青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

090-1060-9764

スポーツの世界では16歳の高校生が活躍している。今までの日本人の概念に当てはまらない新人類のようだ。見た目も含め潜在能力が素晴らしいとか地方に住んでいる者は見たこともないタイプだ。あまりにずば抜けているので競争しようにも歯が立たない。

華やかな世界とは違い建築の世界では新人がまったく希少動物の世界になった。私の同期などは職人がいっぱいいて地元では働くのが普通だった。中には出稼ぎで都会に行ったのもいたが戻って来たのが多い。

銀行などが発行する地方の経済情報誌には建築関係は横ばいとある。住宅着工数も前年より回復し悪くないような書き方だ。景気なんて一年くらいで劇的に変わるものではないから違いをどうのこうのは難しい。CIMG3859

同業などの動きを見ると昨年より下がっているのが多い。どこかが伸びるか新規があったと言うことだ。昨年末から何社か開業したから増えた分既存が厳しい。下職の業者の情報もそんな傾向がある。

元請けの住宅会社から見れば売り上げが減るのだが職人には同じことだ。新規の会社が出れば今までと同じだ。新規の出店であるから下職は新しく募集する。遠くから連れて来る訳ではないから地元から採用する。

普通新規の下職を探すときは自分で見つけるか業者の紹介が殆どだ。建材店やメーカー、他の下職などだが最初は見積もりをさせる。その金額が元請けの指値だから相当厳しい。なんやかんやとまとめて折り合いをつけて決まる。

外部から来た会社とフランチャイズの会社はその折り合いがないに等しい。自分の指値でなければ決まらないから次々と業者を探す。いつかその値段でやる業者が出るまで続く。結局受ける業者が登場する。CIMG3821

こうやって相場が形成され下がる原因になる。コストを削るのだから指定材料は無理として手間賃しかない。職人は現場がないときは無給だから安くても続くと同じことだ。大手の業者は安いが空きが無いことを条件に持ち出す。

手間賃を下げると言ってもベテランは無理なので素人に近い手元と呼ばれるアルバイトを見つけてくる。まともな職人は一人であとは農業とか素人を集める。本業が忙しくなると抜けるので安定しない。

職人たちが働くところは零細業者が殆どだ。常に仕事が切れるのとの戦いなので新人を採用して育てるのが難しくなる。だから後継者の息子以外に新人が入って来ない。ベテランが辞めても補充もできない。

ところが大手の住宅会社は自前の養成機関があったり半社員契約にして収入を安定させる。現実には少しベテランになると独立を促し自社のアルバイト要員にしたりする。ともあれ職人は今では大手の社員になる感覚でしか集められない。CIMG3861

地方の零細業者は新人も雇えないしベテランは減っていく。仕事も大手に入らない限り安定しない。これから地方で職人の養成が非常に難しくなる。大工の例ではアルバイトから入るプレカット専門が増えた。

地方に住む若者で派遣とかアルバイトで働く者は多い。中には職人の子弟もいるが継ぐのを親である職人が望まない。低収入から低学歴でまともな職に就けない。親の仕事を手伝ったりするのもいるが続かない。

しかし世の中は変わっていく。低収入は兎も角やりがいとか向き不向きで職人になりたがるのも出てきた。地方に住めば一部を除き低収入は普通だしそれなりに食う道はある。同じ働くなら自分の好きな仕事をしたいとなる。

都会では職人の道は比較的簡単でそれなりの収入になる。人手不足は都会だけのことで仕事はいくらでもある。地方ではありえないような若者が職人を志向する。サラリーマンでも将来を約束されるのはほんの一部だ。

現場では中国人とかパキスタン人とか各種様々な人が働く。移民政策が変われば大量に流れ込むかもしれない。少なくとも都会はそう言う方向に向かいそうだ。地方では減り続ける職人がどう言う方向に向かうかまだ読めない。

住宅の現場は今でも60代が頑張っている。彼らとてあと何年もできないからその後は素人に近いアルバイトで間に合わせるのだろうか。それとも極端に省力化した工法が出てくるのだろうか。CIMG3838