青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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ヒバ

午前中は建具の打ち合わせと作業場。リビングの建具が引き込みになってしかも三方建具納まりになる。ややこしい造作になるので綿密に打ち合わせをする必要があります。 
 
午後から支払いや歯医者、戻ってグログ。月末は毎度のことながら資金繰りに忙しい。何とかならないものかといつも思うのだがのんびりした月末はトンとない。一年のうち2,3か月だろうか、余裕で過ごすのは。 
 
今の現場の建具は一部にヒバ材を使う。ヒバはここ2,3年山から出る量が極端に減った。かっては少し予算があればヒバ造りが多かった。自宅もヒバで見えないところまで全てヒバだ。 
 
年配の方は豊富だった頃のヒバの値段を知っている。田舎の大工たちは今でもヒバにこだわるのがいる。民有林が減り国有林が主になった出荷はほとんど入札で買う。売り方より買い方が多いからすぐ売れるし高い値がつく。 
 
大工の中には4,5年前のヒバの価格を覚えていて今の相場に目を丸くする。建具屋さんは自分で建具材を在庫しているが足りないものは付き合いのある大工から余ったのを買い取る。大工の在庫は基本的に柱だから幅の大きい建具材を使う建具屋は苦労する。 
 
ヒバ材を多く使うのは宮大工だ。飾りの加工用に節のない幅の大きい材を必要とする。飾り用でしかも予算のあるお寺だから多少高くても買う。しかも結構な量が必要だ。だから今はほぼ宮大工専用になった感がある。 
 
今回カウンター材を探すのに息子の修行した秋田の宮大工に探してもらった。結局ヒバが出るのは青森が主だからこちらの材木屋から買っていた。めぐりめぐって地元に戻るわけだ。 
 
今回のカウンターは結局製材して乾燥機に入れたものになる。ヒバは天然乾燥が難しく割れたり反ったりする。なるべく在庫は残さず必要な時に買うのがベストだ。当社もヒバだけは在庫をしたことがない。値段が高いのとリスクが大きいからだ。


地鎮祭

昨夜の雨も上がって朝から地鎮祭。2年前にもお招きした蕪島神社の主催。親戚が鳥居の木を寄付したことがあって記憶がおありだった。何度もあった地鎮祭だが雨に祟られたのは過去一回だけ。予報は80%だったが今朝ははれた。晴れ男の面目躍如と言うところか。 
 
神社も建てる業者名を奏上する関係からかよく知っている。神主でなくともいつどこで一緒だったか覚えている。いやデータを残しているのかも。蕪島神社と言えば火事を出して再建中だ。地鎮祭とかやってもらうのも再建には協力できる。 
 
お施主様は以前工場を建てる際にもお願いしたことがあると言う。商売の神様だからという理由だが今回は再建寄付金にも協力した。 
 
以前は地鎮祭はいくらとか決まりはなかった。お供え物や竹もこちらで用意したものだ。お神酒以外は全て持ってくる。いわゆるお任せコースと言う事だ。その代わり料金ではないが金額が指定される。 
 
近年の何でもお任せは地鎮祭にも言える。本来は土地の神様に工事の安全と家の繁栄を祈るものだった。だから自分で何でも用意してやるのが本来だろう。氏神とか鎮守と言う概念が薄れ自分の好きなところへ頼む例が多い。 
 
みんなで渡れば何とかと言うが深い意味もない場合がある。後で何かあったら嫌だとかそのくらいの意味合いだ。住宅会社はテント張り、赤い絨毯敷きで椅子まで用意する。もちろん外注だから自分でやるわけではない。 
 
余計な費用と思うのは当方だけなのか結構多い。ここまで来ると一種のお祭りと言うことなのだろう。神様はついでにくらいのものかもしれない。
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大黒の加工

今日から大黒や大梁の加工に入る。お施主様には長く待った関心ごとである。何度も大黒の加工を見たくて作業場へお越しいただいた。刻みは横の加工が済み縦に入る。刻みは土台から始まり2階床2階天井、小屋と続く。横が済めば柱など縦に入る。 
 
製材の頃から何度も見学に来ていただいてこだわりの部分だ。大黒とか梁はもちろん床材天井材や仕上げ材に至るまで興味は尽きない。ほぼ手つくりと言っても良いくらいなんでも作る。下駄箱や玄関内部のデザインなどは何度も繰り返し検討した。 
 
カウンター材に使うヒバ材もあちこち探して見て歩いた。納得いくような材料が見つかるまで何度も繰り返す。その熱意は今まで経験がないほどだ。5,6年前から見学に歩き見て歩いた。自分のこだわりは何が何でも妥協はしない。 
 
こちらもそれに応えるべく在庫であるものは全て使うつもりでいる。勿体無いとか後で使えるとかは考えない。今が全てでできるものは全て使い切る。幸か不幸か溜め込んだ曲がり材や大黒は何本も修正挽きして選んだ。 
 
材料だけでなく大工技術に関しても歯止めがない。手間をかけて良くなるものは何でもやる。難しい技術でもできるものは全てやる。複雑な仕口を駆使し手斧で削って複雑な仕上げもやった。毎日のように遅くまでかかって仕上げをしている。 
 
今回の現場は当社の集大成だと思っているので時間をかなり掛けている。コスト無視ではないが相当頑張っている。私も息子もこれが最後と言うつもりでいる。大黒や梁の加工は肉体的には相当な負担になる。体中が痛くなるほど重労働である。
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大工のイキ

昨日の日曜は朝から自宅倉庫の材木整理。製材の時に出た皮の部分から取った板がある。大黒や梁などで珍しい木やいい目が出たのを集めておく。そもそも大黒とか大梁は広葉樹で樹齢も多く良い目が出たりする。 
 
新築するとカウンター材とかアクセントの幕板とか使うときがある。在庫がなければどこかから買うよりないがあまり手に入らない。使いたいイメージもあるし太さ長さもある。 
 
何より目が良いとか変わった感じになれば最高だ。普段使う広葉樹では出ない雰囲気を作れる。杉などでアクセントにはめ込むとかよく見るがそれとはかなりインパクトが違う。 
 
店舗などでも本物の板に店名を記したりする。あれとは意味合いが違うが本物とか既製品にない印象を出せる。カウンター材も集成材一本やりでなく無垢の味を出せればグッと引き締まる。 
 
古民家風とかになるとこう言う手法が昔からあって大工たちの自己主張になったりする。センスの問題なのでやりすぎると失敗する。まあ素材の大きさや色などがかなり影響する。 
  
昔の家には大工たちのお遊びのような主張があった。太い柱や梁なども自分のセンスを見せる格好の場だったに違いない。他所の人が見てホーッとかすごいとか言われると施主は喜ぶ。 
 
単純に素人を喜ばせるだけでなく長く使ってみてただの飾りでないのがわかったりする。そんな大工のイキを現代にも生かしたいと思っていた。技術だけでなく素材も重要なので選んで使いたい。となると在庫するよりない。
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建物の準主役

現場は今日は休みになる。作業場はいつも通り刻み。午前中は刻みの作業場へ行き昼から自宅倉庫で板材のチェック。幕板とかカウンター材にしようと在庫をしているのを引っ張り出した。 
 
ザッと鉋をかけてお施主様に見ていただく。好きな方には楽しい時間になること請け合いだ。幕板やカウンター材は構造材でないので一種の飾りだ。玄関とか和室などでよくやる。
 
床の間は作り方の様式があって決まっている。しかし本来の作り方でなくオリジナルを好む方が増えている。そうすると床柱や落し掛のない和室が出てくる。その代わり仏壇置場とか神棚だけの床の間風になる。一応床柱とか地板はあるが落し掛けがない。 
 
今回はリビングと水回りの仕切りが特にない。幕板風の板で縁切りをしたい。そう言う時に目の良い板を幕板として使う。何となく床の間風だったり和風だったりの雰囲気が出てくる。 
 
和風には決まりごとが多々あって飛んだデザインとかやりにくい。新しい和風とかあるが基本を守ったデザインは難しい。だから素材そのもので和風をイメージを出してオリジナルのデザインをやりたい。 
 
そう考えると目が良かったり銘木まがいとか材料がないとできない。もちろん製材所とか材木店で置いてある訳ではない。自分で製材をした時にゴミとして処分するような部分を集めて在庫しておく。 
 
それらが思いがけない価値を持って建物の引き立て役になったりする。廃業した大工の在庫を貰い請たりする。下手をすると使われずに10年以上眠ったままもある。今やっと日の目を見て準主役くらいに躍り出る。 
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