新築需要の頭打ちや人口減少社会に突入で既存の住宅のリフォームが増えた。小は網戸を張り替えるとか大は風呂を作り変えるまで大流行になった。リフォームは行政に提出する必要のない工事が多い。工務店からホームセンターまで窓口はたくさんある。
細かい工事が多く業者も頻繁に出入りするリフォームは工事管理が重要になる。業者や資材屋に発注するだけでも大変な仕事だ。さらに住みながらの工事が多いので工事以外のトラブルも考慮しないといけない。
新築と違って現場の管理も工程管理も入念に組んで管理する必要がある。そう言ったことも設計士の大事な仕事になる。デザインさえ考えればという新築より現場での変更が多いリフォームが難しい。
一番のポイントは現場経験があるかどうかだ。壊して作るリフォームは事前の予測が一番重要だ。構造や痛み具合を読み適切な材料と職人を手配する。しかる後に業者の工程管理を組む。経験と知識がモノを言う。
リフォームは築10年以上を経過した家が多い。最近はプレカットの家もあるがやはり手刻みの古いのが普通だ。プレカットのデザイン業が主流の設計士には馴染みがない現場が多い。壊した現場の構造や設備関係が現在のやり方と違っている筈だ。
私自身の経験でも築20年以上が多い。となるとその当時に工事経験のある業者には有利だろう。何たって当時自分が建てていた構法なのだから。逆に言うと最近の設計事務所のように経験不足だと建て替えや徹底的に壊して作るやり方になってしまう。
実際そう言うデザイン優先となると大がかりに壊してが普通だ。構造やちょっとした梁や柱の付け替えが増えて工事自体が難しい。現場の大工の技術や知識がない場合設計士の責任は大きい。若い大工と設計士が組むと手間取ったり不必要な工程が出やすくなる。しかも使う材木を加工し慣れないから余計手間取る。
当社では既存の梁や桁材を取り外さなくても仕口などで補強して無駄な工程を減らすようにする。材木は常に在庫もあるし大工たちも加工はお手の物だ。ベテランにはリフォームは向いている。特に手刻みの大工には技術が発揮できて最適だ。
都市部では狭小敷地の建物が多いが法改正で建て替えできないものが増えた。リフォームで新築並みに工事してしまう例が多いと聞く。総額が大きいので中古物件を購入して自分流の住まいに作り変える。そう言う用途まで変えるリフォームがこれからの主流になりそうだ。新築では不可能な自分流の家が作れる。
新しい住まい方のやり方として今後は需要が見込まれる。しかし問題もあって自己資金だけなら良いがローンを組むのが難しい。ローンは担保価値だけで貸すリコースローンなので価値が問題になる。欧米のようなノンリコースローンであれば売却した時点でローンは終わる。日本のローンは売却しても担保価値が低いと残金が残ってしまう。
なので銀行は残金が出た場合に備えて安定した収入のある方のみに貸す。将来の収入リスクの低い中小の企業とか自営には相当厳しい査定が待っている。簡単に言うと公務員とか大手の企業の社員であれば担保価値を多少超えても貸してくれるのだ。
収入の少ない若い世代には総額が安くて比較的立地の良い中古住宅を買ってリフォームと言う手がやりにくい。逆に立地の良い古い家に住む方が担保価値以下の資金でリフォームすれば売却の時にも有利だ。もちろん老後の住まいとしても良いことだ。
中古住宅を買って想い通りにリフォームと言う流れが今後増えれば空き家対策にもなる。中住宅流通にも拍車がかかるし今後の建築需要にもなってくる。
当社はただリフォームするだけでなく自然素材を使ったリフォームを提案する。元々在来構法だから手刻みのできる大工には馴染みの現場になる。思い切って曲がり梁や太い柱に交換して古民家風とか劇的に変えることができる。そう言った時でも大工の技術がモノを言うので古民家リフォームとか漆喰仕上げの健康住宅にも変更できる。