青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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手刻みの家

今日も作業場で加工、選定。機械が故障して急ぎ修理をする。何ヶ月か使用しない期間があって調子がでない。新たに仕入れした分も含め現場分は揃った。製材所から仕入れた分は乾燥していて無節の約物揃いですばらしい。 

減りつつある製材所だが集中化もあってそれなりに忙しい。丸太も山のように積んであるし在庫もたまっている。賃挽きが主だが自社分の丸太も仕入れしている。少ないとは言え在庫も揃っている。 
 
良い丸太を仕入れして乾燥在庫するのが基本なのだが資金繰りは厳しい。大黒や曲がりは矢無を得ないとしても杉などは在庫したくない。乾燥材がないから仕方なく在庫したが製材所の販売が調子よくない。売れないってことだ。 
 
手刻みの減少で無垢の材木が売れなくなった。宮大工とか一部の和風住宅くらいしか手刻みをしない。一般的に手刻みは無節の良材を使う現場が主だ。となると丸太買いをするにも高い丸太を仕入れないとならない。 
 
20年前に比べると丸太もだいぶ下がった。それでも丸太代と賃挽き工賃にさらに乾燥する必要がある。資金負担はそれなりかかる。製材所は仕事確保のために丸太と挽いた材木の置き場を提供する。つまりただで貸すってことだ。 
 
もちろんそれに甘えていると在庫管理が疎かになり紛失する。丸太や材木は印を付けないと誰のモノか分からなくなる。スプレーなどで色を付けたりするが製材所も動かしたりするので分からなくなる。嫌なら自分の倉庫に仕舞えと言うことだが狭いのであまり置けない。 
 
ナンダカンだと苦労する手刻みだが完成した家を施主が喜ぶのを見るとまたやりたくなる。少なくともプレカットではあり得ない家作りであることは確かだ。


木取りと墨付け

ナンダカンだとオリンピックも終わった。いつもなら高校野球を見るのがすっかりオリンピックだ。東京都知事選挙から続いてそちらに注目を持っていかれた。台風の影響もあってすっきりしない天気が続く。 
 
作業場では今日から大工が二人体制になった。先週引っ張りだした材木を今日から鉋掛けをして寸法を決める。栗の土台、柱や胴差しに使う杉の4寸角など基本となる材木を加工する。寸法を決めたら墨付けをして刻む。 
 
大黒や梁など見栄えのするところは広葉樹で作る。杉などに比べ乾燥が十分でないと割れたり曲がったりする。しかも固くて加工そのものも難しい。体力勝負のきつい仕事でやりたがらないのもいる。 
 
プレカット時代は加工や刻みが不要で大工の技術そのものが変わってしまった。刻みをするには材木に墨付けをする。何十年もやったことがない者やまったく経験がない者までいる。現場が極端に少ないので見たり経験すらできない。 
 
木取りから墨付けまでできるのがいないと手刻みの古民家はできない。一人では負担が大きく相棒が必要だ。建てる時は組み立てるのでプレカット大工でも何とかなる。人数がいないと進まないのであちこちから集める。 
 
今は木取りから墨付けに入るところだ。先週息子と二人で倉庫をひっくり返して材木を選んだ。修正挽きをするものと作業場の機械で加工できるものを分けた。刻みは土台から始まり二階の床まわり胴差し、二階の屋根周り桁へと続く。母屋など横が終わってから柱など縦になる。二人で概ね1月はかかると見込んでいる。  
 
設計者である私の役目はと言うと細部の意匠の打ち合わせがある。図面があるので大工はだいたいはできるが細部の寸法やデザインなどは相談の上決める。設計者がすべてではなく大工の意見を聞きながら自分のイメージを伝えていく。 
 
設計者の中には大工の意見を聞くと自分のイメージが壊れると言うのもいる。強引に自分の意見を通すことになる。経験豊富であればそれもアリだがよく知らないのにやると中途半端でクレームのもとになる。


材木の選定

今日も作業場で息子と材木選定。来週からもう一人大工が来て刻み開始。メインの4寸角五寸角はなんとか揃う。追加で製材所から買ったので数は間に合う。問題は大黒や梁などの見柱などだ。つまり見せ所ってことだ。 
 
フォークリフトが故障し製材所から借りたリフトで狭い作業場であちこち動かす。100坪近いとは言え在庫が入ると動くところがない。残念なことに倉庫の外が狭くて道路まで積んである。あまり通行がないとは言え近所迷惑なことではある。 
 
丸太などはどうしても外で乾燥するから道路脇に積んでしまう。崩れたりすると危ないので本当はまずい。まあ平たく積むようにはしている。材木も大黒など広葉樹は何年も置くので整理するたびに外に出す。あまり雨には当てられないのだが矢無を得ない。 
 
その広葉樹をざっと挽いて荒挽きと言うが選定する。使う材の寸法と露出の程度で荒挽きしたのから選ぶ。これがなかなか難しく何度も挽き直すこともある。思うような目が出ないとか腐っていたとかだ。外はきれいでも中心部が腐っているのはよくある。切った小口を見ればある程度わかる。 
 
見せ場である梁や大黒はすべての面が見えるとは限らない。下からしか見えないとか片面だけが出るとか様々だ。その場面で使う材を選ぶ。太さとかは重要だからある程度目が悪くても寸法は重要視する。 
太さは素人でも分かりやすいので施主のなかには不満を持ったりすることもある。しかし縦横すべての材を太くしても良い訳ではない。全体のバランスで空間の大きさに比例しているのが重要だ。すべて太い柱で建てたこともあったが大してインパクトがない。要はメリハリだろうと思う。


刻み

昨日に続き倉庫で刻みの材料選び。息子と二人で借りている倉庫で材木の選定。涼しいとは言え外の作業はしんどい。借りている倉庫の在庫の中から選ぶのだが出したり入れたり。フォークリフトも壊れて借り物でさらにトラックも調子悪い。 
 
愚痴を言っても仕方ないがこれから現場に集中しないと。何年かに一度は古民家の現場が登場する。今度も来春までたっぷりかかる。年々厳しさを増す状況でたまに古民家風が出てくる。 
 
見た目だけの偽物ではなくガチガチの古民家になる。2年に一度くらいは出てくる。最低でも半年はかかる。大工4,5人で4ヶ月はかかる。刻みから加工とできるのは息子ともう一人だけ。 
 
大工もプレカットが当たり前になって墨付けや刻みができないのが当たり前だ。しかも曲がりや大黒があれば尚できるのが少ない。長さ6.5mもあるケヤキの曲がりが今回は4本も入る。 
 
これらを刻んだり加工できるのは大工の中でもほんの一握りだ。昔はできたが今は自信がないのを入れても集めるのに苦労する。さらに機械が揃わないと加工もできない。加工機、鉋盤、リフト、ホゾ取りや各種機械。全部そろえて使えるのが最低の条件になる。 
 
当たり前だが墨付けができる大工ともう一人くらい加工ができる大工が最低条件だ。あとは手伝い程度でも何とかなる。手伝いと言っても上棟には最低5,6人が必要になる。 
 
息子が帰って来るまでは取っ替え引っ替え大工を替えた。あまり難しさに二度目の現場を拒否されるからだ。二度とやりたくないってことだ。息子が帰ってきてあと一人も見つかったので助っ人くらいは何とかなる。今度も二人を中心に何とかなると思う。


メンテナンス

作業場へ朝から行く。息子と二人で軸組をあれだこれだと引っ張りだす。パソコンに続きフォークリフトも突然動かなくなり製材所から借りる。さらに不幸は続き自動鉋盤が故障。機械屋を呼び修理する。こちらは大したことがなくホッとする。 
 
お盆前に重なるように次々と故障が出た。続くときは続くもので多分20万以上の出費になる。リフトはとりあえず借りることになり使用料で済むことになった。中古でも買うとなると50万くらいはかかる。鉋盤は中の部品が折れて交換ですんだ。機械は使い続けることで調子が良くなる。使わない期間が長いとあちこち壊れる。 
 
パソコンは使用期間が6年と長く寿命に近かった。トラックも長く使っているが修理費が馬鹿にならない。パソコンはおかしくなるときは突然くる。以前にもハードディスクがクラッシュしたときもいきなりだった。 
 
会計伝票などは10年の保管義務があるがパソコンのデータは何もない。同じソフトでもせいぜい使えるのは10年くらいだ。それより古いと読み込みができない。常に最新の仕様に直さないとならない。 
 
クラッシュしたときより古いデータは残っていない。CADは同じソフトを20年以上使っている。しかし読み込みできるのは10年くらいまでだ。それも常に新しく読み込んで保存をし続けないとならない。古いままだと読み込みできない。 
 
継続し続けることは大変なことだ。データや機械類の維持とか金を食い続ける。壊れることを前提にメンテナンスに金をかけないとならない。継続は力なりと言うがこの場合は意味が違うが重要なことだ。