青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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スマートハウス

昨日一昨日と東京へ展示会と講習会で出張。東北電力の主催で省エネの展示会をビックサイトへ見に行った。住宅会社と設計事務所関係の方といっしょだった。引率の東北電力の方も含めて私が最年長…..だろうね。 
 
東京は便利だと言いながら歩く距離が長い。地方にいるとこんなに歩く機会がない。運動不足を痛感しました。それにしても皆歩くのが早い早い。もうこちらは必死でついていくだけ。何度か遅れて迷子になる始末。 
 
会場では各種メーカーの商品展示を見て歩く。特にびっくりする程のこともなかった。ただパナソニックのショールームにも寄ってスマートハウスを見せてもらった。ネットでは細切れの知識はあった。太陽光から始まり家中全て電気でIC化された設備関係の使用方法は新しい。実際に目に触れてみるとその便利さには驚かされる。 
 
電車でもどこでもスマートホンをいじるのが普通になった。スマートハウスはその延長線上にある。対話できるコンピューター化された家というイメージだ。 
 
実は驚くと言うかなるほどと思わされたことがあった。内装とか外装に自然素材が多く使われていることだ。スマートハウスと言うからにはどこか建材のイメージがあったが未来の家は自然素材の家でもあるようだ。 
 
インテリアの一部として国産材など各種無垢材の使った内装、家具がすごく多い。それがコンピューター化された機能とマッチする。国産材をどのように将来は使っていくかがヒントになる。シンプルな機能の中に無垢材の壁がすごくマッチする。 
 
国産材と言えば真壁とか羽目板とか画一化されたイメージがある。フローリングを天井に貼ったり動く壁が杉の無垢材だったりする。従来の概念を変えていかないとこれからの設計者としてはついていけない。若い設計者が次々と登場する中で当社も変わっていかないとならない。


遊びごころ

昨夜材料を搬入し朝から建て始める。たかが小屋と言うが真壁で板張りの少し変わった建物だ。もちろん大黒柱も曲がり梁もある。大黒はイチイ、梁は桑。真壁だと普通は壁は漆喰だが今回は板張りになる。イメージとしては昔の農家の米倉という感じだ。 
 
私の家にも茅葺きの米倉はあった。柱表しの真壁なのだが板を張ってある。だから隙間があって通気が良い。米を入れる押入れのようなところがあって板の落とし込みになっている。あちこち隙間があるのでネズミが大挙して集まってくる。 
 
ネズミの天敵はネコ、当然ネコを飼っていた。ネコは可愛がる対象ではなく役に立つものだった。番犬しか価値のない犬はあまり飼っていなかった。野良ネコもいっぱいいたのでそこら中ネコが跋扈していた。 
 
で、米倉だが茅葺きの葺替えが面倒でトタン葺きに変えてしまった。その倉も解体してもうないが曲がりの梁や床の厚板は残して今の倉庫に使った。小屋であるから銘木の類は使われておらず赤松と杉だけだった。 
 
今回はそのイメージを大黒柱付きで再現したかった。作業場にころがっていた曲がりや6寸角を使用している。住宅だと少し虫食いや割れがあって使いにくい。小屋と言うことで少しラフに手斧削りで仕上げた。もちろん野地表しで壁天井とも木なので昔の米倉風になる。 
 
古民家リフォームは単純に住宅だけとは限らない。小屋とか車庫とか別棟にこだわることも可能だ。断熱とか考えなくても良いから自由に遊び心満点でできる。当社の古民家リフォームはそう言う遊び心を取りれたものをやりたいと思っている。


一匹狼の大工

朝のうちは暖かったが夕方にかけ風が強くなり寒くなった。午前中は業者が来て話が長くなる。午後は作業場で加工をチェック。夕方現場搬入をする。明日は朝から建て始める。 

10時過ぎに駐車場に一台の車が入ってきた。客かと思ったら大工の売り込みだった。広告を見て仕事があればと言うことだった。古民家が得意で好きだと言う。一人でやっているがリフォームなどがメインの仕事だ。 
 
名の知られた工務店に勤めていたが不況で辞めて独立した。よくあるパターンでその後どこにも所属しないで自分で仕事を取って歩いた。なかなか厳しいご時世で仕事が切れるので当社に売り込みにきた。 
 
保険をかけてもらう常用の大工以外は一匹狼のフリーになる。保険もなく国民年金と国民健康保険しかない。年金も少ないし労災もかけてもらえない。全て自分持ちになるので安定しない。 
 
若い大工たちは社会保険や失業などをかけてくれる大工になりたがる。たぶん奥さんがそう希望するのだろう。生活のためなら当然だろう。一匹狼になると日当しか入ってこないので切れないようにあちこちに出入りしている。日当もすこし高めになる。 
 
雇う方にすれば保険も必要ないし少し高めでも助かる。仕事がないときは勝手に大工が他所に行って稼ぐ。仕事が出てときだけの付き合いになる。傾向としては60代とか年配者に多い。当社から見れば腕が達者なので現場は助かる。しかも仕事が出たときだけの付き合いもできる。 
 
全てこう言うフリーだけで現場を動かすことはできない。労災保険は現場ごとにかけないとならないし失業保険だけをかけていない。手間賃をどの位常用と差をつけるかなのだ。1,2割高めが普通だ。 
 
本当は仕事が切れないように沢山現場があれば問題はない。ただ当社に来る大工は手刻みとか技術の発揮できる仕事をやりたがるのが多い。当社としてはできるだけ大工たちに良い思いをさせるようには努力している。それは逆に粗利が減ると言うことでもあるから大盤振るまいはできない。できないが加工機械を整備したり材料を在庫して刻みがスムーズにいくようにしている。


野地板

昨日よりは少しは寒さが緩んだかもしれない。少し早めに起きて展示場に自宅倉庫から薪を運ぶ。昨日オープンした事務所下のセブンイレブンがいつ行っても入れない。朝昼晩とも満員で道路にまで並んでいる。皆コンビニが好きなんだなあ。午後一番で展示場を見たいという方が来た。新聞広告を見たそうで新築を考えている。
 
基礎現場へ寄って作業場へ行く。刻みも進み今日から加工に入る。羽目板に使う野地板を加工中だがなんとか数は揃った。 
 
野地板は角や梁を取った残りで作る。廃棄物を減らしたい製材所は極限まで挽けるところまで使う。残った皮とか残材は廃棄物として処分費をかけて捨てる。賃挽きでも同じで挽き工賃以外に廃棄物料を取るわけではない。なので頼まれなくてもギリギリ製材する。作れるのは小割り材や野地板くらいだ。 
 
プレカットの普及で野地は板でなく合板がほとんどだ。野地板は製材すると出てしまうので沢山在庫がある。当社などのように高い丸太を挽くと野地板も無節が出てくる。ただ野地板は厚みは同じだが幅が様々だ。取れるように無駄なく挽くからだ。 
 
丸太を沢山挽いていた頃は野地板も大量に発生する。とても使いきれる量ではない。しかも節のない良材が多い。もったいないので羽目板を作っていた。加工業者もいたのだが皆廃業した。仕方ないので自分でカンナがけをして使う。実なしで突きつけで使う。 
 
杉板の野地板を使うと乾燥で板が縮み隙間ができる。屋根であれば通気にもなるので構わない。しかし仕上げ材にすると隙間なしにしたい。十分な乾燥があれば可能だがわざわざ室内で乾燥する。高価な柱とか梁を入れるだけで満杯な倉庫にはもったいない。 
 
と言うことで意外と野地板の仕上げ材転用は少ない。たまにサワラとかヒバの野地は風呂用に加工したりする。当社でも杉材の野地は腐って薪になるのも多い。今回は住まいでなく小屋なので思い切り使うことにした。在庫が半分も減って預けてある在庫を入れることができるようになった。 
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手斧削り

朝から作業場で大工と打ち合わせ。刻みが佳境に入り細かいところの仕様を決める。息子が墨付けをして仲間が刻む。午後から銀行とHPの手直しで業者と打ち合わせ。 
          
今回の現場は壁や天井も板貼りなので板の加工もする。乾燥した野地板をカンナがけする。在庫で沢山あるので抜き出してプレナーを通して貼る。突きつけ貼りなのできちんと加工しないと隙間だらけになる。野地板は幅が不揃いなので幅を揃える。長さは2mと決まっているが幅は取れる寸法になる。3寸、4寸、5寸と3種類に分ける。  
 

狭いのが一番多くて半分以上になる。製材した残りから作る関係で狭いのが多く出る。野地として貼る場合は適当に混ぜこぜで使う。表しで貼る場合は寸法が揃った方が見た目が良い。加工もしやすいので分けるのだ。
 
在庫であるのはサワラと杉だ。赤松もあったが最近あまり使わないので残っていない。サワラは貼るとヒバやヒノキと同じ匂いがする。なんとなくヒノキ風呂とかと似ている。昔は風呂桶とか水回りに使われた。今回は土台もサワラを使った。
 
小屋の真ん中に大黒柱を立てる予定だ。曲がりも入れる。別に強度的にはなくても良いが見栄えで入れる。大黒はイチイの6寸角を使う。曲がりは桑の曲がったのがあった。ザッと息子が皮を剥いて仕上げてあった。皮付きが希望なのでわざと面を残した。  
     

ただの6寸角と平角では情緒も何もない。そこに面がついた節だらけのイチイがピッタリハマるはずだ。さらに赤い桑の曲がりはバッチリだ。あげくに桑は仕上げを手斧削りにした。独特の凸凹が味があって好きな方にはたまらない。IMG_0072