青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

090-1060-9764

今朝は冷え込んで秋深しを感じさせる。とうにコタツを出して寝るまでテレビを見る。まだ基礎工事の続く現場はコンクリート打設を急がないとならない。上棟の大工たちは寒さは慣れている。 
 
お施主様と話していて気になることがある。当社は柱現しであるから割れたり狂うのはご法度だ。無節を要求されるから芯去りが絶対条件だ。時々素人の方から芯去りより芯持ちが強いと言われる。 
 
芯持ちは製材するとき丸太の中心を入れる挽き方だ。芯去りは逆に中心を入れない。4寸の芯去りは基本的に40センチ以上の丸太でないと取れない。樹齢も50年以上は必要となる。芯持ちは20センチクラスでも取れる。 
 
もちろん太い年数の経った丸太は高い。細い芯持ち用の丸太は間伐材や太い丸太の3番玉からも取れる。当然安い丸太が大量にある。製材所も売りたいし大工も安い材木を欲しい。で、安物の芯持ちを強いと言い換えて使うようになった。 
 
杉などは一見まっすぐに見える。しかし挽いて見ると微妙に曲がっているものだ。当然芯持ちに挽くと後で曲がってくる。しかも確実に割れる。こんな材料で家を建てることは当社の方針に反する。
 
予算の少ない現場をやる大工は当然芯持ちだけで建てる。後ろめたい気持ちがあるのか芯持ちの方が強いと言うセリフで納得させる。それを言うなら集成材の方がさらに強い。プライドも意地もない大工はプレカットにすぐ切り替えた。 
 
かくして芯持ちは強いと言うセリフだけが生き続ける。お施主様から芯去りで建てる当社に芯持ちが強くないかと…..。そもそも柱も当社では4寸角以上を使っている。通しや肝心なところは5寸以上になる。 
 
ケヤキ信仰や芯去りなど古い昔の言い伝えのようなものまで変な常識が多い。実際にケヤキなども自分で何年も乾燥させて使うような工務店もなくなった。そもそも製材所がなくなって芯去りを買える時代でなくなった。 
 
時代が変わっても硬いケヤキの加工は機械化が難しいので大工もやれないのが普通だ。リフトで持ち上げ手ノミで力を入れて刻む。そんな大工が激減していつか誰もやれない時代が来そうだ。
cimg5248