青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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床貼り

いくらか気温が下がり晴れても寒い。現場は大工と電気が入っていつも通り。午前中は現場で打ち合わせをした。大工にはフローリングの貼り方に不備がありやり直す。電気工事は二階の配線工事が終了し壁を張れるようになった。 
 
一階は床貼りの準備の柱等の欠き取りをした。これはフローリングを貼っていくと柱のところで突きつけになて隙間が空く。柱を少し削って入れ込むようにする。真壁の場合は常識なのだが大壁だとボードを張って隠すのでいらない。 
 
前にも書いたようにボードを張る時も巾木に差し込むように貼る。大壁だと柱の上にボードを張ってから巾木をペタンとはる。簡単なのだが後で床の歪みで隙間が出てしまう。高気密住宅などでは隙間風になるのでコーキングをしたりする。 
 
先付けの巾木は床に直接ビス留めするから隙間が開かない。材料と手間がかかるが長い目で見ればしっかりした家になる。無垢材のフローリングはほとんどの場合下地を作って貼る。床垂木に留めたのは昔の話で床の剛性を高める意味もあってネダレスが普及した。 
 
ネットでネダレス合板は床垂木より弱いのではと言うのがあった。単純に上からの荷重を支える意味では正しいが水平荷重には弱い。無垢材のフローリングを使用すると普通は繋いであるユニ方式なので途中に継ぎ目が出る。継ぎ目は一定のところではなくランダムだ。 
 
となるとどこで弱い継ぎ目が来るかわからないから合板下地の方が良い。以前にどうしても合板下地が嫌だと言うお施主様がいて床垂木を15センチピッチで入れたことがあった。それにしても継ぎ目が垂木の上に来ないところが出てしまう。 
 
同じ無垢でも繋がないフローリングなら問題ない。しかし針葉樹なら良いとして広葉樹はそんな長い材料は取れない。結局は繋ぐよりないので下地が合板が有利だ。昔は床材はマツとか杉などを板にして敷くのが当たり前だった。 
 
仕上げ材として木目の綺麗な広葉樹を使うようになってきた。2mとか長く一枚板を取れない広葉樹は繋ぐよりない。繋がないものは多分宝石のような金額になるに違いない。昔の豪邸などで桜の一枚板のフローリングを使うのを見たことがある。一個人の住宅には到底ありえないことになってしまった。CIMG5794


逃げ出す大工

昨日よりも気温が上がり時折小雨が降る。現場も外部が終わって内部の仕上げになる。これからは毎日が気が抜けなくなる。仕上げのために下地を入れたり張る材料を用意したりする。棚やパイプをつけるところは下地がないときでない。 
 
階段の手すりを少しつけたら息子は和室の床にかかる。何とも中途半端な気がするが職人は独特だ。合理的とは言えないタイプが多くて何を考えているかわからない時がある。聞けば単なる気まぐれとか多い。 
 
仕上げの状況によってはボードを張る前にやることがある。腰板を張るのか漆喰だけか板張りなのかによって違う入れ方をする。毎日のように打ち合わせをしないとだめだ。こまめに指示することが大事でうっかりミスは後でやり直しなので大変だ。 
 
大工は棟梁かどうかでやる仕事が決まっている。腕の問題でなく階段とか内法をつけるとか和室を作るとかは棟梁の仕事だ。他の大工はほぼ手を出さない。自分から志願してくるのもいない。どうしても追いつかな時にはやることもある。 
 
過去何組かの大工を使ってみていずれもそんな感じだった。年上とか年季が古いとかではない。肝心なところは棟梁の仕事って訳だ。応援とか使われている大工とかはそう言う立場にないからボード張りとか下地作りになる。 
 
お施主様は大工は似たような腕をしていると思っている。個人によってあってできるのにどうでもいい仕事ばかりやるのもいる。逆に出来もしないのに威張りたくて請け負うのもいて途中で投げ出したのもいた。選手交代なんて野球じゃあるまいし。 
 
手刻みとか現しの現場は思ったより難しい。やり慣れていないと時間ばかり過ぎて焦ってしまう。赤字になると分かればさっさ逃げ出してしまう。とんでもないことだが当社のような現場ではよくある。巷に溢れる大工たちも使い物にならないのが大勢いるってことだ。CIMG5859


アフター

今日は昨日よりは曇りがちだが暖かい。夕方にかけ気温が下がり雪になる。現場は今日でやっと外部工事が終了し明日から中のボード貼りになる。次は外部塗装で先日色をお施主様と決めてある。天気を見ながら塗っていく。終わればすぐ雨樋をつける。 
 
階段の手すりにかかる。たった手すりを1本つけただけで階段が生き生きしてくる。やはり階段は手すりや腰板で決まる。今回は欅だけで造る。赤松や栓、栗なども造ったことがある。欅の風格とか木目の美しさは格別だ。 
 
昔木の加工業者に欅が大好きと言うのがいた。当時わたしは木の家に取り掛かり始めであまり詳しくなかった。だから加工屋は木の師匠のような存在だった。木の種類や加工の仕方、クセ、価格や入手先まで何でも教えてもらった。 
 
付き合い始めて10年ほどで一端の木の家つくりの業者になった。建てるところまでは知識が溜まってもその後のアフターやトラブルまでは知らなかった。加工屋とてそこまでは知らないし知っていても言うはずがない。 
 
かくてわたしはアフターやクレームで難儀することになる。無垢材にこだわれば狂ったり割れるのは仕方がない。承知で始めたのだが建てるたびに増え続けるアフターが重荷になってくる。もちろん少しずつ建材や乾燥した材木を使うなど対策は練った。 
 
基本的には無垢材と漆喰の家だからどこかがおかしくなる。あるいはなる確率がプレカットなどに比べると格段に多い。肝心なのは施主様にそのことを納得した上で建てることだ。後で割れるかもしれないがどうするかと言うことだ。乾燥機に入れたりネットの出来合いを探したりする。 
 
ネットの出来合いは建材ではなく無垢材なのだがマイナー中小業者なので品質や追加などの融通が効かないとか不便さはある。サンプルを見るのだが実物が少し違うとかあった。やはり加工業者のような顔を見ながらの安心感はない。 
 
建材店なども無垢材のメーカーを扱い始めたり時代は無垢材にも便利になってきた。しかし加工業者に頼むような自由自在なこだわりはできなくなった。しかも業者の廃業が増えたきた。これからの木の家は以前に比べ格段に難しくなってくる。当社には木の家に必要な3要素のうち大工の技術だけは残っている。CIMG5852


障害物レース

午前中はお施主様と打ち合わせ。ご夫婦でキッチン、収納など現場で打ち合わせ。外壁の色とか内部建具まで話が及んで細部のデザインの変更などがありそうだ。こちらが意図していることがお施主様には好まれなかったり違和感があることがある。 
 
わたしはできるだけ現場で打ち合わせをするようにしている。高さとか奥行きとか3次元のことは現場に行くに限る。概略の大きさとか自分の思い違いとかよくわかるものだ。豪快なイメージを意図したのに奥様から違和感を指摘されたりする。 
 
こちらはプロだからと押し付けるつもりはない。ないがイメージは持って進めている。設計者なのだから当たり前だ。それが往々にして建て主様と食い違うことがある。何度も経験したプロと素人は違って当たり前だろう。 
 
金をもらってお施主様の夢を実現するのがプロなのだから独りよがりはダメだ。デザインとかイメージが違うと思っても言い分は聞かないとならない。じっくり待って意見を聞いてからこちらの言い分を通す。最終的にできたものの責任はこちらにある。 
 
いくら施主様の言うことだからと言っても何でもハイハイと聞けば良いと言うものではない。仕上がりイメージがどうなるかをしっかり説明しないといけない。その上で希望するなら他の部分でカバーできるものは努力する。 
 
設計は障害物レースのようなものだ。お施主様を障害物だなんて失礼だが。こちらが進もうとする方向がよくズレる。お施主様の言うことだから無視はできない。できないが最終責任はこちらなのだから何とかして進むべき方向に誘導する。 
 
現場が最終局面に入ると仕上がりでいつも揉め事が出てくる。胃が痛くなる毎日が続く。そして考え続けて良い案が出ると舞あがるほど嬉しくなる。そしてもちろん施主様に喜んでもらえればもっと嬉しい。


巾木

雪だったのが午後になると雨に変わる。気温も上がって厳しさも緩む。午前中は事務所で図面、午後からカタログ集めでショールームへ。その後現場へより戻る。大工は内部の床の巾木をつけた。当社はボードを張る前に溝のついた厚板を床に張る。 
 
通常はボードを張ってから上にかぶせるように板を張る。これだと床の不陸(水平でないこと)を拾って隙間ができる。あらかじめ床に上からビス留めすることで不陸をカバーする。同時に高さも11センチもあって既製品の倍はある。こう言ったところで見た目がだいぶ変わってくる。 
 
一階の場合は大きな巾木と二階の胴差に挟まれてキッチリとした仕上げになる。もちろん後で床が波打って隙間が空くなんてことはなくなる。長期的に見れば大きな意味がある。 
 
初めてこのやり方を知った時は大げさに言うと家つくりの概念がひっくり返るようだった。柱を隠してボードを張ってその上から印刷した紙製の巾木をノリでつける。何年かすると床が波打って巾木との隙間ができてくる。暖房をしたり換気をすると隙間風が吹いて寒々とする。 
 
キチンと作られた家は変なところから隙間風が吹くなんてことはない。当社の現場を最初に見た方はどこが違うか良くわからなくてもしっかりした印象を受けると言う。それは巾木とか天井が二階床の裏とか変に隠したりしないからだ。現しの現場はどんな些細なところでもしっかりと作り込まれている。CIMG5841