青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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役物

いつも通りに大工作業が続く現場へ午前中寄る。午後はお施主様と打ち合わせ。現場で指示後前に見積した方の所へ。現場によって最終チェック。明日も塗装屋が入るので朝一で打ち合わせ。
 
現場はいよいよ内法や窓枠の取り付けに入る。この辺から当社の特徴がよく分かる仕上げになる。使う木材が高級材並みのものばかりだ。無節を使うのはどこでも同じだが当社は柾目だけになる。さらに窓枠などは厚みがせいぜい30ミリくらいだが当社は75ミリ厚になる。材木店などで買うと多分うん万円もする超高級材になる。 
 
なぜこんなことができるかと言うと丸太買いだからだ。製材で取れる材は並材でも柾目の無節でも基本一緒だ。役物だろうと並材だろうと同じ製材賃だ。役物が出そうな丸太はもちろん高い。山に積んである中から切り小口を見て良否を判定する。マグロの買い付けと似ている。    
 
選んだ丸太から役物を挽いて倉庫で乾燥する。十分に乾燥させるには1年以上かかる。当社では小割りにしないで丸太の半分くらいにして乾燥する。使う時にまた挽き直して使用する。ストックの厚い板がかなり溜まっている。 
 
新築住宅や凝ったリフォームなどでこれらを使って古民家風とか作る。これがないと仕上がりのイメージが決まらない。内装が当社のウリなのでこの役物が切れたら大変なことになる。材木店などから買うとなるととんでもない値段になる。とても予算的に合わなくなる。
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お父さん

昨夜の雨が前の畑を濡らしてトラクターをかけたばかりなのに草が生えきた。木々の芽が一斉に出て桜も2週間ほどで咲くだろう。午前中は現場で打ち合わせ、午後は支払い図面作成など。 
 
昨日は久しぶりに大工のお父さんに会いに行った。5,6年ぶりになるだろうか。12年ほど前に古民家風を最初にやったのはお父さんたちだった。お父さんは通称で私より17,8歳年上で現在82歳。すこぶる付きで元気で今でももちろん現役だ。大工が5,6人いて仕事を取ったり段取りをしたりしている。 
 
まだ学生だった息子が現場でお父さんたちをじっと見つめていたのを思い出す。当時もお父さんは現場で大工として働くことはなかった。職人というより現場監督のようなものだった。その現場の前の家を解体したのは息子たちでアルバイトに5,6人学生を集めた。 
 
息子が皆でワイワイ働く楽しさを覚えたものかわからないがその後大工になると言い出した。お父さんが実物で見た最初の大工になったわけだ。秋田へ修行に行ってからも現場へ寄ってお父さんたちを見ていたものだ。 
 
今回お父さんの近くの方の娘さんの新築工事の話があった。本決まりになっていなかったが施主の近所の大工でお父さんが相応しかろうと思っていた。その相談とお父さんがまだ現役としてやれるか見極めに行った。まだまだ現役バリバリで鼻息も荒く組んでやることを承知した。 
 
もちろん施主との契約がまだなのだから何とも言えないが決まればうまくいく予感がする。お父さんたちは当社の作業場から近い。現場は遠いがもとから遠くなるのは承知の上だ。過疎の進む地域なので地元仕事は殆どない。 
 
出稼ぎに行きたくない者は近隣の市町村の仕事を探す。10年ほど前まで当社の仕事をやっていたが新しい若い大工が見つかり少し縁が薄れていた。作業場を作ったことでまた近くなると言う縁ができた。どちらかと言うと大工よりもどきに近い仕事が多くて腕のほどは厳しく思わなければならない。息子と組ませることで何とかクリアしたい。


中高年のリフォーム

暖かくなって現場周辺のゴミ片付けをする。外部の塗装を残すのみで足場も外せるようになる。外部が完成したことになるので写真が撮れる。省エネポイントの対象なので完成写真を提出する。内部は床工事の真っ最中でこれが済めば壁や開口部周りの枠を付ける。 
 
昨夜仕事が終わってからこの前作った小屋で飲み会があった。お施主様はこれがやりたくて建てたようなものだった。念願叶って同級生の集まりになったと言うことだ。チロチロとストーブを燃やしながら広くもない小屋で大騒ぎをした。主屋とは離しているので多少大声で騒いでも気にならない。 
 
気のおけない仲間と延々と喋りながら飲み会は楽しい。楽しいのだが街に出かけてまで飲みたくない。かと言って家族がいるのに遠慮がちに飲むのも楽しくない。別荘と言うわけにもいかないしあまり金のかかることもできない。そう言う方にはこんなのも楽しい。普段は物置で作業小屋にしている。 
 
隣にいることで奥様にしても安心で様子がわかる。もちろん何をしているかわかるから放っておいても良い。後片付けや掃除もしなくても良い。お酒の飲める書斎ってところだろうか。本を読む時もここだそうだから。 
 
定年後の暇な時間を過ごす空間としては広いし趣味でも何でも可だ。家族に遠慮がいらないのは気がラクだ。お施主様に満足いただけたのが一番だった。これも中高年のリフォームの一種だ。
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カンナ屑

朝養生ボードを現場搬入、午後は作業場へ。カンナ屑を貯めたサイロを抜いてもらうのに今日来てもらった。排出能力が弱く4トン車のアオリ付きで半日かかる。隣の製材所はモーターが強力なのか小一時間もあれば満杯になる。前にも遅すぎて来なくなった業者もいて当社でがダンプを借りて持って行った。 
 
鋸屑とカンナ屑があってカンナ屑の方が大きい。牛舎に敷くのはカンナ屑で鋸屑は肥料になる。買い取る業者はどちらでも持って行く。基本的にタダで引き取ってもらえるが運ぶのに時間がかかって敬遠される。運ぶのでなくて積み込むのに時間がかかるのだが。 
 
作業場開設以来引き取り業者は4,5社変わった。近辺の肉牛飼育の農家は2トン車で2台もあれば何ヶ月も持つ。大きな業者は当社の排出時間がかかるのを敬遠する。サイロは当社だと年に満タンで1回抜けば良い。2トン車で7,8台、4トン車だと3回抜けば良い。 
 
当社クラスの工務店だと箱型木造のクズ箱を作る。真下に開口を設けトラックを入れて抜く。せいぜい2トン車一台分くらいだ。当社のサイロは大型でサイズがかなり大きい。元は粉炭を作る工場だった。安い中国製に押され廃業した。 
 
2トン車一台分だとすぐ満杯になってしまう。刻みに入ると何度か抜かないと溢れる。サイロは空だと2棟分刻んでも大丈夫だ。過剰設備ってことだ。息子は加工する際に大きいサイズからかなり削って落とす。つまりカンナ屑が大量に出るから大きなサイロは好都合ではあるのだ。 
 
建材を使うとか材木店からプレーナーの掛かった製品を買うかするとカンナ掛けが減る。荒挽きのさらに曲がった材木をまっすぐに直しながら作ればカンナ屑だらけだ。材木店から買うより丸太買いで製材した方が安く上がる。ただ乾燥手間とカンナ掛けがかかってしまう。CIMG4543

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腕を上げる

昨日の霙が嘘のような春本番のお天気。午後は暑くて上着を脱いで仕事です。現場は床張りと作業場の加工に分かれます。入口枠とかをつけながら壁を作っていくのですが手間がかかるのでなかなか進まない。 
 
せっせと材料を運ぶのは少しずつ減って大工たちのスピードが落ちてきます。まあこれで仕上がりが決まるのだから慎重です。現場で作業している大工は平均年齢が若くなりました。一人60代後半。50代が二人、息子の30代になります。どこでも60代が一番多くて平気年齢を押し上げる。 
 
住宅会社専門の組み立て大工は若いチームが時々見かける。修行の要らない組み立てだからです。当社の現場のように手刻みとか加工がつきものの現場ではやることがなくなった。メンバーは常に動いているので毎年変わる。 
 
加工や刻みをやらせると得意なものも下手なものもいる。60代だからと言っても満足に刻めないのもいるのです。ここ10年やったことがないとか言い訳はするが。本当はもっとやっていないのでしょう。 
 
プレカットが主流になって20年くらい経ちます。もっと前から安物の小屋みたいな建物しかできない大工もいたのです。通称便所大工と言いますが年は食っても腕は未熟です。私の勝手な推測では60代でも刻みや加工ができるのは半分以下です。 
 
何の職種でも腕を磨く気持ちがないと便所大工のままです。ボードを貼るとか外壁を貼るとか建材を使う仕事しかやらせてもらえません。そのことに特に不満とも思わず年月を経てレベルの低い大工になってしまったのです。 
 
もっとも腕をあげたくともそういう現場が減ってできなかったと言う面もあるでしょう。腕のある大工が気合を込めて仕上げた現場は綺麗です。見た目だけでなく触るともっとわかります。鏡面のようなカンナがけができても施主に白く塗装するように言われてがっかりの時もありました。