青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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加工場

今朝は5時から起きてトラックに積み込み。すぐ製材所のトラックと工場へ出発。岩手県の沼宮内へ運ぶ。ここは製材所や材木店が出資した協同組合。補助金を受けて大規模な加工設備と倉庫を設置した。例に洩れず補助金絡みは経営がうまくいかない。 
 
来月から経営母体が変わって工場が一時ストップするので早めに持ち込む。来月は羽目板、十一月はフローリングになる。大工たちが加工する分もあるので相当な木材使用量になる。普通の家の倍は固い。 
 
作業場は今日も刻みが進行し今月中に構造は終える予定だ。来月から人を増やしてサンダーをかけたりカンナをかける。刻みが終えないと出来ないので今から人数を増やして仕方がない。来月末の上棟までには全て仕上げておかないとならない。 
 
刻みは順調だが加工は結構手間がかかる。しかもプレカットしかやったことがないと道具も持っていない。これから大工探しもしないとならない。これまで現場をやったことのある者の中からスカウトに行く。 
 
刻みも進んで材木はほぼ調達済みであとは小割材になる。壁の下池とか垂木など見えない部分になる。とりあえず墨付けのみの仕事になる。連結する部分は繋いで墨付けをするので一度作ってまたばらす。土台から始まり一階二階と小屋の部分まで来た。梁を残しているので来週いっぱいはかかるだろう。それが済むと柱など縦の部分になる。
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栗の大黒柱

今日は午前中会計事務所が来社、決算書類など。昼に歯医者によって午後からお施主様のところへトラックを借りに行く。同行して作業場へ戻り大黒や梁のチェック。夕方自宅倉庫で積み込み。 
 
大黒柱の栗を挽いたが虫の穴とか腐れがある。お施主様は腐れの程度や強度の低下を気にする。仕上がりで40センチあるから多少虫穴があっても問題はない。見た目さえ気にしなければ良い。しかし大黒柱は家の中心でシンボルである。 
 
お施主様は太い大黒を希望だが腐れや虫穴は気にする。更に挽いて細くすると虫穴は消えるだろう。腐れは中心に近くなると大きくなる。古い木は中心が腐っている例は少なくない。樹齢の古い木に共通の特徴だ。 
 
今回は栗の100年近い木なので中心部は枝から侵入した腐れが入っている。栗は5,60年を経過すると腐って自分で倒れる。新たな芽が出てまた木が成長する。だから樹齢100年近いものは例外と言える。目が細かくて綺麗なので中心部が腐っている木でも家具用に結構な値で売れる。 
 
森林組合の入札でも栗の大木は腐る腐らないに関わらず太い木は高い。用途はほとんど家具用である。建築材としては土台用が多いが稀にこうした太い木は柱にも使われる。大黒柱とか見柱など化粧の柱に使われる。太すぎて住宅用としては使いにくい木だったが今回やっと使い先が決まった。
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遊びの木

午前中は事務所で打ち合わせや事務仕事。午後から自宅倉庫でフローリングや羽目板の材料を積む。製材所の大型に一台とお施主様から借りたトラックの二台で運ぶ。製材所の社長と私の給料の高い二人が運転する。 
 
加工場では仕上がり寸法や形状などの打ち合わせが必要になる。今回は裏から見える仕上げなので裏側も仕上がっているリバーシブルになる。仕上がり厚さは作ってみないと分からないがいつもの寸法になる。
  
一番の問題は歩止まりで持ち込む材料の乾燥具合や節の有無によって変わる。杉などは原則繋いだりしないので歩止まりはいい。広葉樹や赤松などは節の部分を切って改めて繋ぎ直す。当然繋ぎ直すと捨てる部分が出て歩止まりが悪くなる。 
 
加工して作る場合は原則持ち込んだ時により決まる。次に持ち込んでも同じ寸法にはならない。機械に通す時で決まる。別な日に通すと微妙に違うので同じものが作れない。機械のセッティング次第なので同じ厚みを別な機会には作れない。 
 
となると問題は使う面積は決まっているから多めに作るよりない。持ち込んだ材料の寸法から半分以下になることが多い。微妙に足りないとなると悲劇である。いつも多めに作るから常にあまりが出る。つまり儲けが在庫になる。これでは誰もやりたくないのは当たり前だ。 
 
夕方作業場で化粧柱を選んだ。柱は基本的には杉なのだが目立つ場所にはポイントで広葉樹とか変わった木を使う。一種のお遊びだが施主により喜ばれる。そのためにいつも在庫を用意しているので大工と選ぶ。これを用意するためには柴山を買って様々な木を残しておく。 
 
昔は炭焼きのための山だったが廃れて伸び放題になりチップ材に売られる。土台に使う栗を買うときにいろいろ残しておく。大黒や梁にもできずチップにしかならないから市場には出てこない。細い木だから割れや曲がりが出やすく生では使い物にならない。 
 
樹種は欅、栗、ナラ、エンジュ、朴、クルミ、柳、アカシア、ナシ、山桜、ミズキ、キハダ、サイカチ、アカダモ…….。6寸角や5寸角に挽いて倉庫に積んでおく。現場が出たら適宜引っ張り出して挽き直したり加工する。加工も硬い木が多く面倒で並の大工はやりたがらない。
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長尺モノ

朝から製材所で修正挽き。途中歯医者に行って昼食後また製材所へ。ほぼ一日製材所のノコ近くにへばりつく。労災に違反する行為だが息子と二人でいつもやっている。回転するノコの周囲は立ち入り禁止になっている。 
 
大きく荒挽きした材木を使用寸法に落とさないとならない。この時に腐っていたり目が悪くて使えなかったりする。木は中心に近いところが節が多い。成長とともに枝は上の方に出るからだ。年数が経ち大きくなると下に枝が少なくなる。この部分が無節の良材になる。 
 
荒引きした材は皮に近い部分だから節がない。製材するにつれて中から節が出てくる。逆に中心近くまで節がなくて良材になったりもする。これはギャンブルのようなものだ。だから最後まで修正挽きに付き合いたくなるわけだ。 
 
長い材木を多用すると在庫の長尺ものが足りなくなる。長ものを山から出すと高くつくのであまり在庫をしていない。長いものを出す時は太くて節のなさそうないい丸太に限る。そもそも丸太買いは高くつく。 
 
良材をしかも長尺で取ろうとすると山から丸太で買うしかない。長尺だけを買うと値段がベラボーに高い。規格の倍以上はする。しかも良材という条件が付けばさらに高い。大梁などに長さ3間とかを使うと規格の2間ものの3倍位になる。 
 
そしてここが重要なのだが乾燥していることが条件なのだ。生の状態だと狂って曲がったり割れたりする。長尺は普通現しが多いから非常に困るわけだ。となると良材で乾燥したものしか使えないから非常に高価なものになる。 
 
古民家風とかにこだわる方は大黒も30センチ以上を望むし梁も3間とかの長尺を使いたがる。製材所でも長尺は赤松とかケヤキとか高価な木しか置いていない。住宅に使うには予算的に厳しい。しかしかなり見栄えもするので何とか在庫したりして使うようにしている。
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修正挽き

午後から台風の猛烈な雨と風。外部工事がないので現場の事は気にしなくても良い。週末にははめ板などの材料を運ぶことになった。お客様からトラックを借りたりして一度に運ぶ。岩手の加工業者に依頼することになり遠いので何往復もできない。 
 
大雨の中作業場で曲がりや大黒の修正挽きの打ち合わせ。隣の製材所で挽くので集まって打ち合わせをする。明日の午後から運んで挽くことになった。大黒や曲がりの修正挽きは製材所任せではできない。 
 
十分に乾燥した材木を少しずつ使いたい寸法に挽く。中心部に近いと普通は節が多い。腐ったりしている場合も多いので少しずつ挽いてちょうど良いところで止める。この丁度よいというのが難しい。目が悪かったりしたらがっかりである。 
 
集成材や規格の寸法だけの家つくりでは考えられない手間をかける。大工も付きっ切りで製材所に行かないとならない。ほぼ1日掛かりになる。大工にできない場合は私が代理で行くが思うような仕上がりにならない。 
 
大工には大工の都合があって良い寸法というのがある。刻みをする際にやり易い寸法がある。刻みをする棟梁でないとこの辺はわからない。微妙な感覚も必要で加工し易い寸法に挽くのが一番大事だ。明日から週末にかけ私も忙しくなる。いよいよ加工も佳境に入るので毎日が緊張の日が続く。