青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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大工最後の踏ん張り

昨日今日と大工の最終に入って現場は忙しい。配達も現場打ち合わせも頻繁で昼食もままならない。それもあと2,3日で終わる。大工が今週で目処がつきそうで週末から塗装も入る。いよいよ塗装漆喰と最後の仕上げになる。 
 
あちこち材料の仕入れで製材所を回る。欲しい寸法がなかったり値段を交渉したりすごく時間がかかる。しかもうまくいって当たり前でお施主様に気に入られたら良いが逆は大変だ。昨日もカウンターの栗が気に入らなくて今日も探し回るハメになった。 
 
大工の終わりの頃が一番大変で難しいところが最後の残るので悩みは尽きない。材料が揃わなかったり加工が難しくてできなかったり色々苦労がある。職人を叱咤激励して何とかやらせるがうまくいかない。 
 
画竜点睛ではないが最後でしくじったら終わりだ。手直しもできないし工程が詰まっているので時間がない。次の塗装も漆喰も工期が押されてブツブツ言われる。何とか待ってもらって大工のケツをひっぱたく。 
 
大概最後になるのは階段と家具が多い。今回はヒバの下駄箱もあってまだ加工中だ。何とか今週中にでかしてもらわないと後の職人たちに怒られる。 
 
いつも工期が遅れてお施主様に怒られることが多い。間に合わないから端折ってといかないところが歯がゆい。当社の大工は遅くてもやることはきちんとやるタイプが多いので尚更だ。特に棟梁である息子が典型的な遅型だ。 
 
何のかんの言っても今週で大工は終わる。昨年8月から足掛け8ヶ月。これまで例のない期間になった。もう嫌になる程通って途方も無い手間暇をかけてきた。これでできが悪かったら大工を続ける気力も失せようと言うものだ。CIMG5934CIMG5939


大工手間

第二土曜日に当たるので休みの業者もある。材料屋とかほとんど休みなので大工だけがピッチを上げる。応援の大工たちに手摺付けとか少々難しいことをやらせて苦労している。欅の階段手すりは加工も取り付けも慣れないととてもできない。 
 
ベテランの大工でも柱に穴を掘り手摺りをつけるのは面倒だ。挙句に下手なのは隠しようもないからさらに緊張する。ボード張りとか下地作りなら気楽にできるのに割に合わないと思っているかもしれない。所詮応援なのだから難しいことをやらせなくともと思ったが。 
 
大工は来週で終わりになる予定だがこれからの仕事が手間がかかるのが多い。キッチンは何とかできそうだが下駄箱がまだかかる。やっと修正挽きから作業場へ持ち込んだ。来週加工をして取り付ける。加工に1日取り付けに2日といったところか。 
 
とにかく手間暇がかかるように作っているから大工が8ヶ月もかかってしまった。住宅で3ヶ月でも長い方なのに8ヶ月は初めてだ。人数が少なかったのが原因なのだが作り方の問題もある。馬鹿の一つ覚えじゃあるまいしサッサと終わらせたら良いのに思うことも度々だ。 
 
大工に言わせると設計が面倒臭いからだと言うが。特別凝ったつもりはないがキッチリと作り込みたかった。正直言うと材木と大工手間が一番かかっているとは思っている。逆に言うと良い家は良い材料と十分な大工手間が必要条件になる。 
 
その他の職種はいつも通りの見積もりだし特別に凝ったものはない。なのにこんなにかかるのはひとえに大工手間をかけたからだ。経営的には問題はあるのだろうがかかったものは仕様がないと思っている。CIMG5929


漆喰塗り

今日も現場は混雑が続く。大工、塗装、電気、左官と車が溢れる。大工が目処がついたので次は漆喰がいつできるかになる。いつもの左官屋は3人の職人がいる。普通に考えれば3週間以上かかる。もう一人くらい見つけると少しは早くなる。左官屋と打ち合わせたがそこがポイントだった。 
 
漆喰は下塗りと仕上げの2種類を塗るのが普通だ。下塗りのモルタルは灰色で石膏モルタルなのでセメントほど硬くはない。下塗りは平面を鳴らす意味がある。均した上でないと漆喰は塗れない。手のひらくらいの漆喰で畳一枚分は塗れる。その薄さは1ミリくらいと言われる。 
 
昔ならいざ知らず漆喰はそう現場が出ない。職人は普段は床モルタルの仕上げなどが主で本格的な漆喰は珍しい。年配の職人で熟練者でないと思うようにできない。漆喰は一発勝負なので技術の面で難易度が高い。 
 
消石灰に海藻やスサを混ぜて混合する。今は調合された漆喰を使うのが多い。職人は塗り方とこね方に分かれこね方は塗る時間に合わせ練って手元まで運ぶ。結構な力仕事で足場があると上り下りで相当苦労する。夫婦で壁を塗る職人がいて奥さんがバケツを持って上がり下りをしていた。 
 
後継がいない典型的な職種で漆喰までできるのは稀だ。せいぜいコンクリート打ちのなで方しかできない。そもそも漆喰塗りの住宅は激減したから仕事がないも同然だ。何とか残したい技術なのだが修行も時間がかかるしそのうち誰もできなくなるに違いない。


仕上げ方

今日も大工、塗装、電気、給排水…..業者がいっぱい。コンセントがつかない、給水管がはみ出る。板が割れて使えない。…..もう問題だらけです。あっちでに電話、こっちに引き取りで大忙しです。今頃の現場はいつもそうなのですが。 
 
よせば良いのにカップボードを手作りすることにした。材料の天板がないのに決めたから探すのに苦労する。何箇所か電話しまくりどうにか目処がついだ。欅なら在庫があったにもかかわらず栗で作りたくなった。お施主様も栗の提案に満足してもらったし後には引けない。 
 
本当に良い家を作るには設計もだが最終の仕上げがモノを言う。材質や仕上げ方、そしてもちろんデザインの設計。同じ腰板でも部屋によって材質や同じ材質でも木目で変える。杉の板張りでも柾目と板目、赤身と白太。揃えるだけでだいぶ印象が違ってくる。 
 
材料を買うときに多めに買って揃えるのだが残り物がひどくなる。だから部屋によって見えない部分とか板を揃えるようにする。大工も心得たもので言われなくともやるべきことはきちんとやる。そう言うところが最後にきちんとした家になる原因だ。 
 
見学会で客がどこがとわからなくても全体にしっかりした感じはわかる。ここが違うとわからなくても他所と少し違うとわかるのだ。板の貼り方とか小さなことの違いだ。そう言うポイントはいくつかあって常に気を配っている。パッと見の派手なデザインとは違う一味の違いだ。 
 
一番わかりにくい手法で建てているが一般受けしないやり方かもしれない。コンテストやそう言った類のものにも縁がない。しかし住んでお施主様がわかればそれで良いと思っている。別に負け惜しみではなく見た目と住んで良いものは少し違うと思っているからだ。CIMG5932


キッチン

昨夜のみぞれが雪に変わり少しだけ積もった。朝一番で運ぶ荷物があって現場へ持っていく。すぐ作業場へ戻り材木を探しに製材所へ。在庫が切れていて他所から買うことになった。なんだかんで昼までかかって昼食に自宅に戻る。すぐ作業場へ打ち合わせに行く。そのまま現場へ行ってキッチン製作にあれこれ手伝う。 
 
仕上げの域になるといつも忙しい。細々と指示する箇所があってこちらも気になってつい現場に張り付くことになる。今回はキッチンも作るので材料の手配から寸法の確認までこちらも気が抜けない。IHヒーターや水栓、排水、もちろん高さや寸法と全てこちらで指示しないと製作できない。 
 
既成のキッチンなら何も知らなくても勝手に組み立てる。IHヒーターが入らないとか配線スペースがないとかなんでもお任せでできる。自分で製作するすべての寸法が把握できないと作れない。ヒーターを埋め込むのにいくらの穴があって深さはいくらで電気はどこから結線するか。 
 
その前にお施主様の希望高さとか寸法が決まらないと作れない。その寸法も既成のように選ぶのではなく自分の好きな寸法でできる。好きな寸法と言っても使い勝手などは主婦の方でないとわからない。いや主婦により様々で個性がある。 
 
それらを把握しながらなおかつデザインや使用感を考えていく。多少慣れが必要で経験がないとあちこち問題だらけになってしまう。過去には家具屋とか建具屋に作らせたが細部の作り込みはいいのだが全体が綺麗に行かない。 
 
職人独特のこだわりや癖があって全体のバランスとかデザイン的なものはうまくない。結局箱を作るのは大工でもできるし引き出しや建具は専門家に任せる。どんな板を使ってどう作るかはこちらのセンスでできるからその方が上手くいく。 
 
こう言うことは何度か経験を積んでわかることばかりだ。コストも含め何を使って誰に作らせるかが大事なことだ。前からやっているのに上手くできるようになったのはかなり後のことだ。これも一種のノウハウでもある。CIMG5928