青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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職人の世界—–リフォーム2

リフォーム工事の大きな流れに定年間際族の動きがある。子も育ち一生に一度しかない退職金もあるし建て替えかリフォームか大きな選択を迫られる。築25年以上が多くて直すとしても大がかりだし老後のこともあってバリアフリーにしたい。

郊外の団地に土地を買って家を建てたのは40歳前が多かった。景気も良かったし家族単位の夢の住処を志向するのは多かった。団塊世代から順に定年となり子育ても終えた。当時は気にもならなかった郊外も歳を取ると不便な所が目についてくる。

古くなって設備関係も傷んで取り替え時期に入ってくる。自身の老後も気になり当時流行った総二階を一階だけで過ごせるようにしたがる。退職金もあって不便な郊外から中心へと建て替えにするか悩む。平均寿命も伸びて60歳定年から30年近く生きる時代になった。DSC_4779

元気で我が家で過ごすのは理想だが古くなった家は向いている訳ではない。介護も見据えたバリアフリーの家に直すのが一番のポイントになる。少しずつ手直しするより一階全部を見直して平屋風な使い勝手を望む方が増えた。

築20年以上の家は在来工法の手刻みが普通である。外材が多くて建材多用が普通になった時代になる。外部もモルタルからサイディングに変わった時期で断熱も含め取り替え需要が一番多い。アルミサッシはガラスの一重が主流で二重も登場してきた頃だ。

構造材は補強をしたらまだ十分使える。外壁の張替えと断熱の入れ替えで性能を上げる。設備関係も交換して内装をやり変える。こう言った工事が多くてほぼ見た目は新築になる。建て替えとの金額差が小さいところが悩みどころだろう。100_3657

プレカットが登場して20年以上になる。リフォームを考えるところは手刻みの在来工法が主流だった頃だ。当然直すとなると手刻みの経験がある方が良い。壊さなくとも中の構造や仕組みに馴染みがある。無駄な工事や時間短縮ができると言うことだ。

設備関係は進歩が大きい分野だが全部撤去でやり直すのが普通だ。主にモノを言うのは大工工事の経験だろう。ベテラン大工の出番ということだ。実際に大手も現場にはベテランを入れたがる。管理者も全て指示しなくても現場を任せることができる。連携できるのは大きな違いでコストに大きく影響する。

当社の大工たちはベテランが多くそう言う意味で得意な仕事になる。内外装に板張りや漆喰も可能なのでイメージの一新もできる。建材やビニールクロスではどうしても前のイメージが強く残ってしまう。

熟年世代には自分の育った環境の中で古民家的な家が記憶にある。育った家が藁吹きや土間のある空間がイメージでなく実感としてある。断熱不足もあって寒いと思い込んでいる方が多いが解消可能なことだ。DSC_4681

当社は新築だけでなくリフォームにおいても伝統的な工法と同じに工事することができる。断熱や耐震強度を補強しながら地元材を使った古民家風な家が可能になる。仕上げの技術には問題がないし耐震補強も難しいくはないからだ。

もちろんだが当社にはこう言った住宅を多数設計してきたノウハウもある。基本的なことはリフォームでも同じなので十分に希望を取り入れることができる。業者も工事の慣れたものが多いので多少難しい注文でも対応できる。

梁材や板材も乾燥した在庫もあるし調達も可能だ。設計と大工が揃っても材料がなければ絵に描いた餅になる。地元材の一品ものであるから二つと無い材で工事可能になる。同じものがない真のオリジナルの家にリフォームできる。DSC_4685


減築リフォーム

昨日は来客もなく休み。いつものように家内と温泉に行ったり買い物。
夏祭りがあちこちで開催中で国道も混雑している。道の駅なども売れ行き好調のようで棚の中は空が多い。
娘も夕方一緒に食事したが久しぶりに素麺を食す。我が家は蕎麦好きなので素麺はあまり食べない。
夏はもちろんざるそばなのだがもらいものの稲庭があった。食感、喉越し歯ごたえといつも熱いのが多いのに冷やしても美味しい。

夕方来客があって家を建てたいと。郊外に20年目の家があるが奥さん、両親とも亡くなり子もいない。
大きすぎるので自身の生まれに近い所へ越したいと。小さく建て直して病気もあって老後の家を欲しいと。
築20年はまだ使えないわけではない。なのだが不自由もあって老後が心配だと。
子供のいない夫婦で5年ほど前に奥さんも亡くなり自身も病気気味だと。屋根職人なのだが体が不自由では稼げない。

近年増えた減築リフォームとか老後用の建て替えのようなものだ。減った家族に家が大きすぎて使いずらい。
リフォームはかっては増築がメインだった。今は減築が増えてワンルーム型式に直したいと言うのが増えた。
生活スタイルの好みの変化で外に向けた意識を自分たち専用にしようと言うのが出てきた。それに老後が絡んで平屋で小さな家となる。
これからのリフォームの主力になりそうな動きだと思う。人口減の中で生き残るには無視できない動きだと思う。


職人の世界—–リフォーム1

新築需要の頭打ちや人口減少社会に突入で既存の住宅のリフォームが増えた。小は網戸を張り替えるとか大は風呂を作り変えるまで大流行になった。リフォームは行政に提出する必要のない工事が多い。工務店からホームセンターまで窓口はたくさんある。

細かい工事が多く業者も頻繁に出入りするリフォームは工事管理が重要になる。業者や資材屋に発注するだけでも大変な仕事だ。さらに住みながらの工事が多いので工事以外のトラブルも考慮しないといけない。

新築と違って現場の管理も工程管理も入念に組んで管理する必要がある。そう言ったことも設計士の大事な仕事になる。デザインさえ考えればという新築より現場での変更が多いリフォームが難しい。CIMG1573

一番のポイントは現場経験があるかどうかだ。壊して作るリフォームは事前の予測が一番重要だ。構造や痛み具合を読み適切な材料と職人を手配する。しかる後に業者の工程管理を組む。経験と知識がモノを言う。

リフォームは築10年以上を経過した家が多い。最近はプレカットの家もあるがやはり手刻みの古いのが普通だ。プレカットのデザイン業が主流の設計士には馴染みがない現場が多い。壊した現場の構造や設備関係が現在のやり方と違っている筈だ。

私自身の経験でも築20年以上が多い。となるとその当時に工事経験のある業者には有利だろう。何たって当時自分が建てていた構法なのだから。逆に言うと最近の設計事務所のように経験不足だと建て替えや徹底的に壊して作るやり方になってしまう。CIMG1609

実際そう言うデザイン優先となると大がかりに壊してが普通だ。構造やちょっとした梁や柱の付け替えが増えて工事自体が難しい。現場の大工の技術や知識がない場合設計士の責任は大きい。若い大工と設計士が組むと手間取ったり不必要な工程が出やすくなる。しかも使う材木を加工し慣れないから余計手間取る。

当社では既存の梁や桁材を取り外さなくても仕口などで補強して無駄な工程を減らすようにする。材木は常に在庫もあるし大工たちも加工はお手の物だ。ベテランにはリフォームは向いている。特に手刻みの大工には技術が発揮できて最適だ。

都市部では狭小敷地の建物が多いが法改正で建て替えできないものが増えた。リフォームで新築並みに工事してしまう例が多いと聞く。総額が大きいので中古物件を購入して自分流の住まいに作り変える。そう言う用途まで変えるリフォームがこれからの主流になりそうだ。新築では不可能な自分流の家が作れる。CIMG2909

新しい住まい方のやり方として今後は需要が見込まれる。しかし問題もあって自己資金だけなら良いがローンを組むのが難しい。ローンは担保価値だけで貸すリコースローンなので価値が問題になる。欧米のようなノンリコースローンであれば売却した時点でローンは終わる。日本のローンは売却しても担保価値が低いと残金が残ってしまう。

なので銀行は残金が出た場合に備えて安定した収入のある方のみに貸す。将来の収入リスクの低い中小の企業とか自営には相当厳しい査定が待っている。簡単に言うと公務員とか大手の企業の社員であれば担保価値を多少超えても貸してくれるのだ。

収入の少ない若い世代には総額が安くて比較的立地の良い中古住宅を買ってリフォームと言う手がやりにくい。逆に立地の良い古い家に住む方が担保価値以下の資金でリフォームすれば売却の時にも有利だ。もちろん老後の住まいとしても良いことだ。CIMG2912

中古住宅を買って想い通りにリフォームと言う流れが今後増えれば空き家対策にもなる。中住宅流通にも拍車がかかるし今後の建築需要にもなってくる。

当社はただリフォームするだけでなく自然素材を使ったリフォームを提案する。元々在来構法だから手刻みのできる大工には馴染みの現場になる。思い切って曲がり梁や太い柱に交換して古民家風とか劇的に変えることができる。そう言った時でも大工の技術がモノを言うので古民家リフォームとか漆喰仕上げの健康住宅にも変更できる。


コラム

また久しぶりのブログ。今日も朝から暑いが慣れもあって我慢できる。
午前中は銀行と支払い、午後は来客があってその後ブログ。昨日も展示場を見たいという客があって案内する。
ご近所で公園を散歩中にいずれ見たかったと。家内の知り合いが仲立ちをしてご近所4人で来た。
古民家風とか地元の木で建てると言うのに興味があったらしい。建て替えと言うよりリフォームとか子世代の新築か。

せっせとコラムを書いているが読んでいるという方からメールが来る。ブログより3倍ぐらい長いから読み応えがあるらしい。
本当はもっと長く書こうと思ったが読むほうが大変だろうとこの長さにした。原稿用紙にして4枚ほどだが一気に読むには丁度良い。
10枚とかになると長い。それに知識として読んでもらいたいので簡単に読めるほうがいい。

単行本のように構えて読むのであれば長くても良いがちょい読みは短い方が良い。時間にして5,6分。
ブログなんかだと本当に一瞬で読める。少し物足りない方が多かったと思う。
毎日書く方も大変ってば大変なのだがブログで10分くらいか。コラムは下調べもあるので1時間かかかる。
コラムは主に知識として読んでもらいたいと思って書いている。日記は文字通り日記であって日々のことを記録している。


設計の世界—–設計士

設計士と言う言葉は正式にはない。建築士が正しくて基準法で定める正式名称だ。あえてここでは設計をする職人と言う意味で書く。ご存知のように建築士は一級、二級、木造と三種類あって試験を受けて取得する。

役所への申請や管理業務には必要だ。設計が出来るから建築士なのではない。どちらかと言うと法規上の可、不可を判定するのが主目的なのだ。行政は違法建築物を取り締まる際に建築士を関与させてそれを代行させる。

主目的が遵法であるから間違い探しが仕事になる。施主の側から見れば法に触れないものはどんなのがあるかと言うことだ。設計業務を施主の希望を叶える点で言えば満点ではない。基準法という枠が嵌められるからだ。CIMG0781

昔からの伝統構法の建物は現在建てられないものもある。藁葺き屋根とか石場建てと呼ばれる束石の上に建てるのはできない。地場産業活性化による規制緩和とか層間変形角による構造計算などと難しい問題をクリアしないといけない。

設計は家を建てるためには必要なことであるから設計士は要ることになる。法規上の名称は建築士であっても設計の一部だと考えられる。設計士は施主の意向を汲んで要望を叶えるのが仕事だ。たとえ建築士でなくとも経験のある大工は設計士だと言える。

木造建築物はすべて在来の構法で建築可能だ。防火や耐震性をクリアできれば大工でも設計できることだ。行政に申請する際には建築士の資格が必要なので有資格者が有利だ。基本的に違法建築物は不可能なので最初から理解できるのは早い。CIMG0790

木造住宅も在来構法とツーバイフォーなど枠組み構法、金物による構法などがある。昔気質の大工にできるのは在来構法だが金物とか追加されて耐震性の検査に対応する。軸組による構法ではピン構造なので仕口や水平の揺れを防ぐ筋違とかが重要になる。

神社仏閣などは筋違はなく貫と呼ばれる材木で対処する。筋違よりは抵抗力が小さいので揺れを止めるのではなく減らして仕口などの強度と一緒に抵抗する。基準法では抵抗力の数字が重要なので沢山入れることになる。仕口の強度は基本的に合算はされないから確認申請には注意が必要だ。

職人不足に対応するためプレカットが普及した。住宅設計のあり方も変化して分かれる傾向がある。デザイン、設備関係と構造設計の二種で設計事務所はデザイン優先が増えた。住宅では構造計算も簡単で仕口とか事実上考慮することもない。CIMG1661

デザイナーを志す設計士は刻み以前の工程を知らない。木を出して製材乾燥し木拾いをして刻む、この工程を踏むことはない。ますます建材多用で規格化された家を表面的な仕上げ等でデザインする建て方になった。

素材の持つ質感とか曲がりなどの自然の魅力は無視される。工業製品であるから素材や仕上げにこだわろうとしても規格以外にできない。こうした家つくりが本当の設計と言えるのか疑問がある。地元の木を使った家つくり以外に実現できる方法がない。

単に表面に板を貼ったり従来のベニア製の床材から無垢に変えても本物とは言えない。柱や梁材の持つ魅力や漆喰の壁の真壁つくりは構造から別物である。プレカットは二次元的な平面の間取りだけで設計できる。無垢材の真壁つくりは材の選定から仕口加工に至るまですべて設計する。

素材自体が仕上げであるから木の知識は必要条件で在庫まであれば理想だろう。曲がりや大黒柱、梁は同じ樹種、寸法でも見た目が違う。選べるのは設計上も有意義なことだ。そう言う設計では在庫だけでなく製材所やきこりの協力が必要になる。すべて条件をクリアする材料を揃えるのは一社では難しい。

当社で山出しにこだわり続けるのはそうした各種業者との連携を大事にしているからだ。山の崩壊が懸念される今山の木を出すことが最重要なのだ。ただそれを設計できる業者が減ってしまった。あり余った植林された木は伐採を待っている。活用されるのが減り続けるのは大変残念なことだ。CIMG0832