仕事が設計なのに家の建て方の変化に疎いところがある。最新の設計の流れとかに乗っていないと思っていた。毛色の違う建て方なので最新の建材とか機能の勉強が足りない場合がある。単に勉強不足なのだが自分が興味のない分野は特にそうなる。
メーカーの営業時代は会議の連続で、新商品とかいつも新しい情報を叩き込まれていた。新しいものは必ずしも客に良いことばかりとは限らない。企業にとって良いことでも使う立場でみれば危ないことだってある。建材などはいつも問題だらけでモデルチェンジの連続だった。
企業は基本的に利益を上げる集団である。禁止されても代わるものをすぐ見つける。シックハウスが問題になって久しいが対応しない建材はほとんどない。接着剤などは一番危ないのだがすぐ禁止されていない物質を使う。似たような成分でも少し違うと許可になる。
まるでイタチごっこで企業の製品開発力は行政などが追いつかない部分がある。だから禁止されてもすぐ対応品を開発してくる。それが本当に問題がないものであれば良いが、逆にそれを機会にさらに機能をアップさせたりする。安全第一などと単純に信じるのは少し危ない。
真冬のアイスは珍しくなく暖かいのは当たり前になった。断熱が良いと言っても、室内の空気が入れ替わらないのが基本だ。当然空気が汚れるし換気をしないといけない。建材を多く使うと色々な有害物質が出てくる。換気しないとならないのだが断熱材の性能が上がって入れ替わりにくくなっている。
換気回数は行政により強制的に決められている。回数を減らせば違反になるからできない。ギリギリの回数を効率良く換気する高断熱高気密があるらしい。メーカーの言い分を聞くともっともらしいが、建物ごとに難しい計算をして決めると言うが非現実的なことだ。
数字合わせのまやかしに近いと思うが、メーカーは真剣に売り込んでくる。私に言わせれば、そもそも元から断たなきゃダメで建材使用を減らせば良いことだ。大壁とビニールクロスを止めれば格段に室内の空気が良くなる。そこは無しで金額を膨らませるために新しい建材や機械を開発する。これでは施主の負担ばかり増える。もっともメーカーはそれこそが目的で売り上げのアップが可能だ。
40年以上も業界を見ていると職人仕事をメーカーが奪うという流れがある。職人の手仕事を建材に置き換えメーカーは伸びてきた。仕事を奪っておきながら職人不足をことさらのように宣伝する。本当に職人不足かどうか大いに疑問がある。現場の職人で仕事が多くて困るという話は聞いたことがない。
少子高齢化で将来家が建たなくなるのは誰でもわかる。家が建たないと職人は仕事が減る。マスコミなどは職人不足を大げさに言うが現場では仕事のない職人は大勢いる。メーカーは行政に職人の手仕事に規制をかけるよう働きかける。
例えば道路から水道を引き込むと道路を掘る。業者の職人が2,3人と交通整理のガードマンが必ず立つ。正確には仕事内容が違うが大人数になっていることは間違いない。人手が足りなくなるのは明白で職人不足と言うのは少し変だ。ガードマン会社の仕事が増えただけだ。
メーカーにとっては職人の手仕事の分野しか売り上げを伸ばすところがない。新築需要が減れば一棟あたりの売り上げを伸ばすよりない。職人が加工して連結する配管もワンタッチの配管に変わって値段も高くなった。スピードアップで余った職人が首を切られる。
メーカーは常にトラブルがある度に改善と称して売り上げのアップの方法を探ってきた。狙われたのは手仕事の分野で建材に置き換えれた。モデルチェンジの度に強度が落ちて複雑な機能を付加して値上げする。メーカーの常套手段でその陰に職人の首切りがある。
自然素材住宅はいつも住宅会社のウリ言葉になる。建材多用の不健康住宅をメーカーとともに進めてきた。健康とか本物志向の流れをキャッチするとすぐ板を貼ったり漆喰を塗る。中身は同じだから上辺の仕上げだけで健康住宅はかなり嘘くさい。