今日も暑い、昨日よりは風がある。また朝から倉庫へ在庫チェック。隣の製材所が仕事の切れ目か音がしない。製材機の騒音が作業場まで聞こえる。こちらも負けず騒音だらけなので気にしたことはない。先日サイロの鋸屑を抜いてもらったので今年いっぱいは大丈夫だ。
手刻みには不可欠な鉋盤は猛烈な鋸屑を排出する。建具とか家具でも鋸屑が出るのだが袋に貯めて捨てる。そんなものでも間に合うが当社では無理だろう。柱、梁だけでなく枠材とか仕上げ材まで無垢材から加工をしている。
使用寸法を指定して買うとあまり鋸屑が出ない。当社では下手をすると倍近い寸法から落として作る。当然鋸屑が大量に排出される。乾燥していない場合は浅い加工ではソリが出たりする。厚みを減らしていくと中心に近い部分が出てくるので均一な乾燥になる。つまり狂いにくい。
そんなわかりにくい所にこだわらないと現しの現場は完璧にできない。手刻みで現しの現場はものすごい鋸屑を出している。そう言う設備のない大工たちの苦労は何度も経験済みだ。1日の仕事が終わるとゴミ袋に詰めた鋸屑で作業場がいっぱいになる。
排出設備とサイロは必需品なのだ。一度あまりに大変なので鉋がけを外注したいことがあった。仕上げ方や寸法に不満があって大工たちはやり直してしまう。職人と言う人種が良くわからなかった頃のことだ。自分で好きな仕上げ方があって意に染まないとやり直そうとする。
私から見れば寸法が同じで綺麗に仕上がっていると思っていた。大工は微妙な直角の狂いや寸法のバラツキが気に入らない。ある程度腕に自信があればあるほどうるさく言ってくる。完成した現場を見ると隙間が開いたり曲がってくるのがわかる。
どうしてそうなるかわからなかったが工業製品でない無垢材の特徴だ。作業場で加工した時はまっすぐでも完成後曲がってしまう。目を見ればある程度わかるが現しの現場では0.5ミリも狂うと素人でも気になる。防ぐには十分な乾燥材を最低でも一分(3ミリ)以上削らないと中心の乾燥状態と違ってくる。表面はすぐ乾燥するからだ。
柱の加工では4寸(120ミリ)の仕上げに対して4寸3分(130ミリ)に製材する。乾燥や曲がりによって4寸以下に仕上がる。減らした分はすべて鋸屑となってしまう。サイロに詰まった鋸屑は大金がかかっているからクズとはとても呼べない。