青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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柿渋と松煙

朝から晴れたのは何日ぶりだろうか。ほぼ快晴の一日。事務所のサツキも咲き始め今週が見頃か。手入れが悪いのかレンギョウツツジもサラサドウダンも余り花をつけない。ハナミズキは年ごとに咲いたり咲かなかったり。今年は余り咲かなかった。 
 
現場は今とばかりに外部塗装に力が入る。一回目は済んだので2回目の仕上げになる。今日で半分は終わる。これが済むと外部は完成になる。雨樋の交換くらいだろうか残るのは。 
 
大工は二階と和室の天井を貼る。和室は白太の幅広、二階は幅の狭い短い板を貼る。どちらも杉だが作ったところが違う。ネットで買った島根の杉は幅が広く品質が良い。二階は幅が狭く白太と赤みが半々。 
 
クリア塗装だと赤白の源平は気にする方がいる。ごちゃごちゃした印象がある。もっとも4,5年もすると日焼けして同じ色になる。これを防ぐには着色塗装をすると良い。今回は柿渋に松煙で黒っぽく仕上げる。古民家風にする。 
 
これまで新築リフォーム合わせて着色した例は少ない。個人的には着色した方がメリハリがあって綺麗だと思う。まあ個人の好みなのであれだがクリア塗装は印象が薄い。だんだん黒くなって来るが時間がかかる。着色はいきなり古くなると言うことだ。 
 
柿渋仕上げは何度も経験がある。塗った当初は無色だが一月もすると赤っぽく焼けたように変わる。もっと黒っぽくするには松煙を混ぜるのが普通だ。いわゆる昔の黒塀はこれで仕上げる。松煙をいっぱい入れると真っ黒になる。ここは手加減で古臭く感じる程度に留める。CIMG6370


職人の良心

もう何日も続く雨。外部の塗装屋が毎日半端で進まない。明日からは晴れそうだ。外部は塗装が済むとほぼ終わりで雨樋の交換が残るのみだ。外壁がやっと一部二回目に入る。 
 
今日から大工が一人抜けて二人になる。仕上げ工事が佳境に入り進行速度が落ちて来る。いわゆる見える部分になるので丁寧にやらないといけない。下地の時は見えなくなるので多少は早くできる。仕上げはそのまま出て来るからキッチリと丁寧な仕事が要求される。 
 
不景気とは言いながら職人は大忙しだ。深刻な職人不足で現場を取るより大工探しが大変だ。足りないのは大工だけでなくあらゆる職種で言える。仕事探しで苦労した職人と言うのは今は昔で職人でさえあれば誰でも良い。と言うのは言いすぎでとにかく足りない。 
 
今は絶好調の宮大工たちも職人不足で工期が守れず苦労をしている。当社のようなところにも声がかかる。競争に敗れて潰れかかったところも勝ち組の下請けに廻って忙しい。余っているのは営業と設計事務所くらいのものだろう。 
 
かく言う当社も8月以降はあまり忙しくない。大工たちはそれぞれバラバラにどこかに出稼ぎに行く。現場は出てきたらまたチームを再編成する。フリーの一人親方を集めてその都度チームを組む。 
 
昔に比べて職人が一人前になるのに時間がかからなくなった。電動工具やプレカットの普及で誰でもとは言いすぎだが簡単になった。大工もノミカンナはほぼ要らず丸ノコと電ドルが主力だ。機械化は逆に工具代がかかると言う面もある。 
 
これだけ不足しているのに手間代は余り上がらない。零細工務店が下請け専門になり大手の圧力で手間代を値切られる。大工工務店が元請けをした時代は手間も高くのんびりした仕事だった。それが今では目の前にぶら下がったニンジンめがけてスピードだけが命だ。 
 
全部の工賃が決められているので競争で早く終わることしか頭にない。とにかく早く早くと競馬の馬のごとくこき使われている。総額が決められているので遅れると相対的な工賃が下がってしまう。CIMG6364


古民家の風合い

午前中はなんとか晴れたが午後から雨。外部塗装中でなかなか進まない。それでも塗装屋は雨のかからない部分をせっせと塗る。内部足場もかかっていよいよ吹き抜け部分の工事にかかる。 
 
内部の壁が少しずつできてイメージがわかるようになった。プラスターボードを貼って柱梁のかたをつけると漆喰の出番だ。木部塗装は柿渋に松煙を混ぜて塗る。これでいきなり古民家風になるのだ。 
 
いつもは柱型は幅4寸でやるが今回は4寸5分にした。梁の型も大きいのでバランスをとる。梁だけがやたらと太くて柱が細いと変なのだ。胴差も同じでやや太くなっている。最後に貫型をつけると完成だ。吹き抜けは足場がないと施工できない。 
 
こう言った型は杉の厚板で作る。今までは4寸幅で製材し3寸8分で仕上げた。気持ち細く感じるのと迫力がない。やはり木は太くて大きいに限る。インテリアとしても目を引きつけるには太さは重要だ。ただ大きいだけでなく木目の曲がり具合も大切だ。 
 
ここは杉板ではこうはいかない。ケヤキとか広葉樹の木目の美しさは格別だ。たとえ板であっても幅40センチの厚板は本物なのだ。ただのプリントではこうはいかない。 
 
だんだんと仕上げもできて来ると少しずつ全体のイメージがわかるようになる。この辺まで来ると素人であるお施主様にもわかるようになるだろう。さらに塗装や漆喰ができると古民家の出来上がりだ。CIMG6362

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古民家リフォーム

朝から肌寒くヤマセのような天気。現場は大工と電気が入る。和室や梁の仕上げなどは息子一人で仕上げる。外部サッシの内側の障子は二枚引き込みになる。上枠や戸当たりなど仕上げるのは難しい。 
 
外部も塗装やコーキング処理が入るが雨で遅れる。外部だけでも完成させたいのだがなかなか進まない。まだ屋根の妻に格子をつけるが塗装してからつける。これもまだできていない。来週はピッチを上げて進めたい。 
 
内部は足場をかけて吹き抜け部分を作る。大工が済んでも塗装をして漆喰を塗る。足場はそのままかけっぱなしになる。その間に建具や照明器具をつける。そして一気に完成させる。床の養生を剥がすと完成になる。 
 
漆喰を使ったリフォームは珍しい。技術的なこともあるしそもそも似合いデザインが必要だ。今回も塗装は柿渋を松煙を混ぜて塗る。松煙は松の煤で柿渋に混ぜるといきなり古い建物のようになる。 
 
おそらく柿渋はおろか松煙を使うことはよそでは滅多にない。調合し塗るのだが柿渋は後から色が変わる。塗った当初はただ黒いのだがだんだん赤っぽくなり古民家のような色になる。 
 
新築の現場では経験があるがリフォームではなかった。真壁風につけ柱をして仕上げたことはない。梁もケヤキの厚板を貼って塗装する。曲がりも入るがこちらは本物だ。樹種により着色したり透明だったりする。古民家リフォームは今までの新築での経験が生かされている。CIMG6355


外部塗装

昨日の暑さとは一転して午後から雨になる。気温も急激に下がり上着が欲しくなる。外部の塗装中の現場は午後から中止。午後一番で製材所へ材木を取りに行き作業場へ搬入。現場を終えた息子が加工に来る。 
 
外部は正面の一階はささら付きの鎧張りだ。駐車場の物置も同じ仕上げになっている。道路から見ると一体で和風の仕上げになる。二階部分は三角の妻が見えている。そこも杉の小割で格子を作る。 
 
リフォーム前はサイディングのみのごく普通の仕上げが板張りや格子で和風の風合いが強くなる。玄関引戸も片引きの断熱ドアだ。同じ色に塗装予定なのでグッと一体感が出る。 
 
建材ではなく手つくりになるので風合いは良い。下見板を張ってからささらを付けたりするのが手間がかかる。今は上の妻部分につける縦格子を製作中だ。原寸を測り格子を組んで塗装をしてから取り付ける。 
 
塗装も格子は塗る面積が大きく時間がかかる。さらにピッチが細かいので数も多い。荒い格子では上品さが違って来る。この格子と下の板張りが外観のポイントになる。 
 
塗装は住宅会社の現場だとコーキングぐらいしか仕事がない。当社の現場では板張りや内部も現しなので塗装が多い。だから現場へ来る日数が2週間にもなったりする。普通ではありえない。左官屋と塗装はセットで仕事が多い方だろう。CIMG6351CIMG6353