青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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ストーブ煙突

冷え込んで一面真っ白に霜が落ちた。現場は屋根が完成していないのでシートを被せてある。そうしないと凍って屋根に上がれなくなる。9時ごろには溶けて上がれるがアルミ箔のはった断熱材は滑りやすい。午前中は支払いやら図面、午後から現場へ行って確認して事務所に戻る。 
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屋根から煙突が出るので箱を作る。箱の中から煙突が立ち上がる。引っ張り線とか金具などを使わない場合は箱で出すよりない。箱は木造だが外部はサイディングとか板金で囲う。今回はお施主様自身がステンレスの覆いを作る。加工屋さんなのでお手の物だ。 
 
雪割も一体で作る予定だ。煙突カバーはタイルを貼ったり板金で作る場合が多い。ステンレス加工でやるのは少ない。もちろん高いからで本当は一番完璧だろうと思う。薪ストーブは煙突が命でこの仕様次第で燃えが大きく変わる。一番良いのはストーブ本体からまっすぐ立ち上げる。 
 
まっすぐ立ち上げると屋根を貫通するからその処理が大変だ。特に瓦の場合は複雑な取り付けと見た目の問題がある。煙突フラッシングで瓦の間から直接上がる方法がある。見た目もスッキリで工事も簡単だ。欠点は長い目で見た場合に雨漏りの心配があることだ。cimg5525 
その点瓦おさまりも風に対する強度でも箱で立ち上げるのが良い。工事費がかかるのと大袈裟な箱が木になる方もいる。洋風であればタイルを貼ったりそれなりにデザインできるので問題がない。和風はストーブ煙突と相性が悪い。今回はステンレスの一体製作で初の試みだ。そんな仕上がりになるか見ものだ。


煙突カバー

今日は冷え込んで周りの山々は白く雪が残る。朝からトラックを借りる予定だったので息子とお施主様の会社へ行く。そのまま倉庫へ行って二人で積み込み。昼までかかって必要な分を積んで現場へ。昼食後降ろしてトラックを返す。事務所へ戻り支払いとか事務手続き。 
 
現場は遅れていた屋根が強風で今日もできず。2回目の断熱までできて屋根垂木をかけて間にまた断熱材を入れる。そして野地の合板を張ると完成だ。瓦なので軒先や妻側は刀刃とか瓦座をつける。瓦の寸法があるので瓦割をして合わせないといけない。板金とか他の方式なら考えることもない。 
 
板金の屋根が主流の当地では瓦はどちらかと言うと予算的に余裕がある方だろう。その所為もあってあれこれとこだわる方が多い。瓦は和瓦と洋瓦があって和瓦は俗にいぶし瓦と呼ばれるのが多い。いわゆる和風住宅で使われる瓦である。価格的にも荷重がかかる点でもガッチリした構造が要求される。 
 
瓦屋は当地では1箇所しかなくなった。他は廃業もしくは撤退で現場数が少ないので苦労しているようだ。瓦屋は要所にモルタルを詰めるので左官業者の心得もある。ノシを積んだりキワの納めは黒いモルタルで作る。 
 
今回は薪ストーブの煙突があるので少し複雑な納めになる。お施主様が鉄工業なので自分で煙突のカバーを製作する。黒の塗装のステンレス外装になる予定だ。煙突も黒塗装でステンレスなので違和感はない。 
 
ところが問題はカバーの厚さと言うか重さだ。自分のものだから普通なら1ミリ以下の板なのに3ミリ厚にすると言う。大きさもあって持ち上げるだけで一苦労のものになる。施工はもちろん大工だから3人くらいで持ち上げることができるかどうかが問題だ。 
 
多分30キロ以上だと言われるから足場も不十分な屋根の上で簡単かどうか心配なのだ。大工たちはなんとかなるさと鷹揚なものだ。こちらはもしクレーンを呼ぶとかの騒ぎになったら相当な予算オーバーになる。作るのがお施主様なのが何とも気の揉める話であはある。


家の香辛料

昨日は久しぶりに休んだ。事務所も作業場も現場も行かなかった。家で薪割りや残材処理をした。それだけでもお昼までかかった。午後からいつもの温泉に行く。戻って孫と遊んで相撲のテレビ観戦。 
 
今日は朝から湿っぽく昼近くから雨になる。現場はシートですっぽり覆って濡れないようにする。今日から応援の大工が来る予定だったが明日からになった。屋根は2枚目の断熱まで進んで最後の屋根垂木になる。都合3枚重ね。フラットのこう断熱の基準だから仕方がない。 
 
和風には断熱工事が難しい。真壁には外断熱が基準だが屋根は垂木現しだから入れるところがない。野地板の上に三枚重ねるよりないのだが垂木や母屋現しができない。野地板現しの勾配天井は見た目も構造現しも綺麗に出る。もちろん使う材木も最高級のものに限る。 
 
普通ならフレどめに板を打ち付けてやるが現しは貫を通し込栓をする。これがなかなか良いのだが手間がかかる。材料だって無節の柾目になるから高くつく。こう言う時のために適当な材料から良い目のものは抜き取って貯めている。それが生かされる時になると貴重なわけだ。 
 
古民家風はいかに材料を様々持っているかが重要だ。ちょっとしたところにさりげなく使えるものがあるとグッと引き締まる。設計とかデザインとか全体だけでなく小さなことに差が出る。良いアディアと良い材料が香辛料のように家を引き締める。


二階屋根現し

今日は午後一番で県民局のバスツアーが来る。中は危険なので外から見ていただく。予想通りと言うか材木の太さにびっくりしたようだった。なかなか見ることのない現場なのでさもありなんと言うところだ。現場は大工と水道屋が入る。屋根が何とか塞がったので雨が降っても大丈夫だ。 
 
ここの特徴に屋根の垂木現しと二階床現しがある。昔の家は二階が屋根垂木現しが普通だった。天井があるのは一回のみで二階は個室か物置と言う扱いだった。蔵や大きな倉庫の二階などは皆そうなっていた。大きな梁や垂木は丸見えだったのだ。cimg5519 
 
屋根垂木は普通は二つ割を使うがこちらは3.5寸角を45センチピッチで登りでかける。野地板は現しだから仕上がっている。見せるのだから無節で羽目板加工をしている。突きつけでなく填め込むようになっている。あとで乾燥して隙間が出ないようになっている。 
 
それが7間の幅いっぱいに連続する。部屋の天井になっているのもあるしロフトになっているところもある。全て見えて仕上げが同じだ。施工する側から言えば材料費と手間が膨大だ。無節の角をカンナがけして見せる。振れ止めは束に貫を通して込栓をする。 cimg5514
 
二階の天井はレトロな仕上げの塊なのだ。私は二階の造作に一番力を入れている。普通の家では到底味わうことのないレトロでリッチな空間が広がる。もちろんすぐ近くには太い曲がりがあって薄暗い天井の迫力を増している。この面白さは見た者しかわからない。


和風の断熱

昨日よりは幾らか冷え込みも和らいで現場直行で材料を運ぶ。その後事務所へ戻り図面など。午後もまた給排水の打ち合わせで現場へ。打ち合わせ後すぐ事務所へ戻り図面の続き。明日は県民局のバスツアーがくる予定になっている。スケヂュール表が届いて現場へ1時半ごろ来場する。 
 
大工が屋根の工事にかかりっきりで下では電気、給排水が施工する。屋根断熱なのでウレタンを3枚重ねで施工する。今日は最初の1枚目で母屋を施工後また断熱材を入れる。今日は半分施工した。野地板現しなので屋根垂木の上に板を貼り断熱材を重ねる。その後母屋を流し間にまた断熱材を入れる。 cimg5504 
簡単に言うと屋根を二回作るような感じだ。その上に瓦が載る。断熱と和風のイメージは相性が悪い。本来は化粧の垂木現しにしたいのだが屋根断熱ができない。本屋は総二階なので高さもあるので軒裏を張って仕上げる。下屋部分は断熱材が入らないので垂木現しになる。 
 
外断熱は真壁造りには必須な仕様で壁に入れる内断熱はできない。外に全て断熱材を出さないと中は真壁ができない。いくら古民家風だからと言っても断熱のない家は作れない。省エネの観点からも外せない要素だろう。内部の仕様はどうにでもなるとして外部特に屋根は難しい。垂木現しが常識なのにできない。cimg5506 
 
真壁と垂木現しが古民家の定番だが外部に関しては相当無理がある。本格的な和風住宅は断熱無しか申し訳程度しかできない。法に違反しているわけではないが世の流れからは外れている。見た目だけでなく住んで快適は当然な時代だから何としても折り合いをつけないといけない。