示して電気屋が来たら工事させる。 
 
どう言う訳か一日のうちに色々な仕事の注文が来たりする。半年も何もなかったりもする。何の加減なのか来る時はまとめて来るようだ。広告もあってブログの閲覧数も増えてそれらの影響もあるかもしれない。とにかく不思議なものだ。 
 
閲覧数は昨年8月以来増え続け倍増している。前月を上回るのがずっと続いている。少しずつでも上回り続けるとあっという間にすごい数になる。読んでもらえるのはありがたいことで感謝感謝である。 
 
増える一方のインバウンドであるが古民家の人気が上がっている。旅館なら古いほど好まれたりする。外国人が日本に住む場合に古民家風が好まれるようだ。京都など古い街並みが残るところは売りの一つになっている。 
 
外的要因で古民家が増えるならそれらをきっかけに住んで見ようとする方もでる。少しこだわったインテリアとしては前から流行っている。実際にそう言うところに住む方もいるに違いない。中古住宅を買って古民家風にリフォームするのが流行るかもしれない。 
 
建材とビニールクロスは増えすぎて目新しさがなくなった。どう変えても所詮建材は建材だ。割れたりしても本物は本物でかなり違いが際立つ。特に曲がりとか大黒はインパクトが大きいようだ。それらは買うにもどこにも売っていない。 
 
当社は山から出して製材在庫している。そうする以外に手に入れる方法がないからだ。リフォームでそれらを使っただけでかなり劇的な変化を楽しめる。古民家リフォームの売りなのだが。CIMG6377


木のデザイン

今日は雨の予報が晴れてきた。少し遠くの製材所へ羽目板の加工を依頼していて引き取り予定日だ。もちろん雨では無理だが晴れていたので行くことにした。片道約1時間半、往復で3時間である。積み込んで色々喋ったりしていると時間がかかる。 
 
作業場へ戻りすぐおろして昼食。午後から現場へ行くと外部塗装が終わっている。雨に当たって一日仕事ができた日が少ない。なんだかんで1週間もかかった。これから内部塗装がある。 
 
今日は大工が一人で現場作業。息子は作業場で加工している。これから腰板や付け柱をする。最後に下駄箱やカウンターを取り付けする。その材料を加工しないとならない。建材と違って加工と言う作業がある。 
 
これがあるから当社の売りの一つであるこだわりの木が使える。カウンターはどうしようかとか下駄箱の天板はとか在庫の中から見繕って行く。ここで既製品にはないユニークなものとか本物の迫力などが出る。 
 
これがなかったら当社の面白さの半分も出て来ない。そのために色々な木を買い込んで製材し在庫する。その在庫を挽き直して現場のデザインにする。そこが他社にないユニークなところだと思っている。 
 
挽きなおすと言っても乾燥した目の良いものが必要だ。割れたり腐っているのは問題外で挽き直しても使えないのも出る。そこが面白いところであり難しいところだ。上手くいくとは限らないからだ。しかしそこが当社のウリだし必要条件なのだ。CIMG6373


職人の手間賃

夕方からまた湿っぽくなって来る。現場では塗装屋が今日は他所へ行って来ない。大工が午前中現場で午後から作業場へ。私も作業場周辺の草刈りをする。道路はだいぶ伸びて何しろ作業場は広いので時間がかかる。すっかり汗をかいて昼に戻って着替えた。 
 
気温も上がって初夏らしくなってきた。いつもこの季節になると大工が不足して来る。お盆前引き渡しの現場が始まるからだ。5月から6月にかけていつもそうなってしまう。フリーの大工は上棟の手伝いに駆り出される。 
 
上棟の時だけはいつものメンバーだけでなく集めないとできない。ほんの2,3日なのだがとにかく人手がいる。お互いに貸しあいっこして当社の大工も2,3日抜ける。昔からの習慣で貸さないと貸してもらえない。 
 
今引き渡した現場も寄せ集めのメンバーが6人いた。その代わり彼らの上棟の時はこちらも貸していやる。上棟はプレカットの現場であっても4,5人は必要だ。雨に濡らしたくないとか大きな梁を組むのに人手がいる。 
 
そのフリーのメンバーが少しずつ減ってきた。同じところに落ち着くのが増えた。手間賃は安いが安定してもらえる。フリーは空きが出たりして日程調整が難しい。空いた時にすぐ戻れるところがあれば安定する。 
 
職人の世界はサラリーマンには理解できない世界でもある。自分で保険をかけ税金も自己申告する。車や道具も自分持ちだし車の油代も出ない。片道1時間以上の現場もたまにあるが経費はかなりかかる。もちろん手間賃は変わらない。 
 
怪我をしたりすると休業補償もないから結婚も難しくなる。大手の下請けでは怪我をするとすぐ休まされる。労災事故は現場が遅れたり負担金が増えたりする。だからはした金で休ませる。 
 
当社では手間賃は相場で最高金額を出しているが休業補償まではできない。油代を出すとか道具も会社持ちにしたりしたい。したいのだがその前提は利益があることだからなかなかできない。安くと言うのが業界の流行りなのでできない場合が多い。CIMG6372


柿渋と松煙

朝から晴れたのは何日ぶりだろうか。ほぼ快晴の一日。事務所のサツキも咲き始め今週が見頃か。手入れが悪いのかレンギョウツツジもサラサドウダンも余り花をつけない。ハナミズキは年ごとに咲いたり咲かなかったり。今年は余り咲かなかった。 
 
現場は今とばかりに外部塗装に力が入る。一回目は済んだので2回目の仕上げになる。今日で半分は終わる。これが済むと外部は完成になる。雨樋の交換くらいだろうか残るのは。 
 
大工は二階と和室の天井を貼る。和室は白太の幅広、二階は幅の狭い短い板を貼る。どちらも杉だが作ったところが違う。ネットで買った島根の杉は幅が広く品質が良い。二階は幅が狭く白太と赤みが半々。 
 
クリア塗装だと赤白の源平は気にする方がいる。ごちゃごちゃした印象がある。もっとも4,5年もすると日焼けして同じ色になる。これを防ぐには着色塗装をすると良い。今回は柿渋に松煙で黒っぽく仕上げる。古民家風にする。 
 
これまで新築リフォーム合わせて着色した例は少ない。個人的には着色した方がメリハリがあって綺麗だと思う。まあ個人の好みなのであれだがクリア塗装は印象が薄い。だんだん黒くなって来るが時間がかかる。着色はいきなり古くなると言うことだ。 
 
柿渋仕上げは何度も経験がある。塗った当初は無色だが一月もすると赤っぽく焼けたように変わる。もっと黒っぽくするには松煙を混ぜるのが普通だ。いわゆる昔の黒塀はこれで仕上げる。松煙をいっぱい入れると真っ黒になる。ここは手加減で古臭く感じる程度に留める。CIMG6370


職人の良心

もう何日も続く雨。外部の塗装屋が毎日半端で進まない。明日からは晴れそうだ。外部は塗装が済むとほぼ終わりで雨樋の交換が残るのみだ。外壁がやっと一部二回目に入る。 
 
今日から大工が一人抜けて二人になる。仕上げ工事が佳境に入り進行速度が落ちて来る。いわゆる見える部分になるので丁寧にやらないといけない。下地の時は見えなくなるので多少は早くできる。仕上げはそのまま出て来るからキッチリと丁寧な仕事が要求される。 
 
不景気とは言いながら職人は大忙しだ。深刻な職人不足で現場を取るより大工探しが大変だ。足りないのは大工だけでなくあらゆる職種で言える。仕事探しで苦労した職人と言うのは今は昔で職人でさえあれば誰でも良い。と言うのは言いすぎでとにかく足りない。 
 
今は絶好調の宮大工たちも職人不足で工期が守れず苦労をしている。当社のようなところにも声がかかる。競争に敗れて潰れかかったところも勝ち組の下請けに廻って忙しい。余っているのは営業と設計事務所くらいのものだろう。 
 
かく言う当社も8月以降はあまり忙しくない。大工たちはそれぞれバラバラにどこかに出稼ぎに行く。現場は出てきたらまたチームを再編成する。フリーの一人親方を集めてその都度チームを組む。 
 
昔に比べて職人が一人前になるのに時間がかからなくなった。電動工具やプレカットの普及で誰でもとは言いすぎだが簡単になった。大工もノミカンナはほぼ要らず丸ノコと電ドルが主力だ。機械化は逆に工具代がかかると言う面もある。 
 
これだけ不足しているのに手間代は余り上がらない。零細工務店が下請け専門になり大手の圧力で手間代を値切られる。大工工務店が元請けをした時代は手間も高くのんびりした仕事だった。それが今では目の前にぶら下がったニンジンめがけてスピードだけが命だ。 
 
全部の工賃が決められているので競争で早く終わることしか頭にない。とにかく早く早くと競馬の馬のごとくこき使われている。総額が決められているので遅れると相対的な工賃が下がってしまう。CIMG6364