青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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敷地の高さ

昨日今日と暑い日が続く。我が家も1階の和室で寝る。開放的な広い座敷で窓を開け放すとエアコンよりも快適だ。年に5,6日なのだが硬い布団を敷いて寝る。 
 
現場は基礎工事が進み型枠を剥がし土間の砕石敷きに入る。鉄筋とワイヤーメッシュを入れ打設する。いわゆるベタ基礎とは違う。地盤は元の地盤まで掘り下げたので強度はある。 
 
総二階構造ではないので外周の基礎には荷重がかからない。このような場合はベタ基礎でなくとも大丈夫だ。しかも外壁は板貼りなので軽い。 
 
親の敷地に向かい合わせて建っている。元は畑だったので黒土で柔らかい。傾斜を直すと1m以上削るようになる。粘土質の硬い地盤が露出している。 
 
当初は整地してパイルを打って建てる予定だった。母屋よりだいぶ高くなるので下げることにした。大型のショベルを用意して整地をした。地盤改良費が浮くので工事費としては安くなった。 
 
建物は直すこともあるが地盤はどうにもならない。高低差は解消不可能だから今しか直すことはできない。整地したことで土地の活用もよくなった。 
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基礎の打設

朝から湿っぽい中コンクリート打設があった。ベース部分ができて縦の部分を打設する。配筋後型枠と断熱材をつけてコンクリートを流す。圧送車を使い2時間ほどで終了。 

打設後のアンカーボルト位置を確認して写真を撮る。強度とスランプなどは伝票で確認。幸いなことに打設が始まる頃には雨も上がる。毎回アンカーボルト位置が微妙にずれて大工と揉める。 
 
人通口位置とホールダウン金物の位置がかぶったり色々もめる。事前に図面で指示するのだが大工の刻みの都合でずれてくる。栗の土台を使うと材長さが一定でない。 
 
建材の防腐土台なら4mと決まっているが自然のものは色々だ。2mぐらいから5mまで全部違う。それを組み合わせる段階で継手の位置が変わってくる。継手にはオスメスがあってオスの方にボルト位置を持ってくる。 
 
プレカットであれば考慮することもない。手刻みは大工の刻み次第で刻一刻と継手位置が変わる。それに応じてアンカーボルト位置も変わるからなん度も確認しないといけない。 
 
ホールダウンが入ると言うことは筋違が入ることが多い。強度的にも大事なところだが基礎と同時進行なのでややこしくなる。刻みが終わってから基礎をやれば良いのだが工期と大工の空きが出る。 
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施主様の驚き

昨日から雨の1日。金曜には基礎のコンクリートの打設があった。今週はベースと縦の型枠をつけて打設。月が変わってから建材、仮設足場、仮設電気、クレーンの発注をする。 
 
工程の遅れもなく来月末には上棟になる。作業場では大工が刻みの真っ最中。在庫の修正挽きも終わってプレーナーもかけた。在庫は135ミリ角に挽いて乾燥した。それを125ミリに製材所で修正挽きをして歪みを直す。 
 
さらに大工が自動ガンナでプレーナーをかけて120ミリにする。ここまでやるのに2,3週間かかる。そこから墨付けをして刻む。一人が墨付けをして一人が加工していく。この墨付けで形がほぼ決まる。 
 
どこの柱にどの材を使うか、表しはどこに使うか、仕上げ材の厚みによってホゾをつける。全てがこの段階で決まってしまう。仕上げ材を変更したり柱位置や梁を変えたりできなくなる。 

せいぜい色を変えるぐらいしか変更できない。上棟までの2ヶ月ほどはお施主様にとって不安が多い時期でもある。上棟してしまうとある程度形がわかる。この間がさっぱりわからないところでもある。 
 
変更が多いのもこの時期なのだがほぼできない状態になっている。せっかく刻んだ材木を捨て新たに刻む。ホゾ穴があれば埋めて新しい穴を開ける。手間と無駄が生じてコストがアップする。 
 
出来るだけ変更のないようにしたいが設計の段階でイメージを理解させることが大切だ。当社の場合は大黒柱とか使う。ない家が普通なのであまりの迫力に驚く。別な意味で施主様を驚かせる。IMG_1522


地域材の困難

土曜から気温が低い日が続いたが今日は暑い。午前中は会計事務所の来社で、午後から作業場。刻みも材料の選定が終わり加工に入る。1年前から在庫して乾燥中の角を挽き直す。現場が出ると次の現場の分を丸太から挽く。 
 
乾燥した角はほぼ手に入らなくなった。集成材が全盛で無垢材、それも節のない表し用の角は市場に在庫がない。自分で丸太を買って大きめに挽いて在庫して乾燥する。使うときにもう一度挽き直して使用する。 
 
現場が終わる毎に次の分を挽く。結局毎回現場分を挽くのと同じ金額になる。そんな面倒な手刻みをやる業者が減ってきた。地域の製材所が廃業してしまったのが物語っている。使う大工がいないと製材所は仕事がなくなる。 
 
自然素材とか健康に良いものをとか色々あるが究極は地域材で建てることだろう。地域の活性化はもちろん山の荒廃防止、さらには花粉を減らす効果もある。もちろん地域材を使うことは表しにしてこそ意味がある。 
 
仕上げも板貼りとか漆喰とか健康に配慮した工法がやりやすい。集成材のプレカット工法は仕上げもビニールクロスとかベニア類が多い。その建て方では健康的とは言い難い。理想はともかく現実は地域材に困難な時代が進む。 
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手刻みの家

暑い一日、作業場は窓も小さく猛烈に暑い。午前中は打ち合わせで午後から製材所の製材の立会い。在庫の栓を修正挽きをしたが割れも多く使えない。新たに製材所の在庫から挽くことに。 
 
杉の角や梁は在庫分で何とかいける。新たに在庫分をまた挽いてもらうが次の現場でないと使えない。来年の春以降だと大丈夫だろう。いつもこうやって今使うものと在庫分を一緒に挽く。常に在庫があるようにする。 
 
手刻みに使う材木は乾燥したもので狂わないように芯去りに挽く。中心が入ると割れやすく強度的には優れるが表しには使えない。手刻みは基本的に柱や梁を表にする。見えないようにボードで覆うのを大壁という。 
 

プレカット全盛の今は表しは基本的に無い。無理に出して塗装したものもあるが例外だろう。黒く塗装して本物に見せるやり方もある。集成梁や柱をそのまま見せて古民家風にする。真壁の家とはとても言えない。 
 
一口に製材した材木を手に入れるには材木店とか製材所から購入する。ところが材木店も製材所もほぼ全滅に近いので探すが大変だ。現場配達があたりまえのプレカットに慣れると運搬や加工ができなくなる。 
 
作業場やトラックが必要で揃えるのには金がかかる。競争激化の中でこれを用意できるのは容易なことでは無い。将来的に材木店も製材所も減るのは確実だ。手刻みの家は限りなく減っていく運命にある。