青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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鎧張り

昨日の雪が残って道路も凍って滑る。大工たちは現場を抜けて作業場で外壁の加工。板をカンナ盤に通し仕上げる。板の数はザッと600枚。ササラと呼ばれる押し縁も加工する。板を通すだけで1日でできない。明日までかかって何とか仕上げることができるかどうか。 
 
節のないものを希望する施主様だが全て無節は難しい。なんども言ってあるが実際出来上がるとどうなるか。塗装を黒っぽくすると節はあまり目立たない。黒塀とか黒いのが多いので特に問題にもならなかった。今回はあまり黒っぽくしたくないとの意向なので節は目立つ。 
 
長い板を切って節のない部分をつなぎ合わせて貼っていく。ササラで隠れるから見た目は問題ない。しかし赤身と白太が並ぶと変だしせめて6尺でつないでいきたい。普通に板を製材すると無節の確率は10%くらいのものだ。節を取り去り半分にすると確率はグンと上がる。 
 
さらにうまい具合にササラの部分に当たるとラッキーだ。そうした努力で節のない綺麗な鎧張りの外壁が出来上がる。ただ無節の材料を買って貼るなら簡単だ。材料費もグンと跳ね上がりコストがかかる。多めに用意するから余りがでる。 
 
大工たちに面倒な仕事をさせることになるがそれも含めてやれるのが減った。建材が当たり前の外壁材だが手つくりの板張りはすごく手間がかかる。できたものを見れば手間ヒマと材料の綺麗さが実感できる。cimg5659


朝起きたら一面雪。ウッスラとではあるが積もった。ミゾレのような雪で道路もすぐ溶けた。現場は下屋部分の屋根がフェルトを貼っていなかったので上の雪とけ水と一緒に溶けて水浸しだ。無垢の板とか合板が膨らんでくるので困る。ブルーシートで覆ってことなきを得た。 
 
午前中は製材所へ板を引き取りに行く。地産地消の本で私のことを知って以前事務所へ来たことがあった。あちこち探してなくてこちらにも電話した。丸太の在庫が豊富で長尺以外は何でも揃う。地域材を使った家つくりで盛り上がった。 
 
午後は現場でお施主様と外部の仕上げなどを打ち合わせる。外壁の板と漆喰をどこで切り替えるか、床材の貼り方などを決める。外壁は下見に貼った杉板と漆喰になる。屋根の下は漆喰で大部分は板だが切り替えをどこでするかが問題だ。実際にテープを貼ったり離れたところから見る。 
 
本当は板を持ち込んでやれば一番だがイメージでやるしかない。お施主様は無垢それも無節にこだわるから実物が一番だ。たまたま製材所から引き取った板を積んであったからそれを見ながらになった。やはり実物は一番でイメージできてすぐ決まった。 
 
今回はフローリングを全て造る。一階は桜と栗、二階は赤松と杉にした。一階は合板下地に15ミリのフローリング、二階は27ミリのリバーシブルになる。つまり二階床は一階の天井になる。だから両面仕上げになる。天井を高く取れるし根太を4寸角で45センチピッチで入れた。下から見ると根太の角とフローリングがリズム感があって綺麗だ。 
 
下屋も天井は無節の杉で屋根垂木を細かく入れたので綺麗だ。太いのを飛ばすより細くてもピッチを詰めるのも手だ。リズム感があって綺麗なのだ。それに住む方にはいつも中から見ることになる。細かい方が繊細な感じで美しい。板は赤身、白太が混じる源平だが日に焼けるので同じになる。cimg5656


羽目板

小雨が降ったりスッキリしない天気。午前中は事務所で図面や見積もり。家内がきて展示場を掃除する。ほとんど出入りがないが蜘蛛の巣が張ったり埃がたまる。毎年今の時期に掃除してもらっている。 
 
現場は玄関の下屋が進んで今日中に屋根ができる。木製玄関引戸を予定しているので風除室がつく。垂木現しの和風の風除室になる。主屋ではできなかった本格的な造りだ。大工も3人がかりで何日もかかる。そもそも加工が1週間もかかっている。cimg5651 
ほとんど節なしの構造材と板で造る。一部漆喰になるがほとんど板張りとか杉材のピンクの造りだ。軒裏を隠したり大壁の家だと外部も簡単ですぐできる。現しになるとまず材木の吟味から始まって小割の垂木や板も無節を集める。 
 
今回は節なしの板が量が多くて集めるのに苦労している。昔だったら板はどこの製材所も大量に在庫があった。中から節なしだけ選んで買えた。幅が15センチまでだったらなんとか手に入る。しかし18センチとかになるとそうはいかない。 
 
内装、外装合わせて200坪以上用意しないとならない。それがほとんど無節となるとかなり面倒だ。金額もさることながら寸法によっては乾燥した材がない。かろうじて丸太でも乾燥したものから製材する。完全な乾燥材ではないが工事中に乾いてしまう。 
 
大工がカンナをかける場合と実のついた羽目板に加工する場合がある。軒裏などに外部に使用する場合は突きつけで大工が作る。内装の場合は乾燥して隙間ができるので実のついた羽目板出ないとならない。既製品を買う場合もあるが板を持ち込んで加工する。 
 
一見安いように思えても使用量よりも多く作るから結局高くつく。既製品だと使用量分しか買わないからあまりが出ない。内装外装はもちろん腰板なども何でも作っていた。足りないと同じものがすぐ用意できないから多めに作る。 
 
その余りものが自宅倉庫にたんまり溜まっている。日に当てると使えなくなるので真っ暗な倉庫に置く。余りものとは言え変わった木や厚板など面白いものがある。トイレとか玄関の一部とかにアクセントで使ったりする。個性的なトイレやあまり見たことがない木の腰板ができる。何となくタダで作ったような気がするが実は結構高価なものに付く。


業者の紹介

気温が高めに推移するのは現場には助かる。玄関前の屋根にかかった大工たちは今日の天気が気になる。予報通り11時ごろから雨が降り始める。午前中は打ち合わせと現場。午後から事務所で図面や見積もり。 
 
フローリングの加工や外壁材の板探しで業者に電話しまくりだ。今まで取引のないところまで紹介などで突っ込んだ。相手は工務店や製材所、建具屋と多岐にわたる。思ったのはどこも県産材を扱うところなのだが厳しい現況があることだ。 
 
地域材活用は役所など指導があって喧伝されている。しかし現実は製材所は廃業が相次ぎ工務店、建具屋は地域材を使う現場などほぼなくなった。在庫があるのはあるのだが使い物にならないほど時間が経過している。持っていても仕方がないのでタダ同然でも売りたい。 
 
建具屋も無垢材の建具など滅多にないから在庫が減る一方だ。その中で当社のような手刻みにこだわったり無垢の家を標榜する業者は珍しい。そして業界では数少ない業者として知名度も上がって来た。新聞広告や県などのPR媒体で知られるようになる。 
 
現在の施主もそうだが業者の紹介は実現度が高い。一般的な広告よりも推薦の一言付きで紹介されると施主は安心する。業者とて商売だから当社からの仕事が来ることを前提に紹介する。そうではあっても施主には強力な推薦状になるのだ。 
 
仕事はあらゆるところから来るが見学会とか広告はきっかけとしては少ない。一番多いのは誰かの推薦とか紹介が多いし、決まる確率も高い。紹介を受けてから見学会に来るのもいる。 
 
長く生き残る業者は少なくとも業者からの評判が良い。逆に支払いとか何かの評判が悪いところはいつの間にか消える。紹介までいかなくとも悪口を言われないようなところが生き残る。初めてあった方にこちらから一方的にお願いをして見て自分の評価がわかった。以前なら取引など相手にもされなかったがこの頃は良くなった。信用されているなら将来に期待が持てると言うことだが…..。


36万キロ

朝から事務所へも寄らずフローリングの引き取り。片道2時間かけて戻ると昼過ぎ。作業場へ下ろして別な材木を積み込み現場へ。下屋が半分できて明日から玄関前に取り掛かる。来週は外壁の加工に入ってできるところまでやって休みに入る。 
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垂木現しなので杉のピンクが一層引き立つ。外壁も無節の予定なのでさらに良くなる。その外壁が足りなくてあちこち走り回っている。今日も大工のところへ見に行ったが思うようなものではなかった。面識がなかったが名刺を頼りにお願いしたら何とかしていただいたところもあった。今日は1日中走り回って少々疲れた。cimg5644 
今朝何気なくメーターを見ていたらピックアップの距離計が36万キロを超えている。現場が遠くしかも引き取りで往復200キロ走るなど距離が伸びた。23年目の達成で40万キロを目指して走り回る。全く大事に乗ろうとか丁寧な運転は考えたことがない。車は下駄であるとの認識で傷だらけだ。 
 
昨日も事務所への帰りに交差点で後ろの車にぶつけられた。こちらはゴンと衝撃があったくらいで大したこともない。降りて見たらバンパーが少し傷ついた。相手は爺さんでボンネットが膨れて結構な衝撃だ。保険は使わないで自分で直すと言うことでそのまま別れた。 
 
トラックは荷台の下にシャーシが二本通っていて頑丈だ。そうでないと重い荷物を積めないからだがモノコックとは違って簡単に潰れない。衝撃は大きくなるかもしれないが車は壊れない。荷物満載でフル稼働で板バネが折れるかもしれない。2,3年ごとに折れている。