青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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麹屋

朝から霙で肌寒い。現場の外工事が終了なのでそれはそれで安心なのだ。午前中降り続いて午後から晴れてくる。午後一番で作業場で枠材や見切りなど寸法を決める。出入り口枠などは加工済みで現場へ搬入してある。床工事のあとは窓の枠を付けボードを貼る。 
 
天井は板張りとボード張りの両方が終わった。天井は外断熱ができないのでグラスウールを入れた。気密シートを貼って断熱効果を上げる。床も既存の畳下地の上に垂木を流してフローリングを貼る。床の不陸を調整してさらに強度を上げるためだ。薪ストーブのところは400キロくらいの荷重になるのでさらに補強する。 
 
作業場の近くに味噌屋があって国道の拡張工事にかかって建て替えをしている。宮大工が建てたので凝った建物だ。外部は出来上がったように見えたので麹を買いに行った。まだオープンしていなくて連休前になると言う。 
 
麹は甘酒を作ったり料理に使う。市内でも減ってしまった味噌醤油店からいつも買う。作業場からの帰り寄った訳だ。作業場周辺は古い建物を利用したギャラリーや茶寮がある。うまいアンパン屋があったり田舎なのに色々面白い店がある。 
 
味噌屋も娘さんが旦那さんを連れてきて跡を継いだらしい。塩麹とか甘酒などを並べていた。もちろん本業は味噌で結構塩辛く昔風の味がする。町おこしではないが若い世代が古いものを生かして起業するケースが多い。補助金とかを利用したり施設などと提携したりしている。昔の建物を活かすところが今風だと思う。安っぽい建材の店舗では風情がなさすぎる。CIMG4535

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コストカット

昨日も現場と作業場の往復でクタクタに疲れた。外部の終了で内部の天井にかかる。材料が在庫分と追加分でギリギリなので足りるかどうか気が気がでない。少しでもコストを下げようと在庫であるものを予定外の工事で使っている。 
 
先日倉庫をかき回し在庫を調べた。以前は板材から加工してもらっていた。加工するとたりない時でも追加という訳にはいかない。同じものが機械の都合で簡単に作れない。材料だって同じとは限らないし。で、使う数量よりも常に2,3割多く作る。 
 
フローリングと羽目板、さらに樹種、寸法と多種多様になる。時期がずれると上に積んでいくので下に同じものがあっても取り出せない。そこで引っ張り出して揃えて組み合わせる訳だ。狭いトイレの天井とか腰壁などは少量でも使える。 
 
フローリングも腰壁にしたことがあった。厚みが違うので貼り上がると陰影があってしっかりした感じになる。貼ってから厚みがわかるものかと思う方もいるだろう。目地の深さが微妙に違うのでわかる。 
 
家作りはコストをどのように考えるかで決まる。予め決めた利益の範囲内でコストをかける場合と請負金額は同じだがコストできるだけ下げる場合がある。業者の良心と言っても良い部分だがコストカットは手抜きに繋がっていく。自社の努力や在庫の使用などでコストをかけずに仕上がりを上げるようにする。それができるのは現場管理と設計者がどのくらい家作りに熱意を持っているかだ。


技術更新の重要会議

昨日より少し肌寒い。朝一で天井用の杉の羽目板を積む。昨夜一部積んでおいたのですぐ出発。現場で降ろして貼り方を大工たちに説明。羽目板は貼り方で多くなったり足りなくなったりする。無駄がでない貼り方がある訳だ。大工には大工なりの貼り方があって仕上がりや施工しやすさを考慮する。 
 
現場管理の要は必要な材料をただ入れただけではダメだ。無垢のフローリングとか羽目板は貼り方向や後で割れにくい貼り方がある。そもそも材料の寸法からして切り捨てる部分が必ずある。それをどういう風に貼ってどのくらい捨てるかで足りなくなったりする。 
 
建材は基本的に貼り方が決まっている。独自の貼り方や組み合わせなどがやりにくい。貼り方向や規格があって混ぜこぜや互い違いなど面白い貼り方ができない。効率重視の製造コスト最優先がこうなってしまった。確かに一定の貼り方に統一すれば誰でもできるし間違いもない。しかしメーカーの都合で余りの部分が出ても再使用しにくくなっている。 
 
それはメーカーのみならず量産住宅メーカーの都合と戦略上の結束に繋がっている。住宅メーカーのやり方を押し付けるのは前からで断熱や耐震など地場工務店の弱点を巧みに突いてくる。手作りとか巧みの技などは建材メーカーや量産住宅メーカーには奪いたい市場になっている。 
 
2020年から断熱基準の義務化が始まり真壁構法にはハードルが少し上がる。何とかクリアしてできる部分から手刻みの良さを生かしたやり方を研究している。現場は息子たち大工と私の言い争いがいつも絶えない。傍目にはケンカでも技術更新の重要会議でもあるのだ。
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オリジナルの在庫

遅い北国の春だが今日は桜も咲きそうなほど暖かい。現場も心なしかのんびりした空気が漂う。屋根の板金も終わって外部は外壁を今日明日あたり完成だ。コーキング工事をすると外部完成となる。大工は中の工事に入り天井から床壁と進む。 
 
息子は作業場で加工の真っ最中でカウンター類や内法を加工する。これの寸法や材質で部屋の雰囲気はだいぶ変わる。わたし的には一番楽しく悩みどころでもある。午後は自宅倉庫の羽目板屋フローリングの在庫をひっくり返し色々デザインを考える。 
 
天井はほとんど杉の羽目板が多い。軽くて施工も簡単で早い。以前は全て加工してオリジナルのものを使っていた。加工屋は持ち込んだ板材を加工するのだが刃物のセッティングに時間がかかる。毎回寸法や厚みが変わる。と言うことは足りないとなると同じものを作れない。だから余るように作る。 
 
日の当たらない倉庫に保管してある量が半端でない。腰板とか狭い部屋の羽目板には十分な量がある。ただし寸法や形状が微妙に違う。材質も杉、赤松、唐松はもちろん栗、アカシア、柳、桜米松…..もっとあるかもしれない。そして形状厚みが違うとくれば揃えるのが大変だ。だからどんどん溜まって倉庫にあふれている。 
 
壁の一部に貼ったり腰板にしたりセッセと減らしてはいる。ところが往々にして残り物は狂ったり節があったり大工の評判は悪い。一部に使うだけでグッと雰囲気が変わって良いのだが。毎回持ち込めば大工たちに白い目で見られる。また持ってきやがって….。在庫減らしに躍起になっている当方としては無理をしても使って欲しい。いつも揉めながら無理を通す。
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4月以降の職人

朝からアルミクズを積んでサッシ屋さんに行く。打ち合わせを済ませゴミから集めたアルミクズを降ろす。サッシ屋は安く捨てるルートがある。溜め込んだガラスアルミ類を処分してもらうのだ。すぐ近くの現場へ寄り外壁の板張りの仕上げを見てから製材所へ。加工して再び現場へ配達。戻ってブログを書く。 
 
4月に入るとあちこちの現場が動き始める。今来ている大工たちも来月には新しい別な現場へ散る。業界の一年は4月から12月までとなる。この時期に着工、完成が多いからだ。逆に言うと1月から3月の間は職人も確保しやすく継続して来る。時間もあるので仕事自体も丁寧ってことだ。 
 
4月に入ると号砲一発掛け持ちであちこち走り回る。だから3月着工とか職人たちにはありがたいことなのだ。ほんの少し早めるだけで手間隙をかけた仕事ができる。職種により多少の違いはあっても2,3月の仕事は貴重なのだ。 
 
職人不足は決定的な事項となった。ロートル軍団も大活躍で少なくとも4月以降は売り手市場になる。70歳近い職人も結構現場では見る。逆に30代とか若者が極端に少ない。土工とか屋根屋とか危険なもの汚いものは特に嫌われる。 
 
基礎屋は4月以降は重なりすぎて仕事を断れることも多い。冬の仕事が極端に無くなる職種なのでその時期に仕事を流して夏の仕事を優先してやってもらうようにしている。値切る、騙すは業界の暗部だったが少しずつ改善されている。払いが悪かったり評判が良くないところには誰も相手にしないからだ。 
 
それとは別に当社のような手刻みの職人にはレベルの高い技術を必要とする。人数の確保だけでなく技術レベルの確保もまた難しい状況になってきた。少なくとも墨付けができて内法などの加工ができる大工が二人いないと新築は難しい。だから息子に大いに期待する訳だ。