青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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ハチマキ

今日も寒い日が続く。日中もあまり気温が上がらず風も出て外仕事の大工はきつい。玄関屋根ができて外壁の板張りに入る。板の上には小壁の漆喰が回る。その寸法を決めるのだがなかなか面倒だ。 
 
板は着色して黒っぽくすると小壁の漆喰が活きてくる。その割合は建物の大きさ高さによる。二階だと見上げるようになるので少し小さめでも良い。平屋だと破風に隠れて遠くから見ると小さく見える。 
 
小壁のことを通称ハチマキと言う。家全体をぐるりと回るからだ。そして家全体を引き締めるような感じになる。それが頭に巻くハチマキのように見えるのだろう。 
 
板も上小と呼ばれる小節ありで考えたが無節の方がもちろん良い。あちこち探して何とか半分くらいはいける分を見つけた。高く払うのであればどこでもあるがそこは交渉次第である。 
 
どんな些細な部分でも製材所とか材木屋、宮大工などを探せば出くるものだ。要は努力というか熱意だろう。知り合いの数がモノを言うからベテランほど有利だ。普段からの付き合いが大事だ。 
 
もちろんこだわりや好みが合わない方には無用の話だ。昔の棟梁と呼ばれる大工たちは遊びの要素を取り入れたり銘木に凝ったりした。半分は自分の見栄で施主を喜ばせようとするのが半分だ。 
 
だから喜ばないことならハナから考えたりしない。今の住宅は建てると言うより買うのがほとんどだ。見積もりのものが合わないと思っても余計な提案などしない。早く作ると言うのが普通になって施主も余計なことには喜んだりしない。


唐松の乾燥

午前中はいつものように事務所で図面。午後から現場へ、その後作業場と製材所へ。また戻って現場で玄関屋根の確認。と言うかチェックとダメ出し。事務所へ戻るといつもの豆腐屋さんがまだいた。慌てて買いに走る。 
 
下地ができて外部の仕上げになるが玄関の屋根ができた。玄関屋根ができないと外壁が貼れない。和風の場合は玄関が一つのシンボルのように凝るのが多い。今回は小さめなのだが屋根はいつも通りに広小舞を3重に回す。垂木現しで和風の庇の作り方の基本だ。 
 
鎧貼りと和風の家つくりの基本中の基本だ。板貼りの上部は漆喰の小壁がつく。和風と洋風で中途半端な家が多い中できっちりと作るのは珍しくなった。もっとも作る方にしても材料費と手間がかかるのでやりたがらないのが多い。 
 
先月から挽いていた唐松が全部終わった。外壁用の板が二種類と階段材が主な用途になる。唐松は米松の代用品として需要があって価格が高騰してきた。下がりっぱなしの杉と違い良い丸太は高い。 
 
自分の山から出したので長さも想い通りにできた。入札だと4mしか買えないが5mをたくさん用意した。高い丸太を買うと板材を取るのは勿体無い。歩留まりが悪くなってしまうからだが今回は気にしない。 
 
外壁材としては杉材が多いが耐久性では劣る。唐松はヤニが多く水に強いのと硬い。節が多いので和風では使えないが洋風では気にならない。狂いも大きいので厚めに挽く。 
 
製材所では当社のものは一箇所にまとめて屋根のかかったところで吹きさらしにして乾燥する。いきなり倉庫にしまうと風通しの悪いところは白太の部分がカビて変色する。もちろん乾燥も遅くなるので風に当てる。 
 
自前の倉庫は作業場兼用になっている。製材所は屋根だけかかった倉庫があるので借りている。板は乾燥しやすいので2,3ヶ月で使えるようになる。CIMG7122


仕事のこだわり

冬至が過ぎて朝も6時になると少し明るくなる。さすがに犬の散歩にはまだ暗い。昼に帰った時に腹ごなしに連れて行く。本格的な冬本番なのに暖かい日が続く。現場も作業が楽で順調に進む。 
 
大工不足は以前からなのだが今やっている現場も本当は3人にしたい。冬の工事だったらすぐ見つかると思ったが人手不足は冬も関係ない。何人か声をかけているがなかなか上手くいかない。 
 
それとは別に廃業が増えて職人が溢れるかと思ったらそうでもない。引く手数多なのか遊んでいるのが見つからない。短期で応援を頼むよりない。 
 
住宅会社も県外の大手と一部の地元業者が仕事を増やしている。零細住宅会社とか工務店などが苦戦しているようだ。それでも下請けに回ったり職人が遊んでいるような状態ではないようだ。 
 
仕事を闇雲に取っても工期がかかり過ぎて完工しない。完工しなければお金をもらえないから資金繰りが大変だ。当社のように前もって材木を挽いて在庫すると尚更だ。不遜な言い方だが客を選ぶしかない。 
 
古民家のような家つくりは時として巨大な豪邸の物件も出てくる。こけ脅しのような見かけだけのもある。基本的にはこだわった家つくりなら頑張って何とかやりたい。金額の問題ではないので意に沿わないようなものはやりたくない。 
 
小さくてもこだわって国産材できちんと建てて欲しい。金額の大小で仕事のレベルを変えるつもりはない。材料費が違うだけで職人の手間は変わらない。職人不足の折で数をこなすために建材多用とかプレカット化は普通になってしまった。 
 
最後の一社になってしまっても手刻みの家つくりは続けて行く。幸いなことに大工が息子で跡を継ぐかもしれない。少なくともプレカットなんてやりたくないと言う大工がいるのが心強い。


監視社会

午前中は事務所で午後から現場へ行き外壁用の板を運んだ。途中雨が強くなって躊躇したが積んでしまった。現場へ着いたら運良く雨が降っていない。明日も残りを運ぶ予定だ。 
 
息子の自宅でガラスドアを割ってしまった。4年前に建てたばかりだから新しい。メーカーに修理交換をお願いした。樹脂サッシの複層ガラス入りでガラス枠ごと交換になると言う。 
 
開口が広くオープンなのが流れでガラスが大きくなってしまった。アルミより強度がない樹脂なので大きくするにも限度がある。そこでガラスと枠を接着したサッシになった。だから交換する際は枠ごとゴッソリ変える。 
 
そしてサッシごとにナンバーを降って出荷時のデータがわかるようになっている。どこの現場にいつ配達したものかとか種類などだ。メーカーは最終の客のデータまで管理できる。将来的にリフォームなどに役立てようとするのだろうか。 
 
車も一台ごとにデータを把握していつどこを走っているかまでわかると言う。街を歩けば監視カメラが車はGPSなどで管理する。パワーショベルなどは盗難防止のために一台ごとにGPSでメーカーが管理している。 
  
グーグルマップでは個人の住宅の写真はいつでも見れる。いちいち現場まで見に行かなくてもわかる。私たちはなんでもこうやって監視されている社会になってしまった。データを持つものは最終的に勝つ社会になってしまった。 
 
個人の趣味でこぢんまりと手つくりで作ろうとしてもデータや写真が勝手に流れてしまう。こうなると外観は諦めて内部に凝るしかない。江戸の文化に自由に着れなかった時に裏地に凝ったものがあった。今は自由そうに見えるが監視されてなんでもお見通しだ。どっちが自由だったのか。


設計作業

仕事が溜まっているが昨日は休んだ。家内が体調を崩しているのと孫の誕生日があった。ワンコの散歩以外には外にも出ずボンヤリとテレビを見ていた。夕方一人で銭湯にでも行こうかと思ったが家内が一緒でないと行きたくない。 
 
今日も暖かく春のような陽気だ。ボイラー交換の現場をやることになり2時ごろ終えた。新築の現場は大工と板金が入る。外壁の通気下地をつけて板を張る。貼るのは簡単でもささらをつけるのは手間がかかる。 
 
年末に加工してあるので現場取付だけになる。毎日のように外壁張りにかかるようになる。どんなに早くても3週間と見ているが天気次第で遅れることもある。雪が吹雪いたりしたら外部の工事ができないからだ。 
 
図面作成が増えて考える時間が多くなった。敷地調査とか測量図の入手など時間を取られる。そこがはっきりしないと設計も何も進んでいかない。下手な素人図面より既存の図面とか測量図があればよほど助かる。 
 
自分が住んでいる所の地番や面積を知らない方は多い。固定資産税を支払っているのに大体の面積しか知らない。面積はまだしも敷地の寸法とか距離は測量図以外はわからない。 
 
相続とかで登記をする際に測量図がなくてもできるからだろう。権利の移動はできても面積とか敷地位置など正確なところはわからないのが普通だ。分筆とか売却時には必ず必要なのだが建築確認にも面積寸法は正確に証明しないとならない。 
 
設計作業はデザインとか使い勝手などが重要と思われている。法的な規制や構造上の観点は素人にはわかりにくい。建築確認はそう言った法規や構造計算などをチェックされる。デザインとか便利さなどは問題にされない。そこが素人にはわかりにくいところだろう。