下屋の加工が終わった大工たちは取付に入る。現しの軒裏や垂木が本格的な和風になる。今日は瓦屋も工事に来て板金屋と煙突部分の打ち合わせをした。断熱の都合もあって垂木や野地の現しができない。下屋部分は屋根のみなので断熱もない。
外観は目立つ下屋部分や玄関屋根のあたりに注目がいく。リビング前の下屋は夏の日差しを遮り冬には寒さを和らげる。家の痛みにも好影響を与えるのだが床面積にも入らず工事費がかかる。見栄えだけのためにあるわけではない。古民家などには縁側という部屋でもなく外でもない空間があった。
これが夏と冬の日射を調節していた。コストの関係から真四角な総二階の建物がスタンダードになった。下手をすると軒の出もない。究極のコストダウンなのだが日射がモロに入る。外壁にも雨はいつも当たるから長持ちしない。
デザイン的に新しいと言うイメージがあって軒を出すと古臭いと言われる。私はそれどころか下屋も出した方が良いと思っている。家のためにも住む人間のためにも良いことばかりだ。たったコストがかかると言う点を除いて。
古民家リフォームはただ内装、外装を和風に直すだけではない。昔あった縁側的なものや下屋を何とかして復活させたい。遠赤外線暖房の薪ストーブやペレットストーブを暖房に使う。それと大きく広げた空間と下屋はすごく相性が良い。
どこでも作れるわけではないが使いもしない部屋を潰してでも作りたい。収納のための部屋などは家本来の機能から言えばおかしい。人間が快適に健康に過ごせることが本来の目的だ。収納の部屋などよりも下屋とか内と外の融合空間などの方がよほど使い道がある。