現場が重なると大工の刻みが追いつかなくなる。要するに材料の手配が間に合わなくなる。集成材の大壁と違って4寸角でも一ム角と並角を用意する。ちょうど在庫があれば良いが無ければ製材所から買うことになる。その製材所だっていつも乾燥したのがあるとは限らない。角だけでも面倒なのに小割り材も4,5種類用意する。
丸太買いの時は小割りも在庫がかなりあって間に合っていた。もちろん乾燥材だ。その当たり前が在庫を減らすと製材所の倉庫を探さないとならない。製材所だって当社のためにばかり在庫しているわけでないから都合よく見つからない。
で、結局どうなるかと言うと大きめのから挽き落とす。単価は高くなる。それに付き合う私の手間もかかる。建材のように電話1本で現場配達なんてワケにはいかない。加工業者とか製材所とか建具屋とか真壁造りに欠かせない業者がドンドン廃業が相次ぐ。
四面楚歌の現況は本格的な手刻みの真壁造りが厳しさを増している。私のところは大工の息子がいるからそちらの心配はしなくても良い。材料と下請け業者がなんとかなれば今でも可能だ。
古民家リフォームを標榜してこう言うのもなんだが難しさは急カーブで増している。宮大工の息子と作業場が完備しているだけも今では貴重だ。古民家風と言っても外部の屋根垂木だけ凝って内部は大壁のクロス貼りなんてのばかりだ。
土台の栗もこだわる現場以外は探せなくなった。2mの短い材木ばかりで長い4mとか探せない。いくら腐りにくて丈夫と言っても短いのをつないで作るのは手間がかかるし弱い。ヒバとかヒノキの方が見つかるしやすい。大工だって軽いから大歓迎だ。