青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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面白い家

今日も作業場では刻み、午後からお施主様と打合せ。一体何を打合せするかと言うと曲がりや梁をどれを使うかとかどう言う向きで使うかだ。目が悪いとか虫が食っているとかそう言ったところを施主さに納得してもらう。 
 
化粧の梁も合って強度とか保つかどうかではなく見た目も気になる。自分のイメージに合った梁を使いたい。加工が済んだ梁を見たいと言うことになった。その数が膨大になるので何度も打合せになる。 
 
杉の柱が標準だが当社にある在庫の中から無償で交換できるものもある。全てとはいかないが何本かは標準の杉から広葉樹を使ったりする。あまり関心のない方であれば考えないが好きな方には使うようにしている。 
 
依怙贔屓ではなく杉でも無節の柱は高いが広葉樹でも節のある柱は安い。あまり関心のない方に使ってもむしろ節だらけの広葉樹よりは綺麗な杉の柱が好きな方もいる。施主に合わせて在庫の中から選んで使っている。 
 
そういう客のためにセッセと半端な材料を買って乾燥している。雑木林の山を買ったり曲がったのをわざわざ買うこともある。こう言う時のために買ったようなものだ。それが面白い家つくりに繋がり施主の満足にも寄与する。 
 
こう言った面倒臭い事が興味がない方ばかりでないからつい不必要な材木を買うはめになる。変形の梁材や角はよく乾燥しないと曲がったり割れたりする。少なくとも4,5年以上は置いてある。これも儲かるからではなく面白い家を作りたい一心だ。それが厳しい経営を強いられる原因だが。
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解体

今日は晴れて暑くなって夏に戻った。朝から作業場で打ち合わせ後解体の現場へ。今週で終わりそうだが最後は木の抜き取りがある。家の後ろにイチイの木があって土留め工事もあるので撤去したい。木の根は思ったより広がっているもので大きなパワーショベルでないと抜けない。 
 
周囲に木を植えるのはご近所なども多くてこちらもグルッと植えてある。たまたま後ろ側が隣と段差があるので土留めをしないと将来崩れる。基礎工事の業者のバックホーでは根は抜けない。思ったより広く2m四方ぐらいはあるものだ。これを機会に土留めと木の伐採をすることになった訳だ。 
 
しかも土留め代わりにコンクリートブロックの破片などを積み上げて崩れかかっている。それも撤去したいのと整理して好きな庭木を植えたいと言う。バックヤードの庭と言ったところか。来週あたり地鎮祭をやりたかったが彼岸に入る。で、明けて28日にやることになっている。 
 
予定より少し遅れたが全体の工期には影響ないと思う。余裕を持っていたので十分間に合うと思う。大工たちは刻みや加工の時間が取れるので全部手刻みで作ることができる。外注を少しでも減らして自分たちでやればコスト的にも合ってくる。 
 
何でもコストカットの時代にノンビリと大工が半年もいる現場はそうはない。プレカットなどは一月か一月半であげるのが普通だ。とにかく急げ急げの突貫工事が普通だ。足場や保険など期間で節約できるものは何でもやる。時代に逆らうような仕事ぶりだがこれが気にいる方もいるからやめられない。


高齢者の仕事

ほぼ一日冷たい雨が降りしきる。こう言う日は気が滅入りがちだ。何となくスッキリしないからだ。午前中は図面や伝票整理。午後から作業場へ。 
 
刻みは順調だが解体や基礎工事が遅れ気味だ。職人たちに聞くと不景気とは言いながら仕事が重なって忙しい。大工だって減っていることを考慮しても足りない。上棟後の人集めも苦労しそうだ。 
 
30年前は100万人いた大工が今や40万人。オリンピックの景気が復活すると深刻な職人不足になりそうだ。今後地方でもその傾向は続くだろう。 
 
地方では大工がまだ請負をするところがたくさんある。客は同年代が多いから70歳を過ぎるとぐんと元請けが減る。高齢化社会は建築の世界でも言えることで施主も大工も高齢者と言うのが出てくるかもしれない。 
 
私は60代で施主は50代が多い。今の仕事を続けると60代,70代の施主が主力の時代が来る。60代は親が90歳以上で生きているのも多い。相続がこれからと言うのもいる。 
 
私の親は生きていると90歳になる。公務員だったから年金が多いし貯金も私よりは多かった。これからの相続では90代の親に子が60代と言うケースが出てくる。高齢者のリフォームなどに相続で始まることもある。 
 
相続をした施主が60代で同世代の職人が仕事をするのもあり得る。老老介護とか高齢者同士の仕事のやり取りが増えるだろう。これは是非とも頑張って仕事を続けた方が有利だ。若年層がいなくてもまだまだ引退することもなさそうだ。


オトーサン

朝から雨で気温も低い。午前中は作業場で大工と打ち合わせ。今月と来月で刻みを終了させる予定だ。11月には上棟になるがまだまだ刻みは続く。上棟後は大工が4,5人必要と思っているがまだ目処がつかない。 
 
10年ほど前に建てた現場を見てからお施主様には決め手になった。それもあって応援の大工を前に建てた大工たちを呼ぶ予定だった。しかし急遽仕事が入り年内は難しくなった。お盆前には仕事がなくてと言うことだったからだ。 
 
職人たちは仕事が安定的に続くのは少ない。あまり早くても急すぎてもうまくいかない。当社のような仕事は好き嫌いがあって誰でもと言う訳にはいかない。道具も違うし来てもらっても仕事がない。 
 
予定していた組はブログの職人の世界に登場する大工だ。大工その2に登場するオトーサンのところだ。最初に曲がりとか大黒とか古民家に本格的にのめり込むきっかけになった。ほぼ10年ほど付き合いがなく久し振りの仕事になるはずだった。 
 
珍しくと言うか当時の大工たちがまだいると言うことだった。仕事の変化もあって長く同じ大工がいるとは限らない。気ままにあちこち渡り歩くのが普通だ。

オトーサンのところは大工が小学生の頃から住み込みで修業する。学校に通わせながら大工修業もする。今では聞くこともない昔の世界が生きている。だからオトーサンは単なる親方でなく親そのものだ。 
 
親が生きている限りは子はどこへもいかない。子と言ってももう50代になるし子もいる。オトーサンは正月にはお年玉は何人に配るのかしれない。そういう世界だから仕事ぶりもレトロで古臭くノンビリしている。 
 
新しい古民家と言うか合理的なものを考えて別な大工に乗り換えた。いろいろあって息子が大工となり縁が切れてしまった。息子以外の大工が安定しなくて応援にオトーサンのところを訪ねたわけだ。今回はダメだったがいずれまた一緒に建てる時がくるような気がする。cimg5037


木の目

昨日は朝市に行ったり温泉に行ったり一日忙しかった。朝市は知り合いが何人か出店している。顔見せもあって久しぶりに出かけた。出店者だけでなく客の中にも何人か知り合いとすれ違う。 
 
ほぼ中高年と高齢者ばかりと同年代も多い。時間に余裕ができて早起きもあって暇つぶしに丁度良い。ついでに朝食を済ませたり材料を買ったりする。何となくしっくりくるようになってしまった。 
 
今日も作業場では刻みの最中だが大梁を加工している。3間梁は4本用意して3本を使う。いずれも節があったり割れたり何がしかの欠点がある。6Mを超える梁は山から出すにも苦労する。 
 
大体が樹齢も80年以上で植林されたものと自然林がある。天然は目が細かくて綺麗なのが特徴だが手入れをしないために枝が多く節が強い。その代わり色も赤が強くて美しい。いえ、私がそう思っているだけかもしれないですがね。 
 
それに対して植林された木は枝打ちをするので無節で色も白っぽい。古民家などには少しアクが弱すぎて曲がりなどに負けてしまう。そこはやはり杉材も存在感を示さないとならない。 
 
写真の3枚は大きさは似ていても年輪が違う。樹齢も100年ものと80年、65年になる。若い木は無節であれば何でも良しと言う方には向いている。曲がりなどが好きで木の目自体にもこだわる方には物足りない。 
 
ここまでこだわる方は少ないが完成して何年か経つと少しずつわかって来る。やはり美しいものは美しいのだ。建てた時にそのことが理解されなくてもいずれ分る時が来るものと信じて今日もまた目にこだわってしまった。
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