青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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沓石

昨日に続き冷え込んだ。昨夜から積み込んだ材木を作業場へ下ろす。そのまま現場へ直行し大工たちと打ち合わせ。下屋の加工と沓石を取り付ける。タタキ部分に直接柱を建てるわけにはいかない。沓石と呼ばれる基礎のような石とかコンクリート、金属などの上に建てる。 
 
柱の荷重を支えるだけでなく持ち上げられないようにしないとならない。タタキに打ち込んだアンカーを柱に中心に入れてボルト留めする。ステンレスの既製品が一番多いが石でやるとなると難しい。タタキが平とは限らないし最初に埋め込まないとないと固定できない。
 
柱通りがまっすぐでないとダメなので1ミリの狂いも調整する。ステンレスは柱を建てて脇からボルトを打ち込む。一番簡単な方法で調整も簡単だ。コンクリート製や石だと狂うた位置に固定されるとあとで直せない。 
 
下屋部分は柱が一番目立つのでまっすぐ並んでいないの有り得ない。大工が一番神経質になるところだ。今回は石の真ん中に穴が空いて真ん中にアンカーを通して固定する。穴に余裕があるので多少の調整が効く。 
 
本屋は断熱の関係で屋根垂木現しにできなかった。外観で一番目立つのは屋根そして玄関側の外壁だろう。道路から見る位置もちょうどそういう位置になる。 
 
下屋部分は道路から見た印象を左右する位置にある。ここはなんとか本格的な和風の作りで行きたい。大工たちも慎重になる理由がここにある。今日から応援の大工が来て外部の断熱とか下地作りをやってもらう。息子たちが加工と難しい部分を担当する。cimg5611


丈夫に作る

今日はバスユニットの組み立ての打ち合わせで早めに出た。昨夜の冷え込みで道路はガッチリ凍り大渋滞。下りの坂は超ノロノロ運転。いつもより早めに出たので何とかなった。打ち合わせ後作業場へ行き積んでまた現場へ。下屋の建て方を開始してまた大工が現場へ戻る。 
 
本屋より下屋の部分が本格的な造りになっている。垂木現しで野地板も広小舞、破風と和風の造りになっている。下屋部分は断熱もなく屋根だけなので可能なのです。小さい割には手間がかかり材料も入る。垂木ピッチは22.5センチと狭くすごい数になる。 
 
在来の造りは45センチピッチが基本で全ての屋根工事の基準となっている。本屋も30センチピッチと普通より狭く重い瓦葺に対処している。軒の出が3尺、91センチなので積雪を考慮すると板金葺より強度が必要だ。長い年月で垂れ下がった軒を見るが強度が足りないからだ。 
 
デザインとか見てくれよりも長い目で見て丈夫な方が良い。外観はこんなところで古臭く感じるものだ。内部も梁と柱の隙間とか梁のたるみなどが印象を悪くする。豪邸に行くと外壁の傷みの割にはガッチリした感じがするものだ。肝心なところがガタが来ない家は長持ちする。 
 
長持ちの概念は全体の緩みや曲がったり下がったりが影響する。普通にガタがきたとはこう言うことを言うのだろう。どことなく歪んで見えるからだ。外壁を張り替えたりすると構造は手をつけなくともガッチリした感じになる。歪んだラインがピシッと通るからだ。 
 
リフォームでも内部の床が歪んだり下がっているところは多い。施主が気がつかないのもあるし壁が割れるほど酷いところもある。全体の歪みは強度の不足の問題だ。梁が細い、材木が細い、ピッチが飛んでいる…こんな理由だ。こんなところをキッチリと作れば丈夫な家ができる。素人にはわかりにくいところでもある。


こだわりの材料

昨夜の雪が積もって現場で板金と打ち合わせの予定が午後になる。滑るからですがプロである板金屋にはどうと言うこともないが私が怖い。午前中は結局作業場で加工の手伝い。午後は現場へ搬入と在庫整理。在庫であるものを使い切るために隅々まで探しまくる。 
 
ストーブの煙突カバーを瓦葺きのために板金で加工する。板金職人に採寸と加工法を打ち合わせ。お施主様の要望でステンレス製でやることになった。いつもはガルバリウム鋼板だがステンレス加工が稼業なこともあった。長持ちは確かだが加工と価格に難があってあまり使われない。 
 
板金屋も問屋の在庫とか納期がどうなのか詳しくない。で、私が直接確かめて小ロットでも出してくれる色を聞いた。黒を希望だったのが在庫がある。他の色を選ぶと問屋はあまり出ないので注文を渋る。残ると在庫が出ないからだ。 
 
私は銅製品を使うがこちらも納期や調達に苦労する。はっきり言えば板金屋は請け負いたがらない。残しても足りなくても面倒なのだ。建築資材はデザインの多用とは反対に種類を絞る傾向がある。特殊なものは手に入りにくいと言うことだ。 
 
もちろん材木にも言えるがプレカットやビニールクロスだけだったら簡単に手に入る。それ以外の変わったものは材料も加工職人もとにかく苦労する。本物やこだわりと言うのは宣伝文句ほど簡単でない。それこそ言うは易しで欲しいとなると滅多に手に入らない。cimg55982


瓦工事

今朝は早起きでトラックでフローリングの材料を運ぶ。加工場は2時間ほどの所にある。行くだけで大変なのに奥深い山の中にある。途中はアップダウンのきつい道路ですぐ近くにスキー場がある。もうすぐ道路は雪に覆われトラックはきつい。 
 
最後の持ち込みで年内に完成する。今日も持って帰ったのは4mあってクレーン付きでないと運べない。残ったものは2mになるからピックアップでも運べる。こちらなら雪道でもへっちゃらで安心だ。何度も往復してすっかり道も覚えて夏なら快適なドライブコースだろう。 
 
現場は瓦屋が入って桟をつけて瓦を葺くばかりになった。瓦は板金などと違い隙間がある。それを防ぐにはフェルトしかない。だから瓦葺の場合は厚くて性能の良いゴム系のフェルトになる。フェルトなどなかった昔は泥を塗ってその上に瓦を載せた。 
 
今は防災瓦になって木製の瓦桟を打って釘で瓦を留める。地震でずり落ちる瓦は泥に乗っているからだ。釘打ちの防災瓦なら落ちたり飛んだりはしない。重い瓦は軽量化も進んで材料だけでなく葺き方そのものも変わってきた。 
 
板金の多い当地では和風のデザインの場合だけ瓦になる。予算的にも板金より相当高くなる。だから瓦は高級住宅の証でもある。cimg5596


瓦屋

朝は寒さが残ったが日中は暖かい。現場の雪も溶けて足場の解体と瓦の配達が届いた。大工は作業場で下屋の加工。夕方から手直しで息子と現場へ行く。せっかく作った押し入れの中間棚を撤去して欲しいと。使い手に不便があったのだろう。 
 
今日届いた瓦は三州瓦で愛知から直送できた。何箇所かあった瓦屋も一箇所だけになった。仕事が集中して景気が良いかと思えばそうでもないと。職人も減ったし営業がいたのにクビになっている。仕事量が激減したのだ。cimg5592 
 
大震災の時は瓦屋は仙台に行ったきり帰ってこなかった。あちらは瓦葺が多い。職人は仕事がありすぎて瓦メーカーが全国の職人を集めた。相当な高賃金で集めるのだが2,3年で騒ぎは収まった。で、瓦屋は元の状態に戻り人数を減らした。 
 
城のような瓦を乗せた大きな家が減って田舎では仕事がなくなった。洋瓦が少し増えても大げさな瓦を乗せた現場には追いつかない。瓦だけで小さな家を建てるのできるほどかける。工期も何ヶ月もかける。断熱も耐震もクソもない見てくれだけの家だ。 
 
隣近所との見栄の張り合いのような家は天然記念物のように激減した。瓦は仕事が大幅に減って業者数も減る。全国的に見れば主流なのだろうが当地では珍しい。もう十年にはなる付き合いだが職人が減る一方だ。そのうち廃業しないとも限らない。cimg5591 
 
瓦自体はなくなることもないだろうから業者が遠くから来るようになる。メンテナンスやアフターがどうなるか心配だ。メーカーが主導するような体制になるだろうか。何にしても古民家にはなくてはならない業者だ。仕事を増やそうにも予算的な事情が許さない。将来が心配な業者だ。