青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

090-1060-9764

大黒の加工

今日から大黒や大梁の加工に入る。お施主様には長く待った関心ごとである。何度も大黒の加工を見たくて作業場へお越しいただいた。刻みは横の加工が済み縦に入る。刻みは土台から始まり2階床2階天井、小屋と続く。横が済めば柱など縦に入る。 
 
製材の頃から何度も見学に来ていただいてこだわりの部分だ。大黒とか梁はもちろん床材天井材や仕上げ材に至るまで興味は尽きない。ほぼ手つくりと言っても良いくらいなんでも作る。下駄箱や玄関内部のデザインなどは何度も繰り返し検討した。 
 
カウンター材に使うヒバ材もあちこち探して見て歩いた。納得いくような材料が見つかるまで何度も繰り返す。その熱意は今まで経験がないほどだ。5,6年前から見学に歩き見て歩いた。自分のこだわりは何が何でも妥協はしない。 
 
こちらもそれに応えるべく在庫であるものは全て使うつもりでいる。勿体無いとか後で使えるとかは考えない。今が全てでできるものは全て使い切る。幸か不幸か溜め込んだ曲がり材や大黒は何本も修正挽きして選んだ。 
 
材料だけでなく大工技術に関しても歯止めがない。手間をかけて良くなるものは何でもやる。難しい技術でもできるものは全てやる。複雑な仕口を駆使し手斧で削って複雑な仕上げもやった。毎日のように遅くまでかかって仕上げをしている。 
 
今回の現場は当社の集大成だと思っているので時間をかなり掛けている。コスト無視ではないが相当頑張っている。私も息子もこれが最後と言うつもりでいる。大黒や梁の加工は肉体的には相当な負担になる。体中が痛くなるほど重労働である。
cimg5153

cimg5160


大工のイキ

昨日の日曜は朝から自宅倉庫の材木整理。製材の時に出た皮の部分から取った板がある。大黒や梁などで珍しい木やいい目が出たのを集めておく。そもそも大黒とか大梁は広葉樹で樹齢も多く良い目が出たりする。 
 
新築するとカウンター材とかアクセントの幕板とか使うときがある。在庫がなければどこかから買うよりないがあまり手に入らない。使いたいイメージもあるし太さ長さもある。 
 
何より目が良いとか変わった感じになれば最高だ。普段使う広葉樹では出ない雰囲気を作れる。杉などでアクセントにはめ込むとかよく見るがそれとはかなりインパクトが違う。 
 
店舗などでも本物の板に店名を記したりする。あれとは意味合いが違うが本物とか既製品にない印象を出せる。カウンター材も集成材一本やりでなく無垢の味を出せればグッと引き締まる。 
 
古民家風とかになるとこう言う手法が昔からあって大工たちの自己主張になったりする。センスの問題なのでやりすぎると失敗する。まあ素材の大きさや色などがかなり影響する。 
  
昔の家には大工たちのお遊びのような主張があった。太い柱や梁なども自分のセンスを見せる格好の場だったに違いない。他所の人が見てホーッとかすごいとか言われると施主は喜ぶ。 
 
単純に素人を喜ばせるだけでなく長く使ってみてただの飾りでないのがわかったりする。そんな大工のイキを現代にも生かしたいと思っていた。技術だけでなく素材も重要なので選んで使いたい。となると在庫するよりない。
cimg5135


建物の準主役

現場は今日は休みになる。作業場はいつも通り刻み。午前中は刻みの作業場へ行き昼から自宅倉庫で板材のチェック。幕板とかカウンター材にしようと在庫をしているのを引っ張り出した。 
 
ザッと鉋をかけてお施主様に見ていただく。好きな方には楽しい時間になること請け合いだ。幕板やカウンター材は構造材でないので一種の飾りだ。玄関とか和室などでよくやる。
 
床の間は作り方の様式があって決まっている。しかし本来の作り方でなくオリジナルを好む方が増えている。そうすると床柱や落し掛のない和室が出てくる。その代わり仏壇置場とか神棚だけの床の間風になる。一応床柱とか地板はあるが落し掛けがない。 
 
今回はリビングと水回りの仕切りが特にない。幕板風の板で縁切りをしたい。そう言う時に目の良い板を幕板として使う。何となく床の間風だったり和風だったりの雰囲気が出てくる。 
 
和風には決まりごとが多々あって飛んだデザインとかやりにくい。新しい和風とかあるが基本を守ったデザインは難しい。だから素材そのもので和風をイメージを出してオリジナルのデザインをやりたい。 
 
そう考えると目が良かったり銘木まがいとか材料がないとできない。もちろん製材所とか材木店で置いてある訳ではない。自分で製材をした時にゴミとして処分するような部分を集めて在庫しておく。 
 
それらが思いがけない価値を持って建物の引き立て役になったりする。廃業した大工の在庫を貰い請たりする。下手をすると使われずに10年以上眠ったままもある。今やっと日の目を見て準主役くらいに躍り出る。 
cimg5130


薪ストーブ

雨の中、地盤調査の立会い。その後作業場で大工と打ち合わせ。昼食後板金屋へ行きシャッター修理のトタンを引き取る。現場へ届け事務所で瑕疵担保保険の打ち合わせ。少し早めに終了し自宅の薪割りをする。 
 
刻みに入ると材木の切れ端が大量に出る。2トン車なら2台は軽く出る。現場に入ってもまた出てくる。手刻みは材木の切れ端はこちらで処理する。薪ストーブ付きならそのまま差し上げる。 
 
杉が大部分だが大黒などの切れ端も出る。乾燥していて理想的なのだが割るのが大変だ。割ると言うよりチェンソーで切ると言った方が近い。ケヤキとか硬い木だとマサカリが跳ね返される。 
 
ハンマーと楔を打ち込んで割るのだがなかなか大変だ。乾燥した広葉樹は一発でパカーンといかない。生なら簡単に割れる。松杉の針葉樹なら乾燥していても簡単だが火持ちが悪い。 
 
薪ストーブメーカーの中には針葉樹は燃やすなと言うところもある。急激に温度が上がる杉などは鋳物ストーブには良くないのだろう。乾燥さえ完全なら大丈夫というストーブメーカーもある。 
 
今回はネスターマーチンと言うメーカーで針葉樹OKだ。山も所有する施主様なので自分のところから出たものも燃やしたい。そうなると広葉樹はそう出てこない。そこを基準にしてこのメーカーを選んだ。


境界

今日は祭日、なのに朝から現場で境界の立会い。隣地同士で集まって決めるのだが第三者として私が立ち会う。何事もなくすんなり終わって明日の地盤調査へと続く。午後から作業場で確認作業やらゴミのマキをを積む。 
 
古いところとか郊外の田舎の方では境界石がないところもある。そうなると接する土地所有者が集まって決める。もちろん近所だから顔見知りなのだが言いにくい場合がある。後で言った言わないと揉めないように他人である私が立ち会う。 
 
今回はすんなり決まって何も問題がなかった。後で施主様に聞いたら古くは結構揉めたりしたと言う。農家が多いと土地の問題は大きな関心事になる。農地が減った減らないは収穫に影響する。 
 
今回もお隣がもう少し右だ左だと少しばかりの主張があった。自分の親から相続して経緯も知っている。お互いに自分に都合よく記憶しているものだ。その場合でも多少は妥協する姿勢がないと大事になる。今回はお施主様がかなり譲歩したいように思う。 
 
作業場ではいつものメンバーが加工中だが半分くらいまできた。残りは柱など縦の刻みに入る。全部刻めば仕上げのサンダーかけになる。外壁の板もこちらで加工するので人数を増やして作業する。上棟まで1か月半、これから少しずつピッチを上げていく。 
cimg5128