青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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木のマニア

午前中は事務所で図面や見積もり。午後から作業場で大梁の確認。どれを使うかとかどの面を向けるか…..。実は大工任せが多い中で私的には一番重要だと思っているのです。夕方になってお施主様を呼んであーでもないこーでもないと確認作業。 
 
普通はそこまで確認のために作業場までいらっしゃる方は珍しいんです。まあ好きだと言うことでしょう。だからこそ私を選んだのでしょう。3間もの大梁は普通使いません。山から出して乾燥するだけでもかなりの難問です。ケヤキとか赤松は時々見かけますが。 
 
お施主様は相当な木のマニアでもあり太い柱や梁を大好きです。だから刻みの段階でも相当な熱心さで見にいらっしゃいます。寸法や目の感じとか素人離れした好みです。こう言った木のマニアはよくいます。いますがそれを自宅にそれも金をかけて実現しようなんてのは珍しいです。 
 
加工をする大工たちは柾目の無節を好みます。加工しやすさと狂いの少なさでしょう。素人で節のある曲がりとか大黒を好む方は少数派です。しかも腐れや割れが大きく入ったりするのが多いので尚更です。完成後はかなり個性的で本格派になる予定です。
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カンナがけ

今朝は朝一で解体の現場へ行く。電気配線の撤去と仮設メーターの取り付けがあった。現場の解体工事が終わると地鎮祭と地盤調査がある。予定日が彼岸中にあたり28日に変更。若干工期が遅れ気味に推移するが予測の範囲内だ。

現場は今日も刻みと墨付け。梁の加工に入り3間梁や曲がりも加工する。二人しかいないので重い材料は苦労する。刃幅500ミリの鉋盤に3間梁を持ち上げて通す。相当な重労働で腰が痛くなる。それでも1鉋盤が15尺寸まで通せるので助かる。手で鉋がけだと相当な重労働になる。 
 
手刻みの家を建てるためには三つの条件が必要だ。まず墨付けのできる大工、乾燥した材料、加工場だ。3間(5.4m)を加工するには100坪クラスの作業場が必要だ。リフトで持ち上げて回転するだけで10m四方は振り回す。 
 
今回は3間ものが7,8本ある。大黒や曲がりも5m以上ある。これを持ち上げて裏返したり回転するだけで相当な重労働だ。しかも鉋がけも手動だと波打って真横から見た時に歪んで見える。曲がりだと目立たないが平角の梁だと木になる。 
 
作業場ができるまで何人もの大工と付き合ってきた。作業場も各種で手動の機械が多かった。トラックも2トン車一台が普通でクレーン付きとかはほとんどいなかった。その条件下であれだけの現場をこなしたから大工も偉かった。 
 
大工たちの苦労を見てきたので作業場とクレーン付きは私の夢みたいなものだった。維持費の金額が負担になってトラックは処分したが作業場は残った。整った作業場で修行した息子は扱いは慣れていた。今後は経費節約に励み作業場だけは無くさないように頑張っていきたい。手刻みの現場を取ってくると言うことだが。
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手間ひま

今日も作業場は墨付けと刻み。午後から現場で解体の打ち合わせ。水道と電気の切り離しがあった。明日も電気工事がある。解体業者も一緒に打ち合わせ。20日過ぎまでかかると言う。その後地鎮祭と地盤調査がある。 
 
作業場では大工たちがカンナがけの最中で全ての角と梁は自動ガンナを通して寸法を合わせる。通す時に材木の端っこを電気ガンナで切り落とす。何でかと言うと小口は伐採の時の状態がそのままだ。山や運送中とか小口に石とかつく場合がある。 
 
そのままカンナ盤に通すと小石で刃が欠ける。刃が欠けたら使い物にならない。万が一にも石が混じるのを防ぐために小口を少し切り落とす。全ての材木を切ってからカンナがけする。こう言った見えない手間がかかるのが手刻みの家つくりだ。 
 
手刻みの家は手間ひまの塊だ。熱意のある大工と良い材料があって初めて可能になる。今は機械カンナだけだが仕上げの段階になると手鉋や鑿の世界になる。いわば今は下地作りのようなものだ。曲がりや捻れを取りながら寸法を合わせる。全て加工し終わったら初めて墨付け刻みとなる。 
 
当社には自動で鉋がけできる自動鉋盤を2機揃えている。最初に直角を決める鉋盤を通してから平行を決める鉋盤に入れる。手動でやる機械もあるが正確でないのと手間がかかる。もちろん価格も桁違いに安い。自動鉋盤まで揃えている大工はほぼいなくなった。 
 
一部の宮大工とかこだわりの家つくりをする大工ぐらいだ。絶滅するのも時間の問題だろう。材料の木材と大工が減ってしまった。製材所の廃業は鶏が先か卵が先かでどんどん難しくなっている。大工が使わないから製材所が減るし良い材料も出回らない。
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加工場

今朝は5時から起きてトラックに積み込み。すぐ製材所のトラックと工場へ出発。岩手県の沼宮内へ運ぶ。ここは製材所や材木店が出資した協同組合。補助金を受けて大規模な加工設備と倉庫を設置した。例に洩れず補助金絡みは経営がうまくいかない。 
 
来月から経営母体が変わって工場が一時ストップするので早めに持ち込む。来月は羽目板、十一月はフローリングになる。大工たちが加工する分もあるので相当な木材使用量になる。普通の家の倍は固い。 
 
作業場は今日も刻みが進行し今月中に構造は終える予定だ。来月から人を増やしてサンダーをかけたりカンナをかける。刻みが終えないと出来ないので今から人数を増やして仕方がない。来月末の上棟までには全て仕上げておかないとならない。 
 
刻みは順調だが加工は結構手間がかかる。しかもプレカットしかやったことがないと道具も持っていない。これから大工探しもしないとならない。これまで現場をやったことのある者の中からスカウトに行く。 
 
刻みも進んで材木はほぼ調達済みであとは小割材になる。壁の下池とか垂木など見えない部分になる。とりあえず墨付けのみの仕事になる。連結する部分は繋いで墨付けをするので一度作ってまたばらす。土台から始まり一階二階と小屋の部分まで来た。梁を残しているので来週いっぱいはかかるだろう。それが済むと柱など縦の部分になる。
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栗の大黒柱

今日は午前中会計事務所が来社、決算書類など。昼に歯医者によって午後からお施主様のところへトラックを借りに行く。同行して作業場へ戻り大黒や梁のチェック。夕方自宅倉庫で積み込み。 
 
大黒柱の栗を挽いたが虫の穴とか腐れがある。お施主様は腐れの程度や強度の低下を気にする。仕上がりで40センチあるから多少虫穴があっても問題はない。見た目さえ気にしなければ良い。しかし大黒柱は家の中心でシンボルである。 
 
お施主様は太い大黒を希望だが腐れや虫穴は気にする。更に挽いて細くすると虫穴は消えるだろう。腐れは中心に近くなると大きくなる。古い木は中心が腐っている例は少なくない。樹齢の古い木に共通の特徴だ。 
 
今回は栗の100年近い木なので中心部は枝から侵入した腐れが入っている。栗は5,60年を経過すると腐って自分で倒れる。新たな芽が出てまた木が成長する。だから樹齢100年近いものは例外と言える。目が細かくて綺麗なので中心部が腐っている木でも家具用に結構な値で売れる。 
 
森林組合の入札でも栗の大木は腐る腐らないに関わらず太い木は高い。用途はほとんど家具用である。建築材としては土台用が多いが稀にこうした太い木は柱にも使われる。大黒柱とか見柱など化粧の柱に使われる。太すぎて住宅用としては使いにくい木だったが今回やっと使い先が決まった。
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