青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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きっちりと仕上げる

今年一番の冷え込みでワンコの散歩もさすがに寒い。寒いだけでなく顔が痛い(おおげさな!)。道路は溶けかかった雪で滑りやすくわざわざ雪のあるところしか歩けない。これを生きがいにしているワンコは平気の平左だ。 
 
現場もさすがに寒く大工は作業場で加工に行った。外壁の鎧貼りも板は貼り終えたがささらをつけていない。これがなかなかの難物で時間を取られる。作業場であらかじめノコギリのように斜めに加工をする。 
 
加工済みを取り付けるだけなら簡単そうに思える。きっちりと仕上げないと気が済まない大工は隙間が空くのが気に入らない。板を張って時間を置くと板が反る。ささらが持ち上げられて全体に浮いて隙間ができる。 
 
一段ごとにきっちりと削って合わせていく。この作業が一番面倒くさい。しかも完成後でも板が反るから隙間は空いてくる。何年かして直しに行ったことがあった。この隙間をどの程度で妥協するかで時間が違ってくる。 
 
そして大工の性格が出る。大雑把なものからきっちりと一段ごとにのこを入れるものまでレベルが違う。総じて昔の大工の方がきっちりしているように思える。今は早いのが取り柄で価値があるので向いていないのが多い。 
 
口には出さなくても無駄と思う大工が多くなった。当社の現場を嫌う大工がいるが理由はこんなところだろう。ベテランとか若いは関係なく本人の性格のようなものだ。住宅会社の仕事をやるとスピードを要求されるのもある。


変わらないもの

今朝は一面真っ白。気温はそれほどでもないので午前中で道路は溶けた。雨に変わってさらに溶ける。今週は荒れた天気が続きそうだ。外壁張りが進む現場は今週でなんとかなりそうだ。 
 
どこの業者も仕事があって忙しい。廃業が相次ぎ残ったところへ集中する。当社も引き合いが昨年末から増えた。この傾向はこれからも変わらないと思う。職人が足りないからむやみに仕事は増やせない。 
 
少ない仕事量で経営が成り立つならその方が楽だ。薄利多売は大手業者の専売で地元の零細は少ない現場を丁寧にやるしかない。大工も少なくても済むし息子がいるから最低限の現場はできる。 
 
プレカットとか建材とか新しい工法は確実に大工たちに浸透した。鑿鉋の世界は確実に消え去ろうとしている。今後も続いていく傾向だろう。車の自動運転の時代に古民家も何もないのかもしれない。 
 
細々と骨董品のような家つくりをするのも一つの生き方かもしれない。規模を小さくし時間をかけて丁寧に趣味に近い家つくりをする。つい思いがちなことだがあくまで最新の機能を持った家つくりをするつもりでいる。 
 
見た目は古臭くても中身は基準法に則りで性能的には最高のものを目指している。基盤はそこにあって見た目のために住む方に辛抱強いるようなことはない。デザインとか工法に国産材を使った手刻みで対応していく。 
 
いろいろ難題はあるが基本は変えることはない。職人がいないなら建てる棟数を減らしレベルや仕様は変えない。あくまで地域材の手刻みの家を建てたい方の仕事をするだけだ。これからも変わることはない。


設計の後継者

大寒も過ぎて本格的な寒さが到来した。今朝もかなり冷え込んで薪を取りに行くのもしんどい。早く起きて薪ストーブに火を入れるのは私の仕事だ。現場は今日も大工が一人で水曜あたりからまた応援が来る。
 
仲間の設計事務所へ寄ったり支払いなどで午前中は出て歩く。構造計算とか法規のチェックは他の事務所にも依頼する。基本デザインは私が役所へ提出とか構造計算などは他所にもお願いしている。 
 
以前は私一人で全てやっていたが忙しいのと人を雇うのが難しいので今の形になった。設計者の中には構造計算や法規に詳しいのはいるが伝統工法のことを知っているのは少ない。別な才能なのだろうと思う。 
 
木造のそれも古民家とか伝統的な構造に詳しいのはほとんどいない。そして行政への申請とか検査をクリアするのは慣れないと難しい。デザインはできても申請許可がなければ建てることはできない。 
 
法令遵守だけでなく断熱とかホームオートメイションなど難問が山積している。建材は検査が通りやすいように作る。建材を使用するだけなら何も問題はない。手作りとか伝統工法とかになると途端に面倒が増えてしまう。 
 
昔のように法規が緩い時代なら問題がなくても今では到底通用しない。そう言うことに詳しい設計者は現場がないから覚える機会がない。ややこしいことに断熱や耐震性はすごくやりにくい。 
 
設計者の立場から見ても増えるどころか減る要素しかない。職人だけでなく行政に申請許可ができる設計者もいなくなった。いてもベテランが多く将来は明るくない。次の世代も育てないといけない。


乾燥した在庫

昨日よりは少し暖かい。今日から大工は息子一人。事情があって来週まで相棒なし。本当は相棒がいないとやりにくいこともあるのですが。八方手を尽くして探している。 
 
製材所へ午後から在庫の確認に行った。社長と今後の在庫の打ち合わせ。製材所も職人不足で年中募集している。廃業が相次ぐ製材所だがこちらは従業員もたくさんいる。当社も工場の片隅を借りている。 
 
在庫を預けてあるとは言ってもすぐ近くにある。自社倉庫と言って良いくらいの便利さだ。自社の分だけでなく製材所の在庫も見れるのですぐ探せる。その樹種でどのくらいの寸法があるかすぐわかる。 
 
手刻みの設計は使う材料による。乾燥した現しに使えるものはどこにでもあるわけではない。ないから今まで在庫をしてきた。ロスや割れたりの不良品が出ると丸太買いも安いとは限らない。だから在庫があるのは心強い。


二つの需要

天気は良いものの気温が低め。現場は今日も大工が外壁張り。合間に建材屋とか道具屋、水道屋と出入りする。外部の塗装も良いイメージでまとまりそうだ。  
 
日産自動車の幹部が自動車産業の流れを予測している。2050年に消えるものはスタンド、信号機、運転免許証そして自宅駐車場だと言う。EV普及であり得ることばかりだが駐車場には少し驚く。 
 
カーシェアリングも同時進行と思われるから当然そうなる。自家用車がなくなると駐車する必要がない。狭小敷地では建物内に食い込んだ駐車場をよく作る。もちろん床面積に入るし固定資産税の対象になる。 
 
車が入っていれば仕方がないが空きスペースに税金は払いたくない。住宅もホームオートメイションの流れは進むだろうから従来必要とするスペースが要らなくなる。住宅の未来なんて見当もつかないことだが車の例はヒントになる。 
 
突然変わるが農業の未来は暗澹たる状況にある。老齢化が進み農地は荒れて放置されている。その反面消費者は安くて安全な食物を求めている。国産品に根強い需要がある。多少高くても国産を望む層がいる。 
 
スーパーには写真入りの地元農家の野菜などが並んでいる。値段は安くはない、ないが売れている。住宅も規格化と個性的なこだわりの家とに別れるかもしれない。極端に言えば二つの需要が発生すると言うことだ。 
 
家を二軒持つのは容易ではない。しかし年代や仕事などの関係でバリエーションが増えるかもしれない。若い時は職場の近くのアパートで引退したら少し郊外で趣味性が強い家を建てる。 
 
建てるまで行かなくても同じ家を思いっきりリフォームなんてのも出てくる。これだったら誰でもできるかもしれない。人生を2度楽しむわけではないが考えられることだろう。