青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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職人を継ぐ

今日は珍しく冷たい雨。外部の工事は中止で大工が5人で仕上げを急ピッチ。新しくきた大工は親子。と言うことは現場は私のところとふた組の親子が働いている。今週中にめどをつけようと大工も最終の仕上げに精を出す。 
 
実は応援の大工は建て方の時も2日ほど来てもらっている。その後市内の小学校の現場へ行っていたが終わって次までが空いた。で、急遽手伝いにきてもらったと言うことだ。こちらもピッチを上げたいと思っていたいところで助かった。 
 
何かと職人不足の折で親子となると珍しい。4,5日前まで来ていた大工もここへは来なかったが息子が大工だそうだ。親子で職人は昔は普通だった。近頃は親が継ぐのを勧めないのが増えた。安定しないとか安いとかまあ様々だ。 
 
私の同級生たちは中学卒業後職人の道を選ぶのは大勢いた。親の仕事と言うことでなくとも多かった。手に職とか地元で働けると言うのが普通だった。その年代の親が子に職人の道を勧めないのがけっこういる。 
 
自分が中卒で職人以外の世界を知らずに一生を終わることに疑念があるのだろうか。同級生と話して感じるのだがサラリーマンのように安定した職業に強い憧れを抱いている。言い過ぎかもしれないが気楽に稼げると勘違いしている部分もある。 
 
サラリーマンも経験したので自営や職人とどちらが気楽とか思わない。どの道も厳しいし向き不向きはあっても気楽なものはない。特に職人だけが損をしているとも思えないしサラリーマンだって相当きつい。肉体的に楽とか精神的にはハードな部分があるのを職人しか知らないものは分かっていない。 
  
親が職人で子が公務員とかになっても口の利き方から付き合いのノウハウはほとんどない。だから鬱になって休んだりかなりいる。親も家内も娘も公務員なのでそう言う類の話はよく聞く。親の育て方の影響は相当あって子は親の仕草とか口の利き方を学んでいる。 
 
そう言う意味で職人を継ぐのは子にとっても良いことだと思う。トラックとか作業場とか道具まで引き継げるなら助かるだろう。さらに親が教えることができるなら最高だろうと思う。他の道を勧めても子がついてい行けないなら不幸なことだ。その後職人として継ぐのもまた多い。
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塗装

今日も現場は大にぎわい。大工、板金、塗装、煙突工事と車は溢れ建物内には人が溢れる。仕上げ工事が近くなると大工仕事が急ピッチで仕上がる。午前と午後では見た目がだいぶ変わる。塗装と板金は外部だが薪ストーブの煙突が内部も半分ほど仕上がる。
 
外部塗装はほぼ終わりコーキングとか細部の仕上げになる。来週後半には内部塗装も始まる。次は漆喰になるがこれが時間がかかる。しかも硬化の時間がもあってすぐ器具付けができない。内部はクリアのニス仕上げになる。 
 
昔の鉄道の車内の木部仕上げはニスだった。時間の経過と重ね塗りで飴色になって風格がある。早く乾くラッカーやウレタンが主流だがニスも根強い人気がある。価格が比較的安いのとアルコールの揮発で仕上げるのでシンナーを使わない。 
 
今は水性ウレタンも出て学校とかは指定になっている。夏ならいいが乾くのにすごく時間がかかってコスト的に高くつく。いずれ現場でシンナーが使われなくなるのはすぐだろう。働く職人たちのためにも良いことだのだろうが。 
 
大工たちは階段や腰板に取り掛かり今週中でいいところまで行きそうだ。4人体制で一人がキッチンの製作に取り掛かる。うまくいけば今週で大所は終わり補修とか家具だけが残る。息子ともう一人が階段や家具の専門で残りが板貼りになる。 
 
お施主様にも来月中の完成を言われており結構気にはしている。気にしているなんて悠長なことを言っている場合ではないがだからと言って端折る気もない。いつものやり方で一生懸命やるだけだ。CIMG5910


漆喰

朝から現場へ行く。今日は他所へ手伝いに行って3人しか来ない。いきなり前の日に通告だからどうしようもない。強制的に引き留めることもできない。その代わり他所にいる大工にも声をかけたりできる。お互い様ということだ。 
 
第二土曜日なので休みの業者が多い。もちろん建材店とか材料屋も同じだ。親子でやっている建具屋のところへ寄り打ち合わせ。こちらの希望とお施主様の要望を伝えて材料とかの調整をする。材料がないのに注文を受けたりするすると困るからだ。 
 
なんだかんだと人手不足と言いながらどこも忙しい割には儲からないとこぼす。私のような元請け業者は仕事そのものが減っている。代わりの業者が繁盛しているってことだが職人の側から見れば仕事がどこから来るかの違いだ。引退する職人が出て消化しきれないところもあるのだ。 
 
今の現場は大工がもう少しで目処がつく。その後は塗装をして漆喰になる。漆喰が済めば一斉に仕上げになる。つまり完成する。肝心の漆喰がいつになるかまだ連絡がこない。貴重な左官職人はもちろん激減で多分集めるのに苦労しているだろう。 
 
以前の現場で左官を岩手の業者に頼んだら岩手県北から集まってきた。そのくらい職人がいないのでかなり遠くまで声をかけるらしい。ここの現場は最低4,5人いないと一ヶ月以上かかる。それでは話にならないからなんとか5,6人集めてくれと言ってはある。 
 
左官は修業もかかるし教えるのも少ないから今後も激減は変わらない。一人でやっているのもかなりいるが集めるのも大変だ。一人の気楽さに慣れて組みたがらない。全て漆喰の家は手刻み以上に難しくなるだろう。CIMG5901


外部塗装

朝一番で板金屋と樋のことで打ち合わせ。サンプルを借りて現場でお施主様と打ち合わせ。午後は事務所で図面作成。細部の打ち合わせが続き終わったらすぐ図面にしておかないといけない。現場は大工と塗装が入る。塗装はあと2,三日で終わる。 
 
板張りの場合の塗装は難しい。木目も何もペンキを塗るようにはできない。木目を生かしながらしかも自然に見えるようにしないといけない。過去には塗装ではなく焼き杉とか無塗装とか色々やった。何れにしても建材の塗装ほど保ちは良くない。 
 
展示場は焼き杉の無塗装だ。すっかり炭も取れて板の色も変色して古びてしまった。これをクレームととるか自然で良いととるかだ。いわゆる塗料を塗る塗装でない方法は様々ある。どれも劣化の具合は早くてすぐ古びた感じになる。 
 
塗装は基本的に木部の表面に膜を作る。この膜が破れると劣化が始まり一気に全部取れないので汚くなる。膜を作らない表面を変色させるような塗料は初めから古びて見えるのであまり変化はない。焼き杉は表面の炭の粉が取れるとそのまま生地がむき出しになる。だからすぐ劣化する。 
 
塗料を塗るといずれ劣化が始まり部分的に取れるので汚くなる。結局10年もしないうちに塗り直したくなる。建材に塗るペンキと同じ感覚で塗り直すと段々色が濃くなり木目が消える。アメリカの住宅のペンキのように下地が木なのか何なのかわからなくなる。 
 
何も塗らない方もいて4,5年は変色が激しいので気になる。いつしか全部灰色になるとそれはそれで風格が出て悪くはない。いえ、私が思うだけですが。板張りか建材のサイディング張りかはそこのところがはっきりしないと決められない。すぐの劣化が嫌か長期的に張り替えをするの嫌かの違いだ。CIMG5905


雨樋

やっと大工の応援が来て今日から賑やかになった。人数分の材料を加工するのに息子と二人がかりでないと追いつかない。そうでなくては現場は進まないのだから当たり前だが。外部も塗装は半分ほど終わって今週中にはなんとかなりそうだ。 
 
朝は雨樋の打ち合わせで板金屋が来る。本屋は破風が付いているので普通の金具だが下屋は垂木現しだ。持ち出しの金具をつける。瓦と雨樋の相性は非常に悪い。瓦は雨の強さで巻き込むように雨が落ちる。つまり樋に入らない。 
 
強くなると段々と向きが変わり遠くに飛ぶ。半丸の樋だと幅が150ミリ以上ないとうまく落ちない。雪国では落雪で樋が壊れる。なのであまり前に出したくない。それに瓦は形状から集中して落ちるので雨脚が強くなると遠くまで飛ぶ。 
 
京都などでは樋はつけないのが多い。見た目や家の保ちの問題だろう。別に落ちるところに石や瓦で跳ね返りの樋状のものを作る。この方が風情もあって見た目もよろしい。 
 
素材も銅が一番だが柔らかいのですぐ曲がる。展示場も銅製だが最初の雪で曲がって垂れた。直してもすぐ壊れるのでそのままになっている。ただ下が跳ね返りで汚れるので余った瓦を並べている。 
 
工事中も足場に雨が跳ね返って外壁が濡れて汚れて来る。外部が板の場合は塗装前に色が変わって来るので困る。塗装が済み次第すぐに取り付けをしないとならない。しかも垂木に横付けするタイプは特殊なので納期もかかる。CIMG5899