青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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製材所

朝一番でリフォームの現場へ。今日から左官の漆喰が入る。いつもの年配の職人さんが一人で塗る。3日ほどで終わるが乾燥に時間がかかる。薪ストーブの設置を予定しているので急激な乾燥で割れや隙間ができる。できるだけ時間を置きたいのだがそうもいかない。 
 
その後新築の現場で材料の運搬があって午前中かかる。今日は屋根の断熱入れと屋根垂木を作る。破風板を設置後野地板を貼る。倉庫と現場を往復して運んだが久しぶりの作業で腕が痛い。材木は長いので見た目よりも重い。 
 
先日の伐採の木の製材が続く製材所へ行った。杉材が半分ほど終えた。出た材木は並材が多い。丸太があまり手入れをしない山だったので仕方ないが。 
 
普通の現場だと新築で角が大体200本ほど入る。柱現しの真壁造りなので半分近くは出てくる。一面は節のない材木が必要になる。丸太で節があっても挽き方で一面くらいは無節になる。製材職人、通称台車乗りと言うが腕によって良し悪しがある。 
 
節は中心に向かって枝が残ったものだが少しズラすとうまく無節が取れる。曲がり具合や目を見て挽く方向がある。後で曲がりやすい方向があってさらに節を避ける。言うは易しで熟練の技になる。 
 
若い台車乗りが挽いた無節が曲がったり割れたりすることがある。丸太の挽き方向を無視すると後で大工が泣くことになる。そこまでわかるには10年はかかるだろう。丸太持ち込みで製材して家を建てる大工は台車乗りの腕を見て持ち込む製材所を決める。人気のある製材所の土場は持ち込まれた丸太を山のように積んである。


丸太買い

現場廻りはいつものコース。塗装の仕上げが入るリフォームへ行き建て方の現場へ。大工も増えて屋根廻りまでいきそうだ。足場もかかって外部廻りも塞がった。屋根は断熱材を二重に貼って仕上げるので時間がかかる。 
 
先月伐った丸太の製材が始まり杉から製材する。枝が多く並材しか取れないだろうは思っていた。実際挽いているのを見ると見事に並材だらけだ。まあ現場は役物だけでできている訳ではないから並材も必要なのだが。 
 
丸太買の醍醐味は役物と呼ばれる無節が取れるからだ。外部から見ただけでどんなものが取れるかはある程度わかる。だから丸太の値段が決まるのだが。外部に枝が多ければ当然節だらけしか出てこない。太いとそれなりに挽き方で一面無節が取れる。 
 
だから太さは価格の重要な要素にはなる。細くても枝打ちした物は役物が取れるから高い。太いだけなら人間で言えばデブにすぎないから価値がない。同じ山でも外周部の日が当たる場所に生えた物は枝が多くて年輪も飛んでいる。 
 
中心部それもあまり日が当たらない丸太で枝打ちされたものが価値がある。節の有無もだが年輪が細くて目が詰んでいる。狂いにくく鉋がけしても艶が違う。山の中で競争しながらまっすぐ伸びた木が良材が取れる。 
 
伐採現場に行くと遠目にまっすぐに見えても結構曲がっているものだ。杉やカラマツはまっすぐな木というイメージがある。倒してみると半分近くが曲がっている。下からグルリと木を見てもどのくらい曲がっているかわからない。 
 
倒せば一目瞭然で曲がっていれば価値は大きく落ちる。製材しても狂いやすい目が曲がった角しか取れない。見えないところとか使う場所が限れられる。そういうリスクがあるので丸太は入札で買う方が確実だ。 
 
入札に行くと同じような丸太が値段が違う場合がある。綺麗な中心円の年輪かとか年数の割には年輪が飛んでいるとかだ。山を見て買うのは相当な見る目を持っていないとリスクがある。入札はその点で売る方が価値を決めてあるから予算次第でいいものが買える。もっと確実なのは製材した材木で買うのだが値段がリスクに反比例する。


自然塗料

今日は検診で半日かかる。朝食抜きだったので終わってすぐ食事した。午後一で葬儀があってすぐ現場へ直行。クレーン付きがないと梁が重くてかけられない。すぐ水道屋へ借りに行き2時間ほどで終えた。 
 
リフォームの現場は塗装が入って下塗りと言うか着色した。オイルステンで着色したがその匂いがすごい。今は禁じられているコールタールの匂いがする。頭が痛くなるようなすごい匂いだ。 
 
自然素材にこだわる方は匂いにも敏感だ。こんな匂いがしたら大騒ぎになるのは当たり前だ。4,5日で消えるとは言うものの記憶は残る。できるだけ匂いのない塗料を使いたいがなかなかいい塗料がない。 
 
自然素材の塗料は一般的に高価だ。石油系のものに比べると何倍もする。しかも乾燥しにくくて皮膜も一般的には弱い。もっともウレタン塗装のようなテカリのある仕上げが好きかどうかは別だ。 
 
艶のない仕上げには向いているが艶有りだと石油系の方が種類も多い。塗装業者も手間のかかる自然塗料は気乗りしない。余った材料もよそで使えないから支給されるのを好む。柿渋とか蜜蝋など残すと変色や固まって使えなくなる。 
 
過去には色々自然塗料と呼ばれるものを試してみた。仕上がりがあまりにひどくて塗り直したこともあった。床塗料でいつまでも固まらないものがあって床を削って塗り直した。自然塗料は初めての物はリスクがある。


土台

今日から建て始めて今週中には上棟できる。昨日運んだ土台から組み始める。何でも物事は土台からと言うくらいで肝心なところだ。基礎屋が作った基礎が合っているかどうかがまず関門だ。狂っているなんて信じられないかもしれないが結構狂う。 

遣り方が動いたり型枠の通りが悪かったりする。今回はほぼ寸法通りなのだがアンカーボルト位置が若干違った。土台は栗を使ったが長さがまちまちだ。建材の土台なら4mと決まっているが自然の栗は5mから2mまで様々だ。 
 
継ぎ手が出るので位置が不規則になる。継手は鎌継なので上の男と下になる女がある。上の男からボルトで押さえつけないとならないところを女にボルトがいく。沢山のボルトで抑えるので1本くらいなくてもさほど強度は違わない。 
 
検査もあるので今は基礎にボルトで止めることになっている。数は特に指定はないが柱ごとに入れている。ボルトで保たせるから土台そのものはあまり重視されない。栗とか凝っても意味はないと言うものもいる。 
 
栗の土台が使われたのは石の上に載る土台だからだ。雨風が当たるし腐りにくいところが好まれた。ボルトで止める現代の土台は薬浸けの柔らかい針葉樹が普通だ。外壁に覆われて露出しないのであまり強度は重視されない。 
 
土台用の樹種は指定されており栗は防腐剤を使用しなくても良いことになっている。できるだけ薬は避けたい方もいて当社では多い。他にもヒバや唐松なども使われる。大工が加工しにくいので栗の土台はほとんどなくなった。


昔の棟梁

昨日も打ち合わせ、午後からいつもの温泉。今日はリフォームの現場で塗装業者と打ち合わせ。すぐ作業場で材木の積み込み。午前中、午後と大型トラックで現場搬入。午後から小雨模様になったがなんとか終える。いよいよ明日から土台敷きから始まる。 
 
刻みも一月半もかかって細部まで全部加工した。普通だと上棟できるように刻めば一度休んでまた加工する。現場を空けるのだが空けなくともよくなる。以前だったら大工も人数が多かったので棟梁が毎日抜けて加工した。 
 
今は2,3人体制が普通なので棟梁が抜けると組み立てもできなくなる。大工は一人で仕事をしたがらないのが多い。重いものを持ったり担ぐからだが相方がいないと苦労する。全部ではないが仕上げ前は一人はしんどい。 
 
加工機械が完備していると加工精度も上がり時間も減らせる。なのでいつも刻みは長めにとって一気に加工する。基本的に現場途中で抜けないようにしている。リフォームが重なると他所を頼んだり途中では抜けないようにする。 
 
集中してやることで技術も上がるし効率も良くなって早くなる。現場を取ってくる親方はあちこちの現場を並行してやりたがる。職人を効率よく動かせるので現場ごとの空きがなくなる。施主のことより自分の経営を優先する。 
 
いい仕事をしていい家を建てようとするではない。商売として効率よく儲けようと言うことだ。大昔の棟梁はあまり仕事を重ねないようにゆっくりと進めた。請負い制が増えて社長は効率最優先で儲けようとする。何箇所も現場を取ってうまく回せば利益率が上がる。じっくりといい仕事をする昔の棟梁が消えてしまった。CIMG7020