青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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ノウハウ

昨日は夕方から孫を見ることになりブログを書く時間がなかった。全く個人的な事情による。昨日は午後から先日の現場の取材があった。地産地消の本の取材でM氏が直接取材に来た。今日は一転してヤマセ気味から朝からムッとする暑さだ。温度差が激しい。 
 
毎日のように事務所にばかりいると体調がおかしくなる。運動不足もあるからあちこち痛くなったりする。設計作業はじっと座ったきりで頭だけを酷使する。疲れるのは頭であって体ではない。そのバランスが崩れて調子が悪くなるのだろう。 
  
完成現場へ行くと自分が設計したにもかかわらずおやっと思うことがある。思っていたより良かったり悪かったりいろいろだ。思うに現場が進行中は施主に良く見せようとか時間を減らして利益をあげたいとか考えている。仕事なのだから当たり前だが邪念の入った目で見ている。 
 
自然の美しさのように何も考えずに見ることで良さがわかる。それと同じで計算した以上に効果があって良かったり悪かったりがある。設計のノウハウはこう言う事例の中から学んだことの積み重ねだ。 
 
理論理屈の理想論や驚かせて派手な効果をあげたいなどの積み重ねから何も生まれない。設計者の中にはパフォーマンスに長けたのもいる。しかし時間の経過で積み重ねるものがない者は忘れ去られる。地道にノウハウの積み重ねがないと生き残ることができない。 
 
不滅の大記録を上げるイチローとは比べるべくもないが積み重ねと継続だけが結果を生む。一つ一つ努力を重ねノウハウを貯め少しずつレベルを上げていく。歩は鈍くても最後に立つ位置は簡単に真似ができないものになる。その差はイチローほどでないにしても少し違ったことができるようになる。


古民家

本格的なヤマセで暖房が必要なほどだ。冷たい雨が降ったり止んだり。今日も1日事務所。図面が設計の核心部分なので集中していやる。雨が降るとどう言うわけか業者もあまり来ない。なので邪魔されないですごく良いのだが。古民家風の住宅なので細部に渡って図面を描かないといけない。

古民家はどこでもやれるものではない。材料と職人と設計のノウハウが必要だ。時間の経過とともに変わっていく知識も不可欠だ。10年以上建て続けてきてもまだまだ未熟だと思う時がある。文字通り赤字を食いながら苦労して溜め込んだものだ。材料と借金が溜まる一方で知識も溜まっていく。 
 
技術的な知識は確実に溜まっていくのだがどうやって客を見つけるかは難しい。一般的に古民家風は高額である。なので裕福な方たちだ。職業は多岐にわたるが自営業が一番多い。年代も50代から60台が大部分だ。 
 
苦労して商売を続けてただ辛抱の一生と言う方が普通だ。親からもらったラッキーのもいるが大手のメーカーを好む方が多い。辛抱して資産も増えて念願の家を建てたいとなる。いくら資産があっても墓に持っていけるわけではない。 
 
夫婦で一緒の方が多くて奥さんを喜ばせたいのもある。苦労したのは自分だけではないからご褒美みたいなものだ。子供のために土地や家を買ってあげても自分達は古い家に住むのが普通だ。人生最後の奥さんへのプレゼントと言うのがあった。 
 
苦労した方は無駄な金を使いたがらない。ケチなのだが家だけは立派なものを考える。孫子の代まで使えるものを要求する。イメージ的には昔の家のほうが長持すると思う方が多い。だから古民家風が好まれる。 
 
メーカー住宅は金さえ出せば誰でも買える。古民家風は一般的に業者も少なく設計者も知識がない。同じ予算であれば古民家風の方が数も少なくステイタスとなる。さらに自分だけのこだわりを取り入れるからますます個性的になる。 
 
自分が長年頑張ってきた証を家にして残したいと言うのがある。孫子の代まで使えるなら安いとも言える。時間の経過は古民家には価値の値下がりを意味しない。人生最後の自分の生きて来た証を家にして残す。こう言う層に古民家は一番支持される。


朝市

気温が低くて典型的なヤマセ気味の天気。朝からずっと図面作成。途中業者が来て中断しただけ。高温とか豪雨とか全く無縁。 
 
古民家リフォームに力を入れているがこれからの主流になると思っているからだ。たまたま早く起きたので朝市に行った。昔から毎日やっている朝市だ。田舎の商店とか零細業者が仕入れに来る。いつもは日曜の朝市に出かけることが多い。 
 
平日の朝市はサビれたの一言に尽きる。ほとんど人通りもなく出店業者の間隔も空いている。出ているモノも似たようなモノが多い。まあ魅力がないと言うか買い物をする気が失せる。商店街もご多分にもれず閉店の紙が多く貼られている。 
 
かっては卸し機能も活発で食品だけでなく何でも並んでいた。人が集まると付随する食堂もたくさんあって賑わった。家族で気に入りの食堂があってこの間行ったら店が小さくなっている。この人通りを見て納得した。 
 
人口20万以上で中核都市に指定されても現実は下降をたどるのみだ。人口が減れば商店もなくなる。他の業種だって売り上げが厳しくなるのは当たり前だ。建築業界も例外でない。新築需要は減るしかろうじてリフォームのみが活発になる。 
 
そのリフォームだって金額的に見たら伸びるとは思えない。一部の金持ちが金をかけてやるとだけだろう。年金暮らしの高年齢層は我慢するだろう。いつまで続くかはわからないが人口減の圧力はリフォームにも及ぶ。厳しい未来が待っていると思うだけだ。


若い大工

昨日よりは幾分涼しい。朝から床屋へ行ってそれから事務所。見積もり図面を作成後業者に渡す。午後も事務所で図面。夕方先日の引き渡しの現場へ。週末地産地消の本に掲載されるのでインタビューの予約。 
 
今は現場がないので大工たちがよそへ出稼ぎに行っている。息子は今日と明日現場があって三沢市へ行った。残りは別現場で働いている。そこの現場は仲間の一人が請けてきた。9月ごろから同じメンバーが息子と一緒にこちらに来る。 
 
ひとり親方と言うか一匹狼の大工は時々でチームを組む。請けてきたものが頭になり現場が進む。当社の現場は息子が頭になり同じメンバーがチームを組む。そうやってリーダーを変えながらチームとして一箇所にとどまらない。 
 
この形態は現場数が少ない元請けには便利だ。必要な時に必要な人数を調達できる。仕事がない時の心配をしなくて済む。なりなりに仕事は続くもので1年中仕事が切れることはない。 
 
しかし全て自己責任だから何かあっても保障がない。怪我は労災があるのだが仕事が続かない時に困る。常庸なら雇用保険をかけてもらい仕事の心配は原則ない。その代わり手間賃は安い。一切お任せコースとでも言えば良いか。 
 
サラリーマン化して増えつつある。若い世代には多いようだ。逆に一匹狼は中高年のベテランが主だ。当社のような現場はベテランでないとできないのでよけいこう言うのが多いのだ。いつまで経っても息子は若くて下が入ってくることはない。本当は若者を育てたいと思うのだが現場数が少ないとそれも叶わない。


手直し

雨が降ったり止んだり。気温が高くヤマセとは違う。午前中は事務所で図面や見積もり。夕方から融資担当者も交えうち合わせ。 
 
古民家風の現場があるので図面も見積もりも最終局面。古民家は大黒や曲がりが主役なのでお客様も気になる。もちろん倉庫で現物確認もするのですがどう掛けるかが問題だ。 
 
構造上の計算もあるので見た目だけとはいかない。ここに掛かればと言うのがあっても瓦の乗った屋根荷重はものすごい。これに積雪荷重もかかると梁が下がり建具とかきつくなる。 
 
ほんの1,2ミリ下がっても建具は渋くなる。建具屋にはいつも余裕を見るように言うのだが….。そう言うところにキッチリとした仕事をするのが職人だからだ。何も0.5ミリとかキッチリにしないでと思うのだがいつもキツイ。そしていつも手直しに行く。 
 
もしかしたら後で手直しに行くことで他の不具合も見ているのだろうか。建材のできあいの建具は遊びや調整しろが大きい。ビスで簡単に調整ができる。業者の都合最優先だからだ。 
 
逆にキッチリと作って手直しをやることでどう狂ったかわかる。その情報は大工に伝わりから狂いの程度がわかる。そうやって狂いやすい手刻みの現場は長持ちさせていく。