青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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和風の断熱

昨日よりは幾らか冷え込みも和らいで現場直行で材料を運ぶ。その後事務所へ戻り図面など。午後もまた給排水の打ち合わせで現場へ。打ち合わせ後すぐ事務所へ戻り図面の続き。明日は県民局のバスツアーがくる予定になっている。スケヂュール表が届いて現場へ1時半ごろ来場する。 
 
大工が屋根の工事にかかりっきりで下では電気、給排水が施工する。屋根断熱なのでウレタンを3枚重ねで施工する。今日は最初の1枚目で母屋を施工後また断熱材を入れる。今日は半分施工した。野地板現しなので屋根垂木の上に板を貼り断熱材を重ねる。その後母屋を流し間にまた断熱材を入れる。 cimg5504 
簡単に言うと屋根を二回作るような感じだ。その上に瓦が載る。断熱と和風のイメージは相性が悪い。本来は化粧の垂木現しにしたいのだが屋根断熱ができない。本屋は総二階なので高さもあるので軒裏を張って仕上げる。下屋部分は断熱材が入らないので垂木現しになる。 
 
外断熱は真壁造りには必須な仕様で壁に入れる内断熱はできない。外に全て断熱材を出さないと中は真壁ができない。いくら古民家風だからと言っても断熱のない家は作れない。省エネの観点からも外せない要素だろう。内部の仕様はどうにでもなるとして外部特に屋根は難しい。垂木現しが常識なのにできない。cimg5506 
 
真壁と垂木現しが古民家の定番だが外部に関しては相当無理がある。本格的な和風住宅は断熱無しか申し訳程度しかできない。法に違反しているわけではないが世の流れからは外れている。見た目だけでなく住んで快適は当然な時代だから何としても折り合いをつけないといけない。


業者間の協力

気温は低いが風もなく穏やかな天気。やっと屋根の野地板を張って断熱材を貼る。全面に張ってから垂木を流しその上にまた断熱材。都合120ミリのウレタン張りとなる。相当な断熱性能になるが古民家風はイメージとして低断熱と思われている。 
 
本当に大変なのはここからで上にさらに野地合板で屋根を作っていく。瓦葺きなので刀刃と瓦座を廻す。そこから瓦は5,6センチ出てくる。なので破風や刀刃などで何段にもなって化粧となる。それがないとシンプルなのだが重厚感がない。cimg5500
屋根を内部から見ると現しの野地板が見える。化粧の10センチ角の垂木と相まって複雑でリズム感のある天井仕上げになる。二階床の現しと共に古民家に多い仕上げで材料費と手間をかけて作る。 

キッチリとした和風にはこのように手間暇のかかる仕上げがつきものだ。大工だけでなく野地板の加工屋も塗装もさらには配線工事で苦労する電気屋も皆大変な思いをして仕上げる。午後から電気工事の打ち合わせをしたがどこを配線するかが難問だ。普通に天井裏なんてのがそ存在しないからだ。 cimg5503 いつも組んでいる業者は経験でどこを通すか知っている。それでもどうしても柱とか梁に溝を掘って埋め込まないとならない。大工に協力してもらって工事する。よその現場では考えられないことばかり起きる。そう言った業者間の慣れが進行のスピードを早くする。


上棟式

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今日は上棟式、昼早めに終わってシートを貼って準備万端。お施主様はじめご家族、親戚の方々と業者。大黒柱に設えた祭壇に棟札、幣束コメ塩などを並べ拝礼。建物の四方に大工が米塩お神酒を撒きます。一通りの神事のあと酒宴に入ります。風が強く冷たい日だったのですが心は熱気でいっぱいです。 
 
何度も経験した上棟式ですが当社ではほとんどの方がおやりになります。もちろんお施主様次第ですが記念になるし一生の思い出にもなります。本当はじっくりと時間をとって語り合いところですが明日も仕事だしノンアルコールで乾杯です。ご親戚の方々にも曲がりや大黒柱を褒めていただきました。 
 
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今日は大工は応援もなく二人だけ。屋根の垂木をかけて明日から野地板を貼ります。その上にウレタンボードを張って断熱してまた垂木をかけます。二重になるわけですが外断熱なのでウレタンも3枚貼らないとなりません。その分屋根の工事は手間がかかるのに大工不足。 
 
二階の屋根裏は現しなので束がずらりと見えます。そのままロフトになりますがリビングの上は吹き抜けになります。そこには束に貫を通し込栓で止めて揺れ防止をします。本格的な貫と込栓は古民家の代名詞でしょう。曲がりはどちらかと言うと農家風なのですが貫は町家でも多く見かけます。 
 
こう言うところまで気を抜かず丁寧に作りたいと思っています。野地板現しの登りの垂木に貫、一番古民家らしい部分でしょう。曲がりや大黒柱にばかり注目が行くのですが本当は貫とか栓など細かい部分が”らしさ”を出すポイントになります。


建て方6日目

晴れが続いて今日で1週間になる建て方だが午後から予報通りの雨。棟も上がり登りの垂木をかけてシートで覆えば何とかセーフになる。小降りの中大工たちは必死で登りをかけている。早くしないと全体が濡れてしまう。濡らせばカタはつくし汚れる。cimg5458 
 
棟は一番高いところにある。ここに到達すればあとは組み立てはない。建て方の終了になる。明日は上棟式を予定しているが何とか間にあった。あちこちすんなりといかない部分はあったが何とかできた。わたしの設計は難しい方だと思うが息子はよく頑張った。毎日帰りは8時過ぎで作業場で加工を続けていた。 
 
過去の棟梁たちも皆似たようなもので遅くまで作業をしていた。使われる者と使う方は作業時間が違う。現場では同じように働いて終わってから作業場へ行く。間違ったり変更などはその日のうちに片付ける。そうしないと次の日はまた別な仕事が山積みになって溜まってくる。 
 
小屋組は複雑でレトロな感じに仕上げた。貫を通したり曲がりがあったり昔の家そのものである。ただ複雑なだけでなく強度の面でもかなり苦心した。大きな吹き抜けの空間とレトロな曲がりや貫は古民家の定番だ。私的には二階は小屋裏のような感じに仕上げたかった。だから桁高さは低い。天井が屋根なりなので斜めで高いところは高い。 
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ロフトがあったり複雑で高い部分と低い部分がある空間にしたかった。天井が水平な家に慣れると変形は馴染みにくいかもしれない。照明器具なども特殊な取り付けになる。そう言う空間に馴染まない方もいるので事前によく説明しないといけない。古民家が好きと言う方でも板張りや漆喰があればと言うのと太い曲がりが吹き抜けにあってと考える方もいる。こちらの一方的な思い込みだけで施主の納得するものができるとは限らない。


建て方5日目 勾配天井

昨日は現場は打ち合わせのみで大工は休み。午前中は他の打ち合わせがあって昼過ぎまでかかる。その後温泉に行ったり買い物に付き合わされる。建て方以来朝は早いし遅くまで帰らない。息子はもっと早出で8時過ぎまで帰らない。昨日は好きな釣り三昧だったようだ。 
 
建て方以来6日間雨なしだが明日は少し危ない。今日も応援の大工が二人来てもらったが明後日からは未定だ。何とか雨にならないうちに野地板まで行きたかった。今日は母屋束を立てるところまで行ったので明日は母屋をかけられる。あとは4寸角の登りの垂木を載せる。 
 
今回は屋根垂木現しで野地板が見える。普通であれば屋根垂木は母屋のピッチにもよるが45*105くらいだ。こちらは120*120なのでかなり太い。さらに無節で見せる垂木になっている。下から見ると垂木と野地板が全て見える。それが二階の天井になる。 
 
昨日はお施主様も足場に上って見たと思う。桁周りは高さが7尺(2100)しかない。低いのではないかと言うことだが実際は勾配天井なので平均高さは高い。2.5mくらいにはなるだろう。勾配天井の感覚がわからないので低い部分で判断したいものと思う。 
 
古民家は一階は高くても二階は意外と低い。屋根なりの勾配が多いから実際は低いわけではない。普通の家のように水平に天井を貼るのであればもちろん低いが勾配があるから高いところは高い。まだ登りができていなかったので判断しにくかったのだろう。 
 
古民家は人により思い込みがあって天井が高い部分をイメージする方もいれば低いところを思う人もいる。わたし的にはメリハリがあるので低いほうが面白いと思っている。自分だけの思い込みであるから多少のズレがあるかもしれない。全体的に高いのを好む方もいる。
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