青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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良い敷地

事務所前の公園の桜は満開だ。花弁が駐車場や玄関に彩りを添えでいる。もうこの桜も公園の開設以来15年にもなる。小振りだった桜やナナカマドなどの枝がこちらに侵入している。当方も借景と思っているので気にはしていない。 
 
事務所はトンネルの上の公園に接している。トンネルは開放式で公園は埋め戻した上にある。ガッチリと砕石を入れ転圧している。植樹はどうするかと見ていたが機械で穴を掘り土を入れて植えた。 
 
直径が1mほどだったから大きくならないかと思っていた。事実三分の一ほどは枯れて残ったのが30センチほどまで成長した。根は横に伸び地面に出てさらに伸びている。逞しいもので何年かしたら芝生が根っこだらけになるだろう。 
 
建物探訪などに借景がよく出て来る。公園とか河川などに面するとなるのだが設計次第で広がりののある家になる。内部から見た時だけかもしれないが無粋なお隣を見るより数段ましだ。これは敷地の価値から言えばかなり有利だ。 
 
アメリカなどではさらに遠くまで見渡せる敷地が価値がある。日本では根が百姓なのか分譲された3方お隣さんのような敷地が高価である。車の出入りや排水など設備が整っているからだ。 
 
見晴らしが良いと言ったって寝るだけの家なら意味はない。マンションも増えて益々ウサギ小屋に住む働き蜂になってしまった。個人所得が世界に遅れをとり住まいも貧乏臭くなっている。自宅で悠々自適なんてのは地方では幻想に近い。 
 
見晴らしが良くて広々した敷地に個性的な家を持つ。都会は所得はあるが土地が高い。地方は安い土地はあるが所得がない。だから狭い敷地に閉鎖的なデザインの家が増えた。皆似ているので個性的には見えないのが欠点だ。 
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伝統の家

一昨年昨年と仕事も減りコロナにも罹った。やっと規制解除が始まって雰囲気が明るくなった。ちょうど桜も咲いて以前に戻ったように感じる。年末にはすっかり落ち着いて元に戻るだろうか。 
 
細々した仕事が舞い込んで見積もりやら図面作成に忙しい。しばらく使わなかったCADだがあれこれ躓いてさっぱり進まない。現場が少なかったこともあって建材などの価格もわからない。どのくらい値上がりしたか確認しないと見積もりできない。 
 
建材はほぼ値上がりしたが国産丸太は一時に比べ下がってきた。集成材が主流の家作りでは国産材は少数派いや激減でマイナーになってしまった。国産の材木は地元の製材所などはプレーナーのかからないグリーン材しかない。 
 
家に使うには一年ほど乾燥させ修正挽きしてプレーナーを通す。そこで初めて大工が墨付けを出来るようになる。建材の集成材はプレーナーを通して乾燥させてある。さらにプレカット工場で加工してくれるのですぐ建てられる。 
 
人手不足で大工も要らず完全に普及してしまった。生のグリーン材から作業場を使って加工する手刻みの家はかなりのキワモノになる。国産材は集成材工場に搬入されるが良材の丸太は宮大工とか工務店向けに少数が出回る。 
 
需要がないから価格も下がる、道理である。良材よりも細い丸太が集成材やベニア用に需要が多い。しかも外材が高価格になって国産材で代替している。なんで国産材があるのに輸入するのかなんて議論は昔はあった。 
 
SDGs (エスディージーズ)の世の中だから国産材をもっと使わなきゃ。ドサクサに紛れて土台も硬い木とかではなくてカラ松などを薬剤処理して使う。もう強度とか耐久性なんてないも同然だ。手刻みの家なら土台は硬いクリを使うし水回りはヒバを使う。伝統の家はどこへ行ったのだろうか。