青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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悶着

気温が下がって午後から雪に変わる。午前中は図面作成で午後から現場へ。大工はサッシ取付で金物も明日には完了予定だ。明後日あたり金物検査を受けようと思っている。4人体制になって筋違とかサッシ付けが進む。とにかくサッシを付けるとと断熱材を貼れる。つまり外部を塞ぐことができる。 
  
曲がりや大黒柱は芯持ちで太いので割れやすい。乾燥が十分だと言っても風に当てると割れる。刻みが終わるとラップで包んで割れにくくはしてある。今日のように北風が強く吹くと効果も薄れる。だから屋根と外壁は早く塞ぎたい。cimg5565 
建て方の時に柱を立てたりするとラップを破いてしまう。そこに風が当たるとどんどん破れて取れてしまう。なので何が何でも塞ぐよりないのだ。大工を大勢投入して進めるのが一番なのだが普通の大壁の家なら簡単だ。一々加工をしながら組むのですごく時間がかかる。 
 
始めの頃はゆっくり丁寧にやって欲しいと施主は言うものだがなかなか進まなくなるとグチに変わる。こだわりの家を建てる方は丁寧を好むが限度はある。刻み開始以来5ヶ月を経過した。ご主人はともかくアパート住まいのご家族からクレームがつく。 
 
どんな現場でも施主とは悶着はある。小さなことから裁判沙汰までトラブルのネタは尽きない。誠意を持って接するかしかないのだが無理難題もある。そこをどうクリアするか請負者の器次第だ。ただ言い合いになれば勝ち目はない。しかし間違っていることには反論も必要だ。対処する技術なんてのはないが一呼吸置いて説得するしかない。


金物

昨日も打ち合わせで今日は朝から現場へ。屋根が終わってサッシと金物の取付に入る。金物を運んで取付位置を確認する。サッシは取付高さが大事で箇所ごとに印をつけておく。掃き出し窓はフローリングからになるからわかるが窓は箇所ごとに違う。微妙な位置が後で大問題になることがある。 
 
窓の高さはカウンターとか下駄箱とか吊戸棚高さに関係する。作り付けの高さは使い勝手に影響するので微妙な調整が必要だ。大壁の場合は問題にならずとも真壁は難しい。サッシ枠が4寸角なのでどこにカウンターが付くか決めないとならない。大工とも相談したり完成後の高さを考えて一つ一つ決める。cimg5554 
 
もちろん窓上の高さは統一しないと見苦しいのでカウンターなどの高さを決めるのは難しい。使い勝手だけでもダメだし室内のサッシ高さとも統一しないとならない。だから微妙なカウンター高さになってしまう。 
 
真壁の住宅であっても金物の検査は来る。外壁側はともかく内部の間仕切りに入れる場合は金物が露出しないよう考える。それでなくとも引き戸を多用するから壁長さが足りなくなる。昔の家は筋違とか入れなかったので壁がなくとも問題がなかった。cimg5545 
 
その分強度は落ちるから長い梁とか太い柱で対応した。地震には揺れに抵抗しないで柔軟な構造で対応した。それでも何百年と保っている建物もある。今だとどう言う建物であれ建築基準法に合致しない建物は作れない。入れないよりはと消極的な対応でなく入れるべきは全て対応している。 
 
たまに火打梁のボルト穴を隠したり苦労する。断熱とか耐震性は現代の建物には必要条件だと思っている。以前にはそんなものと入れたがらない大工もいたが今はそう言うのは通用しない。


屋根

昨日の風で建物外部のシートが破れてしまった。ゴミが散乱して後片付けから始まる。外部の破風もついて屋根屋がフェルトを貼る。これで雨が降っても大丈夫になる。建て方から普通だと4,5日でここまで来るのだが今回は2週間以上もかかった。cimg5540 
建物自体の組み立てが難しかったのが原因だが大黒や大梁の組むのが難しかった。なんでも現しは叩いてストンと入れるという訳にはいかない。慎重に傷をつけないように隙間が開かないように組む。刻みが正確なのは当たり前だが入れる順序が重要だ。 
 
まずは本屋の組み立て完了と言うところだ。これからサッシをつけたり断熱材を貼ったりして外部を塞ぐ。それから一階の下屋部分にかかる。下屋部分は単なる屋根だから断熱も何も関係がない。本屋は屋根断熱なので化粧の破風や広小舞ができない。外部の板貼りと釣り合いが取れるようにそれなりに化粧をする。 
 
自分の好みとしては破風を大げさに化粧をしたりするのは好きでない。ご近所にはそう言う屋根がいっぱいある。屋根だけが金がかかっている。そういう風にしたくなかったがお施主様も同じ意見だった。これから屋根に瓦が乗ってそれなりに風格が出るようにしたかった。cimg5541 
来週は瓦屋が来たりユニットが入ったり業者の出入りが頻繁になる。年末でもあるし何とか外部だけでも完成といきたいところだがどうなるか。外壁もササラ付きの下見張りになる。これはこれでかなり手間がかかるから人数が要る。人集めも厳しいので遅れ気味で推移していきそうだ。


現場の揉め事

猛烈な風が吹き現場はシートが剥がれゴミが散乱。屋根の工事が終わっていないので大工たちも必死だ。現場はいろいろなことがあります、こんな日もある。 
 
屋根の工事で難関がストーブの煙突カバーの水切りだ。板金屋根であればいかようにも加工できるし雨仕舞も簡単だ。瓦となると話が別でどうやって水をきるかが問題だ。雪割とカバーを繋いでカバーの下で鉛を使って瓦に刎ねあげることにした。決まってはいるが細部は問題だらけだ。現場で屋根屋と大工が打ち合わせる。 
 
カバーは70センチ角の四角でお施主様が自ら製作することになっている。箱自体は良いがどうやって水を切るか、瓦をどう収めるかだ。瓦は基本的に上の瓦から下の瓦に流れるだけだ。箱は瓦の下にも水が入り込むからどうやってそれを刎ねあげるかだ。 
 
鉛のシートを箱のベースに入れて下の瓦まで流す。言うと簡単ですがどうやって鉛を下に入れるかとかあーでもないこーでもないと揉める。最後は声と押し出しのある瓦屋の親父と私の喧嘩になる。漏ってきたら瓦屋の責任だから親父も声がさらに大ききなるわけです。 
 
こちらとしても工期が遅れ気味なことと思ったより手間がかかることでイラつき気味なので応戦しまう。やっと今日になって何とか話がついてまあなるようになるのです。現場はしょっちゅうこう言うことがある。こちらも現場の責任者ですから言うことは言わないとならない。元請けなのだから最後は勝つに決まっているのでかっとしてはダメです。 
 
いつの間にか現場では年長組になって年上は少なくなり知識や経験も積んで言うことに迫力があるようです。それでなくとも設計者で元請けはスーパーマンみたいなもので施主様以外は上がいない。気をつけないと独りよがりになったり良いアイディアがあっても出てこなくなったりする。こちらの意見を通すと言うより皆の意見を調整する方法が一番良いようだ。


屋根断熱

午後から雨の予報で朝から暖かい。予報通り昼から雨が降り夕方にはやむ。大工が4人に増えて屋根を完成させる。野地合板を貼り破風、刀刃をつける。やっと本屋の屋根の完成である。朝から瓦屋の社長が来て瓦割りの寸法を出す。瓦は寸法が決まっているから総幅は決められる。つまり合わせると言うことだ。 
 
今回は特に欠きがあって四角でない。玄関の上は二階がないからだ。下から順序に瓦が乗ってキリの良いところで上の瓦が始まる。半端が出ると一番上で調整するから下は半端が入れられない。ただの四角であれば上のノシを積む時に調整する。 
 
しかも今回は屋根断熱であるからそちらの都合もある。何やかんやで大工たちはこんがらかってしかも瓦屋の親父は声が大きくて…….現場は混乱する。現場では声の大きさが通りの良さと比例する。大声で言えば通るのだ。棟梁である息子が押しまくられると瓦屋の言う通りになる。 
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何とか話はついて断熱も規定通り40ミリ3枚重ねができた。これだけの和風住宅で断熱が大きいのも珍しい。ほぼ最高ランクだ。お施主様の意向もあり暖かく快適な家を望まれた。正確に言うと奥様の意向が働いたと言うべきか。 
 
本当は屋根は垂木現しをやりたかった。本格的な和風は皆そうなっている。野地も無節で現しだと綺麗なものだ。しかしこの場合でも瓦屋は野地が薄くて瓦桟を打つ釘が出る。わざわざ短い釘を用意する。もちろん効きが甘く良い顔をしない。あちら立てればこちらが立たず…..少し意味が違ったかな。 
 
普通の家であれば屋根断熱でも建て方4日目くらいに野地ができる。今回は何と13日目になった。今後が心配になってくる。これからサッシをつけて壁断熱のウレタンを張ってから下屋になる。そして今度は垂木現しでまた瓦を葺く。そこまでいって外部が塞がる。外壁を張る準備ができることになる。いつになったらここまで行くのか。