青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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生活を支える『衣』『食』『住』はほぼ日本人のレベルは世界でも有数になった。着るものに関しても自分に何が似合うのか、どんなものが好きか、自分なりの価値観を持っている。著名なデザイナーやファッションブランドも世界に通用するレベルと言っても良い。

テレビで流される食に関する情報は安全や質に関しても溢れるほどになっている。ワンコインで美味しいものを食べたり楽しめるようになった。食文化そのものが世界に広まり日本人も相当な自信を持っている。そのレベルは地方に於いても然りで希少な価値を持つものにまで人は群がる。

ところが住に関してはまだ未成熟で試行錯誤が続いている。テレビ番組ではリフォーム、収納、片付けなどに関する番組が人気がある。視聴者が住む環境にどうしたら良いかと言う関心を持っているからだろう。000_0271

しかし家の建て方スタイルを見れば成熟とは言いにくい状況だ。カフェ風とか住宅の中にシアターをとか趣味的要素を、長期に渡って使用する前提でなく刹那的に考える。人の寿命が伸びて長く住むことを前提に設計されているとは思えないレベルだ。

長期優良住宅は言うまでもなく建築物省エネ法など行政の音頭で長く使えて省エネはこれからの家つくりの流れになった。現実にはそう言う本質とは別な部分が業者選別になる例も多い。表面的な仕上げデザインが多く、生活者の視点で長く快適にの視点がまだ少ない。

雨の処理を考えたら軒の出は多いのが望ましいのに、少なくさらには無いものまで溢れている。私は30年以上前に軒の出のない家に住んでいた。腐りやすいし雨には窓も開けられない。デザイン優先の思想では30年以上使い続けるのは不可能だ。100_1225

片流れは雪の処理に総二階は一階の床面積の不足を生んでしまう。コストダウンはつまるところ業者側の論理で施主にとっては不都合なことだ。予算的なことは規模縮小や設備の簡略化とかで対応して耐震性や断熱性などは削るべきではない。

現実は逆が多くて耐久性のない住みにくい家が蔓延している。こう言った傾向は大手よりも地元業者の方が多い。耐久性の観点では大手の方が厳しく長期的視野で考えている。食うために取り敢えず今売れる住宅は地元の中小の方が強い。

外壁材にしてもサッシでも大手は自社専用ブランドをメーカーに特注している。コストダウンの一環だが耐久性に関しても研究をしている。ただ見た目だけを真似ても性能は大きく違う。大手のメーカーにはデザインや性能に関しても十分な人員と予算をかけている。一朝一夕に真似できるレベルではない。CIMG1573

当社は建材だけで建てる家ではなく。地元材と手仕事で大手と対抗したいと思っている。対抗できる方法はそこしかないと思うのだが現実は年々廃れる一方なのだ。内外部の漆喰仕上げの左官職人、杉の無垢材の建具職人、羽目板加工の職人など風前の灯火のような状況だ。

2,30年前にはどこにでもあった製材所も減り、乾燥した無垢材すら手に入らなくなった。これでは手刻みをする大工も将来的には減ってしまう。遠からず手刻みの地元材使用の自然素材住宅も出来なくなる。

当社では以前からそう言った状況が来ると予測し、倉庫、作業場、加工機械を設置してきた。自社大工がいてすべて手刻みで建てている。可能な限りこのやり方を残し次の世代まで受け継がせたい。実際に若い大工が育ち30代で棟梁として頑張っている。

山から木を出す仕組みや乾燥するための倉庫、運ぶトラック、加工する機械まで揃えている。今後の展開を考えるとその方法しか手刻みを残すことができない。手間を掛ける家つくりなので棟数は限られるが残った業者の力で何とか要望に応えたい。
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