青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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ささら

昨日は現場や何やかやで忙しくブログを書けなかった。で、朝書いている。午前中は現場で打ち合わせ後業者との打ち合わせが急に入って戻った。昼食後製材所へ修正挽きの残材を引き取りに行った。修理に出したチェンソーで切ってトラックに満載した。その後また現場へ戻りお施主様と打ち合わせ。残材を下ろしたらもう7時過ぎ。 
 
現場は鎧張りのささらを付けている。板張りはすぐだがささら付けは時間がかかる。段々に斜めにカットしたものを付けるだけなのだがうまく合わない。板の厚みや貼るときにの重ね寸法や簡単に合わないのだ。45センチピッチでグルっと外壁に付ける。 
 
下地の板の厚みや出入りなどで平らになっていないと上手く行かない。そもそも柱自体がまっすぐで平行でないとダメだ。素人は外壁はまっすぐ貼っていると思いがちだ。しかし現実はかなり出入りがある。糸を張って見るとすぐわかる。別に手抜きや下手なのではなくどうしてもなる。 
 
その歪みが板を張ると出入りや上下に出てくる。ささらは板の重なり成りに斜めに切ってある。それがピタッと板につかないと見苦しい。そこで大工は一山ごとに削ったり切ったりして合わせる。合計90本近く削ったり切ったりを繰り返す。一人が一日がかりで4,5本しかできない。 
 
こう言う作業に大工の性格が出てくる。きっちりとやるタイプは一心不乱にやる。粗末なタイプは隙間だらけを平気で作る。別に雨が漏るとか耐久性に影響するとはかない。見た目だけだ。息子がきっちりタイプの典型なので皆が合わせる。で、いつまでたっても終わらないってことになる。 
 
昔の家、古民家に限らずなんでも手間暇がかかるものが多い。人件費が安かったからとか建材が普及していなかったとかあると思う。そう言う時間とか経費とか効率一辺倒の家つくりとは一線を画すのが昔の家つくりだ。手間暇をかけたからと言って素人目にはわからないかと思う。しかし住んでいる方には少しずつわかってくる。 
 
手抜きや省略はすぐわからないのが普通だ。クレームになってやり直しになるからだ。10年とか時間の経過で他と違うのがわかってくる。そんな先のことより近場の利益と言うのが世の流れだ。現場監督が念仏のように”早く早く”と唱えるから大工たちもいかにスピードアップするか夢中になる。割りを食うのは施主で安いから良いかと納得するのだろうか。CIMG5750


羽目板

朝から羽目板の引き取りに行く。初めての取引でとりあえず今の現場で使う。軒裏に使うのだがまだ内装がある。加工の仕方が各種あって今回は目地が小さいタイプを買った。 
 
工場本社へ行ってから別なところにある加工工場へ行った。以前に社長と一度行ったことがあった。なんとか思い出しながら着いた。もちろん注文の羽目板はできていてすぐ積み込む。工場の方に在庫の板や仕掛品などを見せてもらう。 
 
こちらの製材所は中央の問屋に一定の材木だけを作って売っている。品種を決めて特化しているわけだ。その過程で出た節のない板を溜めて羽目板に加工する。選んであるから無節だけで値段も安い。 
 
地元にあった加工屋も次々と廃業し少し遠くまで行かないと加工できない。今は片道2時間かけて持ち込んだり引き取る。今度は少し近くなって小一時間ほどでいける。 
 
今まではネットで買うこともあって価格も運賃込みになると安くない。今度からは引き取るから運賃は発生しない。そのぶん安くなるからコスト的には有利だ。しかもモノも悪くない。他社は節なしはほとんど白太で割れやすく厚みもない。しかも出来幅も12センチあって10センチ以下のものとは違う。 
 
いい家を作るためには良い業者と良い材料が必要だ。大工は息子だし作業場も完備している。あとは乾燥した材木と仕上げ材があれば良い。大家でもある製材所は宮大工相手なので良材の在庫がたくさんある。選んで買えるのでわざわざ在庫までする必要もない。 
 
羽目板やフローリングは材料を持ち込み加工していたが高品質なものがすぐ手に入るのであればその方が良い。持ち込み加工は金も時間もかかるし必要量以上に作るから無駄が出る。使う量だけ買うのであれば資金繰りも良くなる。
 


工業化製品

今朝は冷え込んでウッスラと棉のような雪が積もった。最低気温がマイナスの5度以下になるとの予報だった。挙句に雪が降り出して来た。大工たちは外は諦めて内部造作に入る。 
 
午前中はお施主様も現場へいらして細々と説明をしたり変更をしたり。現場は毎日のように様々な決め事が出てくる。監督が適当に判断して進める。たまにお施主様に説明をすると意外な好みがあったりする。例えば床下点検口、業者が出入りしやすい位置に付けると反対される。 
 
施主様の見る目とこちらでは概ね違ってくる。その辺の感覚がズレると後で不満が溜まって大ごとになる。この頃多い神経質な客だと全てが微妙に違ってくる。そこをどうやって満足させるかが監督及び設計者の仕事だ。 
 
仕上がり感覚もズレるなんてのはよくある。こちらは外壁は節のあっても塗装でごまかせると思い気にしない。塗装後のことを言ってもすんなり納得してもらえるとは限らない。 
 
自然のそのものの手刻みの家は赤身と白太の違いすらも問題にされる。節の有無だけでも大変なのにだ。フローリングも作るものは素材の目がそのまま出る。そこを魅力と思わない方にはただの不良品になる。工業化された家つくりは仕上げ材も印刷されたものと同様のチェックがされる。 
 
自然素材の家とか古民家風は写真や展示場のイメージだけが印象に残る。実際に建てると勝手口もあれば裏側の外壁もある。そう言ったところまで完璧な仕上げをイメージする方が普通になった。工業化製品のように均一でないものは不良品という考え方だ。 
 
手つくりとか自然を生かした家つくりとは言うがあくまでイメージや思い込みという可能性がある。事前によく説明しないと意外な評価が待っていて交換してほしいとなる。建材の家では裏表のある仕上げ材はなくて品番が同じであれば使用箇所に限らず皆同じだ。 
 
板張りなどだと節のない赤身の部分を玄関に節ありや白太は裏側に使う。それが当たり前と思うのはどうやら私だけのようでよく説明しないとトラブルになる。割れる確率の高い曲がりを使うより集成材の梁現しの方があとでクレームがこない。こんな仕事なんてしたくはないが世の趨勢がそうなって来たCIMG5745


在庫圧縮

大寒も過ぎ夕方現場から帰る途中が暗くならない。先月だったら5時頃にはすっかり日が暮れたがほんの少し明るさが残る。雪が積もるなど現場には過酷な条件が揃うが外部工事に精を出す。午前中は打ち合わせ、午後から作業場へ行く。 
 
階段材の加工に入った大工から修正挽きを製材所へ持ち込む。大工たちは急ぎを頼むのに遠慮があるが私が言うとすぐやってくれる。長年の付き合いもあるし製材所の職人たちとも古い。初めての付き合いの時からいるのは一人だけだ。 
 
製材所は作業場の大家でもあり高校の同級生が社長だ。かれこれ20年近くになる。当初は倉庫を借りただけの付き合いだが今は作業場として借りている。たまたま倉庫が元工場で鋸屑の処理施設だった。設備が一部使えるので作業場として借りなおした。 
 
もう一つ製材所は製材に電気を使う。その電気が倉庫へも流れている。独自にメーターをつけるよりは工事がないぶん安くつく。工場跡地というくらいだから電動シャッター照明などが整っている。 
 
それやこれやで付き合いも長くなったし多少のワガママも通してもらっている。製材所から見れば在庫で残ったものを処分するとかケチなことだがしょうもない在庫を買い取ったりしている。宮大工相手の商売なので住宅では使うことのない良材をたくさん持っている。 
 
階段材とかたまに銘木まで行かなくても良材が必要になる。そういった場合になんでも揃うの助かる。製材所で在庫を置くところは減っている。ケヤキとかヒバとかすぐ欲しいと言っても手に入らない。ところがここは買い手の宮大工がいるので在庫が豊富にある。 
 
これまで丸太購入で乾燥させるために在庫があった。資金繰り改善のために減らしたいのですぐ手に入るのは大いに助かる。多少乾燥が甘いとか値段が高いとかあっても経営者としては背に腹変えられない。CIMG5744


本物偽物

昨夜来からの雪で一面真っ白。降り続く雪で道路も積もりノロノロ運転。現場へ行く途中もいつもより時間がかかる。午前中はお施主様も来て打ち合わせ。階段や入り口など内部が中心になる。大工も現場組と加工に分かれる。 
 
いつもように息子は作業場で加工をする。ケヤキや内部の入り口枠など時間がかかるのが増えた。仕上げ材なのでカンナがけや緻密な仕上げが要求される。もう一人の大工は年上だが段取りが良く現場作業が得意だ。手際よく進めて行くタイプでスピードがある。 
 
応援の大工はどちらかと言うと丁寧タイプで住宅会社には不向きだ。せっつかれて仕事をするのを嫌がるタイプでゆっくりやるを好む。当社は基本的には息子のペースで進むのでペースが遅い。管理する私も余りせっつかない。 
 
本当に施主様の意向に沿った家つくりをめざしている。そのためには工程より仕上げが一番と考えるし材料も家に見合ったものを用意している。集成材のプレカットが主流の時代に仕上げ材にこだわり手間をかけると言う考え方そのものが減って来た。 
 
チラシのコピーだけの手つくりの家が増えた。元をたどれば同じなのに特別な工法のような宣伝をする。いかにも手刻み風のチラシが実際はプレカットなんてのは普通だ。材料の杉材からして乾燥した材が容易く手に入らない。もちろん自社在庫をすることもなく工期も早いから手刻みは廃れてしまったかのようだ。 
 
今日も新聞にはチラシや広告が多く載っている。自然とか手つくりを標榜しているが実態はどうなのか。集成材の古民家風なんてどんな人が建てるのだろうと思う。見てくれが流行るのは今風だが業者が年々ズーズーしくなって来た。 
 
昔々は勝手にファックスやメールを送りつけるなんて余りなかった。今では不要必要を分けるのが大変な時代だ。広告も同じで偽物本物を見分けるのが難しい時代になった。