青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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熱意

昨日に続き暖かく午前中は会計事務所の来訪で事務所。午後から製材所から材木を運んだり現場で打ち合わせ。屋根の煙突カバーの収まりがついて瓦が張り終わる。棟の収まりを残すのみになった。下屋は一部今日で完成してルーフィングを貼る。 
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下屋部分はほぼ無節の材料ばかりでスッキリした。見た目も大分良くなった。これがないと和風は格好がつかない。実用にも大いに影響して夏も冬も使い道は多い。やはり無節は見た目が上品で綺麗だ。集めるこちらは苦労するのだが出来たものは素晴らしい。 
 
知り合いの製材所とか建具屋、工務店、材木屋と手当たり次第電話した。あっちで5坪、こっちで10坪とかき集める。何とか半分近くまで来た。東、南側だけが見えるのでほぼ無節状態になる。やればできる、必死でやれば何とかなるの見本のようなものだ。 
 
床のフローリングも持ち込んだサクラが足りなかった。思ったよりも捻れや割れがあって予想の半分くらいだった。足りない分を加工場の社長に頼んで同業者を探してもらった。そしたら運よく秋田の加工場にちょうどあって手に入れた。cimg5633 
これで施主こだわりの桜のフローリングの家ができる。それにしても思うのはこちらの熱意があれば苦境に苦しむ業界の人脈で難しいこともできてしまう。良い家を建てたい、こだわりの家を建てたいと思っていると業者にも伝わる。普通なら相手にもされないようなライバルの工務店まで協力してくれる。 
 
なあに使わなくて余っているから売ったのさと大工は言う。例えそうであってもこちらの熱意は十分に伝わったと思う。在庫を見ると何年も動かした形跡もなく大工の言う通りだが売ったところで大した金額でもない。そう言う家を建てているのかと協力してくれたと思うのだ。何事も為せば成るの信念でやればできる。


下屋

下屋の加工が終わった大工たちは取付に入る。現しの軒裏や垂木が本格的な和風になる。今日は瓦屋も工事に来て板金屋と煙突部分の打ち合わせをした。断熱の都合もあって垂木や野地の現しができない。下屋部分は屋根のみなので断熱もない。 
 
外観は目立つ下屋部分や玄関屋根のあたりに注目がいく。リビング前の下屋は夏の日差しを遮り冬には寒さを和らげる。家の痛みにも好影響を与えるのだが床面積にも入らず工事費がかかる。見栄えだけのためにあるわけではない。古民家などには縁側という部屋でもなく外でもない空間があった。 
 
これが夏と冬の日射を調節していた。コストの関係から真四角な総二階の建物がスタンダードになった。下手をすると軒の出もない。究極のコストダウンなのだが日射がモロに入る。外壁にも雨はいつも当たるから長持ちしない。 
 
デザイン的に新しいと言うイメージがあって軒を出すと古臭いと言われる。私はそれどころか下屋も出した方が良いと思っている。家のためにも住む人間のためにも良いことばかりだ。たったコストがかかると言う点を除いて。 
 
古民家リフォームはただ内装、外装を和風に直すだけではない。昔あった縁側的なものや下屋を何とかして復活させたい。遠赤外線暖房の薪ストーブやペレットストーブを暖房に使う。それと大きく広げた空間と下屋はすごく相性が良い。 
 
どこでも作れるわけではないが使いもしない部屋を潰してでも作りたい。収納のための部屋などは家本来の機能から言えばおかしい。人間が快適に健康に過ごせることが本来の目的だ。収納の部屋などよりも下屋とか内と外の融合空間などの方がよほど使い道がある。 
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沓石

昨日に続き冷え込んだ。昨夜から積み込んだ材木を作業場へ下ろす。そのまま現場へ直行し大工たちと打ち合わせ。下屋の加工と沓石を取り付ける。タタキ部分に直接柱を建てるわけにはいかない。沓石と呼ばれる基礎のような石とかコンクリート、金属などの上に建てる。 
 
柱の荷重を支えるだけでなく持ち上げられないようにしないとならない。タタキに打ち込んだアンカーを柱に中心に入れてボルト留めする。ステンレスの既製品が一番多いが石でやるとなると難しい。タタキが平とは限らないし最初に埋め込まないとないと固定できない。
 
柱通りがまっすぐでないとダメなので1ミリの狂いも調整する。ステンレスは柱を建てて脇からボルトを打ち込む。一番簡単な方法で調整も簡単だ。コンクリート製や石だと狂うた位置に固定されるとあとで直せない。 
 
下屋部分は柱が一番目立つのでまっすぐ並んでいないの有り得ない。大工が一番神経質になるところだ。今回は石の真ん中に穴が空いて真ん中にアンカーを通して固定する。穴に余裕があるので多少の調整が効く。 
 
本屋は断熱の関係で屋根垂木現しにできなかった。外観で一番目立つのは屋根そして玄関側の外壁だろう。道路から見る位置もちょうどそういう位置になる。 
 
下屋部分は道路から見た印象を左右する位置にある。ここはなんとか本格的な和風の作りで行きたい。大工たちも慎重になる理由がここにある。今日から応援の大工が来て外部の断熱とか下地作りをやってもらう。息子たちが加工と難しい部分を担当する。cimg5611


丈夫に作る

今日はバスユニットの組み立ての打ち合わせで早めに出た。昨夜の冷え込みで道路はガッチリ凍り大渋滞。下りの坂は超ノロノロ運転。いつもより早めに出たので何とかなった。打ち合わせ後作業場へ行き積んでまた現場へ。下屋の建て方を開始してまた大工が現場へ戻る。 
 
本屋より下屋の部分が本格的な造りになっている。垂木現しで野地板も広小舞、破風と和風の造りになっている。下屋部分は断熱もなく屋根だけなので可能なのです。小さい割には手間がかかり材料も入る。垂木ピッチは22.5センチと狭くすごい数になる。 
 
在来の造りは45センチピッチが基本で全ての屋根工事の基準となっている。本屋も30センチピッチと普通より狭く重い瓦葺に対処している。軒の出が3尺、91センチなので積雪を考慮すると板金葺より強度が必要だ。長い年月で垂れ下がった軒を見るが強度が足りないからだ。 
 
デザインとか見てくれよりも長い目で見て丈夫な方が良い。外観はこんなところで古臭く感じるものだ。内部も梁と柱の隙間とか梁のたるみなどが印象を悪くする。豪邸に行くと外壁の傷みの割にはガッチリした感じがするものだ。肝心なところがガタが来ない家は長持ちする。 
 
長持ちの概念は全体の緩みや曲がったり下がったりが影響する。普通にガタがきたとはこう言うことを言うのだろう。どことなく歪んで見えるからだ。外壁を張り替えたりすると構造は手をつけなくともガッチリした感じになる。歪んだラインがピシッと通るからだ。 
 
リフォームでも内部の床が歪んだり下がっているところは多い。施主が気がつかないのもあるし壁が割れるほど酷いところもある。全体の歪みは強度の不足の問題だ。梁が細い、材木が細い、ピッチが飛んでいる…こんな理由だ。こんなところをキッチリと作れば丈夫な家ができる。素人にはわかりにくいところでもある。


こだわりの材料

昨夜の雪が積もって現場で板金と打ち合わせの予定が午後になる。滑るからですがプロである板金屋にはどうと言うこともないが私が怖い。午前中は結局作業場で加工の手伝い。午後は現場へ搬入と在庫整理。在庫であるものを使い切るために隅々まで探しまくる。 
 
ストーブの煙突カバーを瓦葺きのために板金で加工する。板金職人に採寸と加工法を打ち合わせ。お施主様の要望でステンレス製でやることになった。いつもはガルバリウム鋼板だがステンレス加工が稼業なこともあった。長持ちは確かだが加工と価格に難があってあまり使われない。 
 
板金屋も問屋の在庫とか納期がどうなのか詳しくない。で、私が直接確かめて小ロットでも出してくれる色を聞いた。黒を希望だったのが在庫がある。他の色を選ぶと問屋はあまり出ないので注文を渋る。残ると在庫が出ないからだ。 
 
私は銅製品を使うがこちらも納期や調達に苦労する。はっきり言えば板金屋は請け負いたがらない。残しても足りなくても面倒なのだ。建築資材はデザインの多用とは反対に種類を絞る傾向がある。特殊なものは手に入りにくいと言うことだ。 
 
もちろん材木にも言えるがプレカットやビニールクロスだけだったら簡単に手に入る。それ以外の変わったものは材料も加工職人もとにかく苦労する。本物やこだわりと言うのは宣伝文句ほど簡単でない。それこそ言うは易しで欲しいとなると滅多に手に入らない。cimg55982