青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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栗の板材

朝から解体の現場へ。業者がのんびりと作業中でお施主様の手配なので当方は待つだけ。すぐ近くの製材所へ寄って栗の土台を引き取る。2年前から在庫で預けていたのだが邪魔なこともあり引き取ることにした。製材所は無料で土場を使わせて在庫を預かる。製材の予約みたいなものだがどこでもやっている。 
 
預けてあったのは栗の土台用の丸太10本ほど。ほとんど2m級で短く土台以外には使えない。4寸角と曲がり1本が出来た。同時に皮の部分から板材が取れた。丸太とは言え2年も置くと乾燥する。いい具合に乾燥し特に皮に近いところは乾いている。 
 
今度の現場の土台は別なところから買ったので使わない。栗の羽目板加工をしているので腰壁に使えるのがわかった。腰壁は巾木と上部の見切りが必要だ。これまで溜め込んだ栗の板材を加工に持って行ったので在庫がない。仕方ないので梁材を挽き割って作る予定でいた。 
 
ところが土台用にと挽いた板が意外と乾燥具合が良い。雨に当たらないところで立てて乾燥したら一月ほどで使えそうだ。思いがけなく出てきた板材がすぐ使える。これはとニンマリしてしまった。 
 
腰板は杉材などが多いが広葉樹である栗などの方が綺麗だ。やはり何でも堅木は加工して美しい。腰壁のポイントは上部の見切りと巾木が立派だと良くなる。板材部分ばかり気が入ってこれらの役モノを忘れる。言ってみれば端っこ部分の上下が見栄えのポイントになる。 
 
今度の現場は全て巾木は高さが4寸(12センチ)を使う。巾木は石膏ボードを張ってから上からペタンとつけるのが普通だ。昨今では板などではなく建材の紙を固めたようなもので作る。メリットは工事が簡単で安い。 
 
当社では原則として高さ4寸の奥行き1.5寸(4センチ)の板を床に固定しボードを溝に入れる。こうすると浮いたり凹んだりしないし床との隙間もない。かく言う私も最初にこのやり方を知った時は感動したものだ。こんなやり方があったのかと。 
 
手作りの家はまだ手間がかかるが後で狂いの来ないやり方がたくさんある。随時紹介していくがいずれも今では見ることのないやり方ばかりだ。丈夫さだけでなく美しさも別格なことも重要だ。材料とやれる大工が少なくて減っていることだ。
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金物

昨日は建築士の定期講習に行った。朝から始まって終わったら6時、一日がかりだ。例の姉歯事件以来厳しくなった建築士だが講習が増えて混乱する。定期講習は建築士事務所に務めるものは全員義務がある。個人の講習みたいなものだ。これとは別に設計事務所の管理建築士になると別の講習がある。管理建築士とは代表する建築士という意味だ。 
 
5年に一度の管理建築士講習、4年に一度の定期講習。建築士は永久資格なので違反でもしない限り資格は生きる。これまでは資格取得後のレベル維持のための義務はなかった。運転免許ですら書き換えがあるのに建築士は何もしなくても良かった。 
 
建築士のレベルアップのためには良いことだが面倒臭い。管理建築士講習だって一日がかりだ。講習がいつもあるようで忙しい。5年はすぐなのでいつも講習の心配をしなければならない。今回も本当は来年の三月までに受ければ良いのに3年と勘違いしてしまった。講習を受けてから1年を経過したら3年以内に受ける義務がある。 
 
役所用語のようで間違いやすいが4年に一回受けると言うことだ。なんでこんなにややこしい言い方なのか腹がたつ。法律用語とか分かりにくい言い方が多い。おかげで半年早く受けてしまった。来年で良かったのに。 

今日は朝から事務所で図面作成。いろいろあって壁量計算をやり直した。N値計算をやり直して金物の負担を減らした。真壁の家は壁が薄いので金物をダブルで入れるとはみ出してしまう。納まりがうまくいかないので大工たちと揉める。もちろんなくすことはできないのだがN値計算で種類を変えることはできる。 
 
太くて大きな梁を使うのでそれらの繋ぎは仕口で作るのだが検査が通らない。金物の検査があるからどんな場合でもつけることになる。45センチ以上の3間梁を組むのに金物だけで持つかどうかだ。もちろん基準法に則り工事するのは間違いない。構造計算はやらなくても良いことになっているが簡単な壁量計算くらいは完璧にしないとならない。 
 
当社の大工たちは金物を嫌うが法は法で守る義務がある。まして瑕疵担保保険や各種保険などは皆これらの金物に依っている。真壁の家は壁にダブルの筋外を入れにくい。いつも金物では苦労している。


木のマニア

午前中は事務所で図面や見積もり。午後から作業場で大梁の確認。どれを使うかとかどの面を向けるか…..。実は大工任せが多い中で私的には一番重要だと思っているのです。夕方になってお施主様を呼んであーでもないこーでもないと確認作業。 
 
普通はそこまで確認のために作業場までいらっしゃる方は珍しいんです。まあ好きだと言うことでしょう。だからこそ私を選んだのでしょう。3間もの大梁は普通使いません。山から出して乾燥するだけでもかなりの難問です。ケヤキとか赤松は時々見かけますが。 
 
お施主様は相当な木のマニアでもあり太い柱や梁を大好きです。だから刻みの段階でも相当な熱心さで見にいらっしゃいます。寸法や目の感じとか素人離れした好みです。こう言った木のマニアはよくいます。いますがそれを自宅にそれも金をかけて実現しようなんてのは珍しいです。 
 
加工をする大工たちは柾目の無節を好みます。加工しやすさと狂いの少なさでしょう。素人で節のある曲がりとか大黒を好む方は少数派です。しかも腐れや割れが大きく入ったりするのが多いので尚更です。完成後はかなり個性的で本格派になる予定です。
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カンナがけ

今朝は朝一で解体の現場へ行く。電気配線の撤去と仮設メーターの取り付けがあった。現場の解体工事が終わると地鎮祭と地盤調査がある。予定日が彼岸中にあたり28日に変更。若干工期が遅れ気味に推移するが予測の範囲内だ。

現場は今日も刻みと墨付け。梁の加工に入り3間梁や曲がりも加工する。二人しかいないので重い材料は苦労する。刃幅500ミリの鉋盤に3間梁を持ち上げて通す。相当な重労働で腰が痛くなる。それでも1鉋盤が15尺寸まで通せるので助かる。手で鉋がけだと相当な重労働になる。 
 
手刻みの家を建てるためには三つの条件が必要だ。まず墨付けのできる大工、乾燥した材料、加工場だ。3間(5.4m)を加工するには100坪クラスの作業場が必要だ。リフトで持ち上げて回転するだけで10m四方は振り回す。 
 
今回は3間ものが7,8本ある。大黒や曲がりも5m以上ある。これを持ち上げて裏返したり回転するだけで相当な重労働だ。しかも鉋がけも手動だと波打って真横から見た時に歪んで見える。曲がりだと目立たないが平角の梁だと木になる。 
 
作業場ができるまで何人もの大工と付き合ってきた。作業場も各種で手動の機械が多かった。トラックも2トン車一台が普通でクレーン付きとかはほとんどいなかった。その条件下であれだけの現場をこなしたから大工も偉かった。 
 
大工たちの苦労を見てきたので作業場とクレーン付きは私の夢みたいなものだった。維持費の金額が負担になってトラックは処分したが作業場は残った。整った作業場で修行した息子は扱いは慣れていた。今後は経費節約に励み作業場だけは無くさないように頑張っていきたい。手刻みの現場を取ってくると言うことだが。
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手間ひま

今日も作業場は墨付けと刻み。午後から現場で解体の打ち合わせ。水道と電気の切り離しがあった。明日も電気工事がある。解体業者も一緒に打ち合わせ。20日過ぎまでかかると言う。その後地鎮祭と地盤調査がある。 
 
作業場では大工たちがカンナがけの最中で全ての角と梁は自動ガンナを通して寸法を合わせる。通す時に材木の端っこを電気ガンナで切り落とす。何でかと言うと小口は伐採の時の状態がそのままだ。山や運送中とか小口に石とかつく場合がある。 
 
そのままカンナ盤に通すと小石で刃が欠ける。刃が欠けたら使い物にならない。万が一にも石が混じるのを防ぐために小口を少し切り落とす。全ての材木を切ってからカンナがけする。こう言った見えない手間がかかるのが手刻みの家つくりだ。 
 
手刻みの家は手間ひまの塊だ。熱意のある大工と良い材料があって初めて可能になる。今は機械カンナだけだが仕上げの段階になると手鉋や鑿の世界になる。いわば今は下地作りのようなものだ。曲がりや捻れを取りながら寸法を合わせる。全て加工し終わったら初めて墨付け刻みとなる。 
 
当社には自動で鉋がけできる自動鉋盤を2機揃えている。最初に直角を決める鉋盤を通してから平行を決める鉋盤に入れる。手動でやる機械もあるが正確でないのと手間がかかる。もちろん価格も桁違いに安い。自動鉋盤まで揃えている大工はほぼいなくなった。 
 
一部の宮大工とかこだわりの家つくりをする大工ぐらいだ。絶滅するのも時間の問題だろう。材料の木材と大工が減ってしまった。製材所の廃業は鶏が先か卵が先かでどんどん難しくなっている。大工が使わないから製材所が減るし良い材料も出回らない。
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