青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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曲がりの伐採

午前中は打ち合わせ、午後から作業場。土地が決まって設計業務に入るので忙しくなる。何ヶ月か前に初めて見た。まるでリゾート地のような敷地で若い夫婦にはぴったりだ。刻みの現場は墨付けが進んで材料選びは構造材が終わった。 
 
刻みは土台から始まり横の一階床周り、桁周り、屋根といく。次は縦で柱になる。これが済んで仕上げ材になり建具内法を作る。上棟にはここまででもできる。真壁の場合は仕上げ材の加工を先にするので時間がかかる。 
 
真壁工法は激減していずれ無くなるのでは思う。耐震性や断熱のやりにくさや職人のレベル確保と減る要素が多い。材料の入手と加工機械のメンテナンスと金がかかる要素も多い。いずれ超高級住宅だけになるかもしれない。 
 
更に言えば曲がりを入れる古民家風をやるのは特殊技術になるかもしれない。材料を手に入れるのが難関で市場には出回らない。古材を買うと寸法や用途が限られる。新材は新たに加工するから用途で加工する。 
 
結局自分で買って在庫するよりない。曲がった丸太は売れないのでチップ材に回される。短く切ってしまうので伐採に立ち会うしかない。伐る前に見て注文しないと出してくれない。ちょうど良い寸法があればの話だが。 
 
昨日伐採予定の現場で入用なものに印をつけた。指定長さも書いてスプレーで印をつける。樹種、太さ、曲がり具合をチェックする。せいぜい10本もあれば良いところだが20本以上印をつけた。伐採後更にチェックして最終明細を決める。 
 
曲がりは伐採前に見つけることができるか勝負だ。業者から電話が来て見に行けるかどうかだ。その段階で短く伐られないようにする。木こりから電話があるといそいそと山へ見に行く。CIMG6808


墨付け

秋晴れの一日で快適そのもの。午前中は床屋へ行きその後歯医者に。午後から伐採の現場で建築材として出す木を選定。直径を図り曲がり具合を見ながら樹種を見て決める。その後作業場へ行き大工と打ち合わせ。細部の寸法がアヤフヤなところがあって原寸を描く。 
 
手刻みは墨付けが肝心だ。図面上の設計は設計事務所の仕事だが刻みは大工が決める。設計者のイメージと刻みの寸法は一致しない。イメージ優先か原寸で工事のやりやすさ優先かだ。設計事務所の現場は一般に複雑なので大工は苦労する。 
 
一つには木造の構造をよく知らない設計者が多いのもある。イメージ通りに施工しようとすると複雑な構造になったりする。大壁の家であれば隠れてしまうのでどうにかなる。全て隠せるのは大工には楽な刻みだろう。 
 
問題は真壁で全て見える場合だ。隠す部分がないから仕掛けも構造も複雑になる。しかも設計者が伝統構法に熟知していないと納まりが理解できていない。設計者がわからないものは大工とてわかる訳がない。 
 
原寸を描いてあーだこーだと材木を前に揉めることになる。私と息子でも毎回もめて親子喧嘩になる。親子だから喧嘩になるのかもしれない。大工にすればセオリー通りに普通に仕上がるなら問題がない。 
 
特に多いのは細部の納まりが前例のない方法を要求することだ。オリジナルと言えば聞こえは良いが設計者のワガママみたいなものだ。無い物ねだりで大工は慣れないオリジナルに付き合わされる。 
 
真壁の構造は経験の積み重ねでできている。長持ちする頑丈な方法を長年かけて完成している。一時の思いつきで変わったやり方を押し通せば大工が悩むことになる。悩みたくない大工は怒ると言うことだ。

毎度現場ごとに揉めて大工が泣くか設計者が諦めるかどちらかだ。真壁の設計者はほとんどいないから真壁で家を建てたがらないのが普通だ。設計屋の現場が嫌いだと言う大工は多い。特に墨付けをする大工が嫌がる。


豆腐屋

雨も上がりわんこの散歩から始まる。昨日よりはだいぶ暖かくて上着を着たので汗をかいた。あちこちに水たまりがあってワンコはすっかり泥んこになってしまった。日中も晴れて気温が上がり秋晴れの一日。 
 
午前中は書類や図面作成。午後は解体の現場へ写真を撮りにく。昨日水道業者が切り離しをしたので噴水になる心配はない。あとは電気を切り離せば一気に解体できる。今日は窓や建具、畳などを外して壁の解体に入る。夕方作業場へ寄りすぐ戻って豆腐を買う。 
 
毎週木曜日の4時半ごろに事務所の向かいに移動豆腐屋が来る。時間が一定でないので30分くらいは待つ。顔見知りのおばんさんに買い置きを頼んだ。4時半ごろは事務所に戻れないことが多く豆腐を買い忘れる。 
 
事務所を建てて以来だから20年以上買い続けている。当然買いに来るおばちゃんたちとは顔見知りになる。おばちゃんと言っても私とそんなに違わないけどね。で、焼き豆腐と生豆腐をいつも買う。焼き豆腐は絶品ですき焼きに入れるとうまい。 
 
生豆腐は硬いのと柔らかいのがあって硬いのは焼き豆腐用だ。串に刺すのに柔らかいとできない。よその豆腐屋さんでも焼き用の硬い豆腐を売っている。食感は柔らかい方がうまいが昔風に硬いのを好む方もいる。味は思うほど違いがない。 
 
たまに出来立ての寄せ豆腐も買う。家に持ち帰ってもまだ暖かい。寄せ豆腐は置くと水が分離して硬く豆腐になる。柔らかいうちが美味しい。買ってすぐ食べると一番なのだが。


プレカットの競合

今日は一日雨。午前はHPのことで午後は現場保険で打ち合わせ。その後作業場と製材所へ寄り製材の打ち合わせ。カラ松の伐採があるので挽き方を決める。太い丸太なので階段用の板も取る予定だ。良い丸太でないと節なしが取れない。 
 
保険屋さんと話していたら保険業界もなかなか大変なようだ。保険をかける客を相手にするところを代理店と呼ぶ。保険会社が競争が激しくなって合併が進んでいる。代理店も競合から合併で一緒になるところが出る。 
 
昔なら規模の大小に関わらずマージンはあまり変わらない。今は代理店の力がマージンに影響する。大手が有利になると言うことだ。住宅業界も少しずつその傾向が出て来た。売上に応じて値引きはもちろん支払い条件も違う。 
 
プレカット化で製材所が減り国産材の製材品がなくなった。これから挽く未乾燥では使えないし在庫はもちろんない。自分で丸太を買って製材在庫するよりなくなった。 
 
プレカット材であれば現場搬入してもらって大工はいきなり建て始める。刻みや運搬の必要もないし省力化できる。なのだが皆がプレカットになれば多く建てるところとそうでないところに差がつく。売り上げが違うからだ。 
 
以前なら製材所自体が挽く量が小さいから大量に買うところもなかった。価格の差がないと言うことになる。ところがプレカットだと流通業だから仕入れ金額に応じて価格が決まる。小は大に勝てない理屈だ。そうやって淘汰が進み手刻みが廃れ均一化していく。 
 
個性化とかデザインはあくまで広告の中での差になる。実情はどこも皆似たようなものなのにだ。目先の違いをことさら宣伝して差別化を図る。手刻みとか職人技は初めからなかったようなイメージを持たせる。それに飽き足らなかった少数の方が当社のようなところに来る。


天台寺

連休は日曜だけ休んで月曜は作業場で材木運び。今日は午前中は晴れて屋根に金物をつける現場へ行った。高いところは苦手だが一人なので仕方がない。1階の屋根なのだが体が硬くなってしまう。とにかく苦手なのです。午後はまた作業場で材木の選定やら引っ張り出し。 
 
28年ぶりに浄法寺の天台寺に行った。秋の例大祭が終わったばかりで閑散としていた。本堂の建替工事中で脇の寂庵が仮本堂になっている。今回は周辺もゆっくり見る時間があった。 
 
平安時代と言うからかなり古い歴史がある。小高い山の上にあるので歩いて上がらないといけない。階段を登るのは結構きつい。山門も本堂もシートに覆われ見ることはできない。周辺の山には小さな祠のようなものがたくさんある。 
 
今でも伐採根が無数にあって大木の森の頃を偲ばせる。直径が4mもある杉の根っこが残っていたりイチョウの大木が今もある。古来何度も危機があって金のためか伐採してまた再興されてきた。 
 
以前来た時は寂聴さんが住職になって講話が始まってすぐだった。聴衆も少なく終わってから小さかった子どたちの頭を撫でてもらった。頭のいい子になりますようにと一人一人撫でてくれた。 
 
その甲斐あってか我が家の子達はなんとか仕事ができるようになった。頭がよくなったかどうかは別にして一人前の大人になった。頭を撫でてもらたご利益と思って感謝している。