徐々に気温が下がり夕方には雪もチラつく。午前中は図面、午後から打ち合わせ。合間に振り込みや支払いなど。月末の忙しさが過ぎてもまだ発注やら加工の打ち合わせが続く。ひっきりなしに携帯が鳴り各職種から問い合わせでこんがらかる。
こんがらかるなんて言ってられないのだが次の基礎の打ち合わせの最中に今の現場の水道屋から電話がなる。すぐに頭が切り替わらずトンチンカンなことを言って職人に怒られる。4,5年前には常に2,3件はやっていたから少し老化が進んだと言うことか。
倉庫に溜まった在庫のように役にも立たない知識が増えてきた。お施主様にカッコいいことを言ったが大工に無理だと言われる。慌てて訂正に走るが喜びも大きい分落胆も大きい。しこたま嫌味を言われて落ち込む。
少しでもこだわった家をと思い在庫である材料を使って見積もりにない仕様を考える。考えただけだったら済むことがお施主様に言ってしまうと義務になる。後で材料が足りないとか使えないとかで言い訳する。こだわる方は喜ばせた分落胆も大きくてしばらく険悪な雰囲気になる。
もちろん悪気なんてなくて少しでも良くなると思い提案するのだが早トチリしてしまう。在庫をチェックしてから言えば良いものを営業トークもあって喋ってしまう。辻褄を合わせるためにあちこち在庫を聞いたりなんとか納めるように走り回る。んで、うまくいけばハッピーエンドなのだが世の中そうはうまくいかない。
ただこう言うやり取りの中で少しでもお施主様の意向が確認できたり良い方向に転がることもある。羽目板で言えばどんな種類があるかなど施主が理解する。その中から自分が選択できることになる。通りいっぺんな当たり障りのない仕様よりよっぽどマシだろう。
普通はこんな面倒くさいことは業者はやりたくない。サッサと済ませたいのが本音だが施主様の立場になると違いは大きい。こだわる方は満足度が違う。それは大きなことばかりでなく些細なことにも言えるから限りなく手間暇を開けると言うことになる。大工の手間暇だけでなく設計も手間暇をかけている。