青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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現しの梁材

朝一番で製材所へ。在庫分の杉の製材と曲がりを挽く。現しにする梁材は乾燥が命で割れることが多い。しかも目が良いとか条件は厳しい。柱材のようにすぐ買えるものではない。 
 
同じことは曲がりや大黒柱にも言える。客が来てから使いたいと思っても着工までに間に合わない。挽いてから1年以上は最低かかる。理想は2,3年置いてからだが在庫が増えてしまう。 
 
いつもギリギリの在庫でうまくデザインするようにしている。今回は曲がりが10本大黒用の通し柱が3本ほど出る。設計段階で必要な太さと長さはわかる。ある在庫から拾って修正挽きをして使う。 
 
よく考えてみれば皆大黒や曲がりを希望する訳でもない。話の中でそう言ったものを希望すれば使うし必要なければ使わない。皆が古民家風とは限らない。国産材希望で手刻みをと言う方が多い。 
 
しかし当社の方針で手刻みと漆喰は基本となる。そう言った仕上げは大黒柱や曲がり材が似合うのは当然だ。土台のクリと合わせいつも勧めている。曲がりはともかく大黒柱は完成後にほとんどの施主に喜んでもらえる。  
 
これから伐採予定のカラマツは現し向きではない。ヤニが強く割れと捻れが強い。外装板とかデッキ材などには向いている。和風と言うよりログなどのリゾート風向きだ。どちらかと言うと若い方の家には向いている。


曲がり梁

秋晴れの快適なお天気。伐採の現場へ寸法の確認に行った。チップ用も片付いて明日明後日には終わるだろう。作業場へ寄り打ち合わせと材木の製材の打ち合わせ。杉の丸太を買って挽く予定だが寸法を大工から聞く。午後は現場の測量をする。 
 
曲がりの丸太を最終チェックをした。樹種は栓、栗、ナラ、ハンノキ、ドロノキの5種類。栓や栗、ナラは硬く建築にはよく使われる。今回は曲がりなので柱や梁には適さないが曲がり梁に加工する。硬い木は乾燥で割れやすい。 
 
乾燥するには2,3年かかる。大きめに挽いて修正挽きをして使う。だから使用寸法より大きな8寸とか7寸にする。もちろん中心が入る芯持ちなので割れは入りやすい。割れを小さくするには5寸幅に落として使う。 
 
概ね堅い木は目が綺麗で塗装でよく映える。ところがハンノキとかドロノキは柔らかい。年輪がほぼないので白くて綺麗だ。建築材には向かないのでこけしとか箱材などに使った。私はこのような木でも塗装次第で生かせると思っている。 
 
乾燥が早いので他の木が使えない時でも何とかなる。柱など手に触れるところは傷がつきやすいので向かない。梁なら黒っぽく塗装するとそれなりに映える。ドロノキは名前からして変わっているがやわらく腐りやすいのでマッチとか下駄に使用された。 
 
ハンノキはドロノキよりも硬めだがやはり白っぽく樺のような木だ。木目がない木はあまり和風では使われない。着色で何とか使えるのだがやはり本格的な和風では無理がある。ただ木までこだわらない方もいるので割れないので現しの梁には良い。 
 
古民家リフォームでは曲がり梁をできるだけ使いたい。ケヤキとか本格的な木でも良いのだが硬くて使いにくい。現しであれば蒸れたり腐ったりしにくいのでこう言った木でも生かせる。強度とか耐久性が要求されるところには向かない。


デザインの多様性

雨が上がって道路に溢れた水が川に流れて増水している。今でもかなり水かさが高い。我が家の裏山から湧き水が出ている。雪解けとか決まった時しか出てこない。今回の雨は総量が多かったのだろう。 
 
解体の現場が遅れて地鎮祭と着工が延期になりそうだ。職人不足は深刻で2週間経っても大工仕事が捗らない。当社で請け負ったのでないので遅れが心配された。施主の直接契約は工期が遅れることが多い。 
 
大工不足なのか最近仕事の話が舞い込む。もちろん手刻みとか国産材とかにこだわった現場と言うことだが。住宅会社はもちろん大工工務店でもこのような住宅は二の足を踏むだろう。材料と手間のかかる仕事は難しくなった。 
 
どこも人手が足りないのは承知だろうが職人不足の凄さはあまり知られていない。。メーカー住宅は建材などの多用と工法で補う。自然に手刻みとか地元材から離れる。デザインに力を入れて魅力アップを図ろうとする。 
 
当社などは見かけのデザインは拒否する。使いやすさや耐久性に重きを置く。ダサいとか古臭いのは承知の上だ。威張るわけではないがデザイン最優先のために自然素材から離れるのはおかしいと思っている。 
 
そう言う流れと外国人による日本再発見は一見矛盾する。テレビでは古き良き日本を気に入った外国人が盛ん出てくる。古いものを愛するのは当人の好みだ。建材などが外国の石の家の模様を真似たものが多いのもまた当人の好みだ。 
 
当社の家が一番で他は間違っているなどと言うつもりはない。好みの多様性だと思うからだ。その多様性を守ることもまた重要だと思うのだ。だから仕事はこちらの得意とするものに限らせてもらっている。前までは仕事を断るなんてありえないと思った。今では仕事を選ばないとまともな仕事ができなくなった。


アフター

昨夜来の雨で川もだいぶ増えて氾濫寸前のところもある。作業場の前の川は氾濫常襲地帯なのですでに田んぼまで上がっている。風は思ったより強くはなくて特に被害もない。 
 
昨日は薪をいているところの片付けはした。ベニア類とか色々置いてあるので飛んでいってしまう。今日は2件ほど風で壊れた修理を頼まれた。自宅のボイラーの修理を予定したが延期になった。 
 
午前中は事務所で図面やら模型作り。午後から作業場へ様子を見にいった。雨漏りはないが下の田んぼが増水ですごくなっている。作業場までは距離があるので被害はないと思うが。 
 
雨よりも風が気になる。どこかが壊れたとかアンテナが動いたとか電話がなる。まず現場の様子をすぐ見に行くことだ。アフターはすぐ連絡をしたり手配できるようにするのが肝心だ。 
 
26年前にリフォームした方から電話でドアの鍵が壊れたと。すぐ見に行ったがまあ寿命ということだが鍵が開かない。出入りできないのだ。工事業者より鍵専門業者の方が早い。電話したらすぐ来てくれた。

とにかく処置をするのが肝心で手配をすぐする。行ってみるのが大事で電話であーでもなこーでもないはダメだ。お客様もどう処置するか決めれば安心する。アフターは儲かる訳でもないが次の仕事に繋がる場合が多い。


皮剥き

朝から雨で散歩も中止。薪運びも終わって置場はすっきりした。また製材所から皮の部分(セッカ)を持って来ます。製材所は薪としての需要はあるのですが切ったリ割ったりができません。人手をかけるほどでもないし所謂売っている薪より燃やしにくいのもあります。 
 
自分で製材した場合はセッカは持ち帰れます。短く切れば割る必要がないしそのまま乾燥できます。ただ平べったいのと皮がついています。撮るのも面倒でそのまま燃やしますが。 
 
問題は皮付きだと虫がつくことです。まあ幼虫ですね。かなり大きな虫なので嫌いな方はギョッとするでしょう。伐採は秋冬が多いので卵が皮と身の間に入っています。春になると一斉に出て来るのです。 
 
これは市販の薪でもありますが大木が多い製材のセッカは多いと思います。曲がりなどの太鼓挽きは皮が残るので必ず剥かないとなりません。この虫が乾燥中に梁の中まで侵入して穴を開けます。 
 
皮剥きは直径が50センチとか太い場合は製材所の機械で剥いてくれます。30センチクラスだと剥かないでそのまま挽くので自分で剥かないとなりません。見逃すとそこら中虫穴だらけになります。 
 
ほんの少しだと思って残すと虫はしぶとく生き残って入ってしまいます。穴つきのまま使う場合は細い線を差し込みつついて殺します。中には複雑な穴もあって殺虫剤を入れることもあります。皮を剥くのが手間で端折ると後で後悔する羽目になります。 
 
今回は13本の雑木の曲がりを出しますが何本剥いてくれるかによって私の仕事が増えます。広げて一本ずつ剥くのはなかなかの仕事です。肩や手が痺れて来るのでゆっくりやりたいところですが。