青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

090-1060-9764

職人の世界—–屋根屋

上から読んでも下から読んでも屋根屋。住宅では板金屋と瓦屋がある。
暑さ寒さから逃げようがない屋根の上で危険なものあって後継者不足の際たる業種。特に板金屋はどこでも60代が多くて一番若いのが社長という業種。社長は息子だから若い。
住宅の仕事より大型物件の屋根工事が稼ぎの主力。土方と並び雨には弱い職業で昔から休みが多い。
瓦屋は当地では一軒しかない。雪国は瓦屋根は負担が大きく雪止めも雨樋も取り付けが難しい。高級住宅が多いので仕事も少なく広範囲に現場がある。100_3217

板金は昔からあって鉄板の移り変わりで菱葺きとかヒラ葺き、立てヒラ、瓦棒、横葺きなどある。現在主力は立てヒラ、瓦棒、横葺きでガルバリウム鋼板がほとんど。
当社の展示場は銅板の一文字葺きになっている。耐久性は瓦よりあり軽いので神社仏閣でも予算が許せば使われる。
銅板は価格が変動制で見積しないとわからない。数奇屋とか超高級住宅でないと使われない。緑青が吹くまでは10年はかかるがそれからが強いと言われる。

瓦屋は北国では絶滅寸前で皆廃業してしまった。東京帰りの最後発が一軒だけやっている。
仕事が少なく仙台とか遠くまで現場がある。最近は住宅会社などが外観の差別化でカラフルな洋風瓦が増えた。
和風の三洲の燻瓦の激減で先々後継者不足もあって厳しい。燻瓦はモルタルで棟をつくったり技術がいるが洋風は難しくない。
燻瓦の現場は大型住宅が多いので瓦屋が来る現場は当社も力が入ったものになる。瓦屋根は棟が一番かかるので寄棟とか入母屋は相当な金額になる。CIMG0620


職人の世界—–電気屋

電気工事業者で、現場での通称は電気屋。
現代の生活の豊かさは水と電気だろう。給排水と並んで生活になくてなならないものだ。電気工事業者自体は昔からあるが工場とか電柱工事が専門だった。
住宅専門の工事業者が登場したのはまだ古くはない。職人も別で違う業種と言っても良いくらいだ。
給排水と似て県に登録後電力会社に工事の申請をする。電力会社の意向は絶対で全て沿う形で工事する。建物と外部の電柱工事は別で一緒にできる業者はない。DSC_0624

現場に出入りする職人のなかでも若いのが多い職種だ。高卒後4,5年で一人前になってその後の移り変わりも激しい。日給月給で基本は日当で計算して保険等を引いて給料になる。
技術も施工法もどんどん進歩するしIT化もあって若物には向いている。それもあって5,60代のベテランが少ない。逆に電柱などの重電関係はベテランが多い。
水道屋と同じで自社の特徴を出すのが難しく競争も激しい。太陽光とか新しい分野が出た時に対応が分かれて差が出てくる。

業者を変えると他社のアフターはやりたがらないのであまり変えないようにしている。物件の詳しい図面を残しているので施工した業者がアフターには有利だ。
大工や左官建具と違って見積も正確で業者間の差もあまりない。コンピューター化も一番進んでいるし職人らしさと一番遠い感じがする。高所作業車や車以外に大きな機械も要らない。泥臭い仕事も少なく後継者不足からは縁がない。CIMG3288


職人の世界—–基礎屋

家を建てると最初に来るのは基礎屋になる。その前に地盤調査をやるから正確には一番ではない。工事をすると言う意味では最初だ。
設計をしていると現場へ何度も行くことになる。隣近所との挨拶とかとにかく周りが気になる頃だ。
基礎工事は地面を掘ってコンクリートを流す仕事だ。重機とかトラックが頻繁に出入りし騒音や埃を出す。
近隣が最初に工事に関心を持つきっかけになる。管理者としては最初に注意を払うことになる。

基礎屋は元左官屋が一番多い。左官の仕事がビルなどの床や壁の仕上げが主になった。コンクリートを流したり撫でるのは同じだ。
バックフォーとダンプトラックを用意すれば基礎もできる。少し違うのはスコップを持つことで左官は練る時に少しやるだけだ。
地面に穴をほり鉄筋を組んで型枠をつける。型枠は鋼製型枠が主流で型枠大工でなくともできる。鉄筋も工場で溶接された既製品を使う。CIMG2340

パワービルダーが登場して基礎の値段が下がり対応できる業者が減った。規模を大きくして機械化しコストを下げる。
できないところは夫婦とか親子とか少ない人数で住宅専門になった。中小の大工や工務店相手なので間が空いて左官でも何でもこなす。
当社も左官と共通の業者に頼んでいる。基礎が終われば漆喰の工事でまた来る。漆喰は他所だと滅多にないから基礎だけで工事金額が少ない。土木工事や外構なども出来るところが多い。

基礎工事は技術の差があまりない。こちらの指示通り真面目にやってくれるのが一番だ。
鉄筋径からピッチ、重ね全て図面に書いてあるのでその通りに施工する。途中で配筋検査もあるので業者の手抜きもあまりない。
あるとすれば配筋の設計が不味いことになる。基礎関係でトラブルがあるとすれば土留めとか外構部分が多い。
コンクリートの収縮割れとかで揉めることが多い。外断熱になって基礎も外側に断熱材を張って仕上げる。断熱材が柔らかいので上塗りのモルタルに亀裂やヒビが入りやすい。CIMG3451

コンクリートを打つ時には強度とスランプを確認する。
天気、気温によって決めていく。真冬でも防凍材を入れたりして工事はできる。時間計画の難しさと価格が上がる。
普通は1,2月は避けて最低気温が0度以下になる時は養生をして練炭などを入れる。流してから4日くらいは置いてから型枠を剥がす。
断熱材を張って天端をモルタル仕上げをする。天端はレベラーと呼ばれる柔らかいモルタルを流すこともある。生コンを流す前にアンカー位置を確認して固定する。

文字通り縁の下の力持ちなので基礎工事の段階では施主も見ても面白くない。すぐ上棟があってそちらが花形で準備もあるから余計だ。
基礎工事は地味で丁寧で綺麗に出来ると良しとされる。できあがったものが評価されることも少なくトラブルの時だけ呼び出される。
基礎工事の良し悪しは工事自体にあるのではなく事前の調査と設計で決まる。地盤調査の結果とそれに対応した配筋や施工法が重要だ。


職人の世界—–水道屋

水道屋と言うのは通称で給排水工事が正確だ。給排水及びその設備関係全てを施工する。
水道の普及でできた職業で年々仕事の範囲も増えて仕事量も増えた。以前は水道事業者の免許がないと工事ができなくて持っていない業者の名義借りが多かった。許可基準が緩和されて業者数が激増して競争も激しい。
初代がまだ頑張っているところが多く元の職業も様々だ。逆に言うとこれと言った修業がなくてもできると言うことだ。資材や器具の進歩が激しいからついていくのが大変だ。100_2742

水の便利さと豊富さが生活の進歩の源だから今後も増えて重要な職種だ。急な進歩はトラブルや手直しも多い。
許可業種でもあるし水道の検査もあるので水道事業者の方に顔を向けている傾向がある。施主や設計者の要望よりも事業者の回答優先の典型的な業種である。
業者独自の仕事もないしウリになるようなことも少ない。せいぜい丁寧とかアフターがしっかりしているくらいしかない。競争が激しい割には売り込みもなく経営的には厳しくなっている。

給排水は基礎工事の段階で施工する。べた基礎が増えてコンクリートの下に配管を埋め込むからだ。完成間際になって床下に潜ったり器具の取り付けをする。
器具や設備機器の進歩は激しいので常に勉強をしないとならない。床下の配管を間違えると器具付けの時に苦労する。
図面や打ち合わせに一番熱心な業種でもある。施工法の進歩で機械の種類も多く外部の掘削もあるのでバックフォーとかクレーン付きトラックと投資資金もかかる。新しいだけに進歩と業界の競争、さらに新しい職種との競争とテンポが激しい。CIMG3088


職人の世界—–建材屋

木の家がウリの当社でも建材店から仕入れる金額はかなりのウェイトを占める。断熱材とか下地の石膏ボード、外壁材…..諸々ある。
全て自分で加工したりするとトンデモナイ金額になってしまう。やらない方もいるがベニア類も屋根下地や床下地に張っている。
野地板よりも合板の方が強度も優れて施工も早い。床だって大引の上に根太を流すより厚い合板を貼れば強度も施工スピードも段違いです。作業する大工も仮敷きのベニアがいらないし。

施主との打ち合わせで決まるのだがどこまでこだわるかだろう。徹底的に昔のやり方で通したら手間賃も材料費も増えてしまう。
健康に配慮という流れに沿って言えば構造そのものからちゃんとやらないと無理だ。表面的な仕上げのみ無垢でもあまり意味がない。しかし内部までこだわって無垢にすれば相当違ってくる。
そこで問題になるのは金額的にどこまで見るのかということだろう。住宅会社のように建材多用のところとこだわったところがどのくらい違うかだ。CIMG2445

数字で表れなくても実感できることに満足しようと思えば出来ることもある。構造を無垢材にして仕上げも漆喰にすればクロス貼りとまったく違う。
そいう家でも断熱材も床合板も使っている。建具は無垢だがキッチンは既製品というのだってある。ユニットバスや洗面台も既製品も多い。
外壁もモルタル以外は建材になるが室内にはあまり影響がない。肝心なのは構造材の無垢と仕上げの漆喰だけは外せない。

キッチン、洗面台と並んでノリなどで作るのは内部建具だ。無垢材ではなくフッラシュと呼ばれるベニアの貼り合わせで作る。
扉とか無垢はあるが裏板まで無垢はない。オールステンレスとかホーローとかうたっていても引き出しとか細かいところは違う。接着もノリを使う例が多いので製品の扉を開けて匂いを嗅ぐとすぐわかる。
大事なのはメーカーのカタログを鵜呑みにしないと言うことです。予算もあるので無垢の製作品との差額を考慮しないとならない。CIMG2545

終戦後住宅が雨後の筍のように建ち始めた時に不足する材木の代用品として建材が出てきた。無垢板の代わりに登場したベニアは床壁天井とほぼ仕上げを覆い隠した。
時代を経てベニアの家は安っぽさから印刷や装飾で無垢風になってきた。突板など本物を貼る偽物が主流になった。これに左官仕上げからビニールクロス張りが登場して現代の家が完成した。
突板やクロスは下の素材を覆い隠してしまう。何が入っているか分からないのが問題になる。真壁にして外断熱にすれば一番わかりやすい。

突板やクロスは接着剤を使って施工する。規制が進んで安全と言われるノリでも大量に使えば前と変わりがない。
最小にするには無垢を使える部分は使うしかない。そうやってできる部分から少しずつ減らしていく。
建材を一切使わない家は難しい。減らした家を作るよりないが予算もあるのでできる部分を考えていくしかない。