青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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文字の変換で”さかん”と入力すると盛んと出てくる。”さかん”は左官のことだと思っているのは業界人だけらしい。
伝統的な家を建てるには必要な職人は大工、左官、建具と言われる。プレカット時代になって廃れてコテを握らない職人が増えても内外の仕上げは板張りか左官しかない。
30年ほど前はモルタル仕上げが外壁の主流だった。内部も大昔は漆喰で風呂などもタイル貼りだった。カマドとかコンクリート流しとか左官で作る設備も多かった。

職人は時代によって流行り廃りがある。左官と建具が最たるもので全て建材に変わってしまった。
その左官の最後に残った住宅仕事は玄関のタイル貼りだけになった。
当社は内外漆喰とか玄関土間を三和土で土で仕上げたりする。竹小舞を組んで土壁を塗り漆喰仕上げもほぼやることが無くなった。
時間と金額が住宅に使えるシロモノでなくなった。かろうじて外部にモルタルリシン掻き落としとか希望されることがある。s6

大工同様こちらも高齢化が進み休憩で話しているとそのまま老人クラブになってしまう。70代もまだ現役がいて60代とペアを組んだりする。
コテはともかく持ち運びができなくなる。重いモルタルの入ったバケツを二階まで何往復もする。漆喰など仕上げは厚さ0.2ミリとかの世界になる。
しばらくやらないとコテを持つ手が震えてできなくなると言う。頼んでいる左官屋は職人が4人いるが仕上げができるのは一人だ。下塗り、中塗りまでは良いとして上塗りは難しい。

珪藻土とか石灰クリームなども塗り要領は漆喰と同じだ。乾きの速さや塗りの滑らかさに多少違いはある。手間賃がほとんどなので種類が変わっても金額は違わない。土佐漆喰とかテカテカにする大津磨きはできる職人が少ない。
今でも田舎では土蔵の修理とかあって職人が3年がかりで足場を組みやることがある。新築住宅ではやらないがそう言う技術がないとできない。学校を出て修行をして一人前になっても激減した仕事では食っていけない。s3

土間のある家は最近増えている。土間と言っても殆どコンクリートにタイルかモルタル仕上げだ。
古民家風とかで玄関土間を土の土間にする方がいる。京都の聚楽土とか昔からの材料も販売されていて施工も簡単だ。湿らせて木槌で叩き締める。
叩きはこれから来ているが叩くほどに水が出て強く固まる。地元産にこだわればゴロダと呼ばれる土に石灰と苦汁と粉炭を混ぜて作る。昔の農家の土間などはこれで割れが入りやすく乾くと埃になる。

漆喰の仕上げ方も職人により多少の違いがある。
材料も違うが仕上げてから半乾き状態でコテでシゴく。シゴくことで割れ防止のスサと呼ばれる毛を寝かせるのと定着させて剥がれにくくする。クリーム状の一発仕上げの漆喰だとシゴきがない。
シゴいた方が良いのだがシゴいた跡がテカリとなって出てくる。施主によっては気にする方も多くクリーム状が増えた。漆喰仕上げは調湿とか効果があるが一番は吸臭だろう。s2

息子が新築してから孫が保育圏で木の匂いがすると言われる。過去に建てた方にも何人か言われた。
生活臭が漆喰に吸臭されて柱などに触った木の匂いがする。帰宅した御主人が木の匂いでホッとすると言われる。建材や生活臭がしないので余計木の匂いがするのだろう。
これが和紙とかの仕上げだと違った匂いになる。漆喰と木の仕上げは最高の組み合わせと思っている。

外部モルタルが建材に変わったのは断熱材の関係もある。
外断熱だと柱の外側に重いモルタルを張り付ける。経年変化でタレ下がったりする心配がある。
基準法では厚さは20ミリ以上と決められているので建材よりも重い。
真壁仕上げも充填断熱が壁厚が少なくて難しい。余計外断熱仕様になるから外壁も出来るだけ薄くしたい。となると薄く軽い18ミリのサイディングになってしまう。地震などで亀裂も細かく別れるサイディングの方がモルタルより入りにくい。s5

玄関タイルだけとなった左官工事も土壁や石貼りなどバラエティーに富んだ仕上げができる。マキストーブの遮熱壁やハーフユニットを使った浴室なども左官やタイルで作れる、バラエティーと言う意味では左官は色々な技術を持っている。
個性的な家つくりには欠かせない業種だろう。ただ後継職人がいないのは大工よりも大変かもしれない。