青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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手斧削り

朝から作業場で大工と打ち合わせ。刻みが佳境に入り細かいところの仕様を決める。息子が墨付けをして仲間が刻む。午後から銀行とHPの手直しで業者と打ち合わせ。 
          
今回の現場は壁や天井も板貼りなので板の加工もする。乾燥した野地板をカンナがけする。在庫で沢山あるので抜き出してプレナーを通して貼る。突きつけ貼りなのできちんと加工しないと隙間だらけになる。野地板は幅が不揃いなので幅を揃える。長さは2mと決まっているが幅は取れる寸法になる。3寸、4寸、5寸と3種類に分ける。  
 

狭いのが一番多くて半分以上になる。製材した残りから作る関係で狭いのが多く出る。野地として貼る場合は適当に混ぜこぜで使う。表しで貼る場合は寸法が揃った方が見た目が良い。加工もしやすいので分けるのだ。
 
在庫であるのはサワラと杉だ。赤松もあったが最近あまり使わないので残っていない。サワラは貼るとヒバやヒノキと同じ匂いがする。なんとなくヒノキ風呂とかと似ている。昔は風呂桶とか水回りに使われた。今回は土台もサワラを使った。
 
小屋の真ん中に大黒柱を立てる予定だ。曲がりも入れる。別に強度的にはなくても良いが見栄えで入れる。大黒はイチイの6寸角を使う。曲がりは桑の曲がったのがあった。ザッと息子が皮を剥いて仕上げてあった。皮付きが希望なのでわざと面を残した。  
     

ただの6寸角と平角では情緒も何もない。そこに面がついた節だらけのイチイがピッタリハマるはずだ。さらに赤い桑の曲がりはバッチリだ。あげくに桑は仕上げを手斧削りにした。独特の凸凹が味があって好きな方にはたまらない。IMG_0072


業者の注目

昨夜来冷え込んで、朝早く京都へ行く家内を送っていく。日中もあまり気温が上がらず寒い1日が続く。基礎の現場は今日もコンクリート打ちが続く。その後作業場へより大工たちの刻みを見た。材料が上の製材所に預けてあるので間に合うという。どれが在庫かわからなくなってしまった。

   
次の現場を刻んだら下の作業場へ降ろそうと思っていた。長尺材がかなりあって通し柱に使えそうなのが多い。6mの梁材とか特寸が沢山ある。普通の4寸角も並材が200本くらいはある。無節の役ものが比較的溜まって並材が足りない。5寸角もかなりあるので4寸に落として使うつもりだった預けた在庫がまだある。

   
今日も大工を抱えた工務店から電話が来た。仕事を欲しいと言うことだが4,5月になるまで比較的空きが出る。結局これだって広告を見て当社に仕事があるかと思いついたのだろう。広告にはこういう効果もある。

 
10年ほど前になるが広告を出したら下職や広告代理店、PR雑誌、建材店などが押し寄せたことがあった。業者の割には客は少なかった。その後1年ほどして徐々に客が増えてきた。広告は最初に業者に注目され徐々に客に浸透する。

 
業者の注目を浴びないようなものは客にも効果がない。特に同業者はいつも他社の動きには敏感だ。真似できるものはすぐ真似る。客がどう言うのを注目するか常に考えているのがライバルたちだ。サラリーマンと違い自分の商売に直結することには敏感なのでアンテナ全開で見ている。

 
その彼らが注目してくれるのはある意味ありがたことなのだ。同じ新聞紙上で当社に注目が向くのは広告として正解だったと言うことだ。これから客からも引き合いが増えるのが期待できる。


古民家リフォー夢

作業場で機械の修理と大工たちの刻みが始まった。なんだかんだと大げさな修理になってしまった。今日中になんとか出来上がる。その後現場へより基礎工事の確認。施主も手伝って皆でワイワイやっている。

基礎工事中の小屋は小屋と言うより趣味の部屋と言う方が正しい。こだわった作りやデザインでやりたいと言う施主のわがままだ。決して奥さんは喜んでいるわけでもなさそうだし。ご主人の念願の趣味の部屋とかそう言った夢の実現だ。

古民家リフォームの広告は2週間くらいで6回も掲載された。普段だと広告の話もしない業者まで効果はどうかと言う始末だ。結構目立っていると言うことだろう。新築需要の衰退が叫ばれる中でリフォームは今後も重要性を帯びてくる。大手の進出が激しい新築は若年層の縮小と低収入化で低価格化は避けられない。

新築に比べて金額は少なくとも数は圧倒する。高齢化が進むなかで断熱やバリアフリー全て劣る家を何とかしたいと言うのは多い。ただのリフォームはどこでもやっている。そこに夢とかこだわりを取り入れるところがミソだ。

ただのリフォームとどこが違うか説明するのは難しい。うまい言葉が見つからなくてたどり着いたのが”古民家リフォー夢”。夢というところが他所との違いだ。ただこれがうまく伝わるかどうかだが。


自由なリフォーム

日中は少しずつ気温が上がって基礎工事の現場も泥んこになる。遣り方を出して高さと位置を決める。明日からの予定が早くなって今日からになる。今週末に完成して大工が来週からになる。

午後から作業場の機械修理と材料の搬入に立ち会う。大工は明日から予定していて今週で刻みを完了する。来週から建て方に入り1週間ほどで完成する。同級生でもある施主は小屋を趣味の部屋に使う。だからこだわった小屋という感じになる。明日から材料を加工するのだがただの角ではおもしろくない。丸みがついた梁とか面のついた柱を所望されている。在庫であるものから選ぶと言う条件なのだが。

施主は小屋で木の加工を楽しみたいと言う。バンドソーや穴あけ機などを持っている。薪ストーブも設置して仲間と飲んだりすることも考えている。だから内装はできるだけ木にこだわってみたい。板張りの内装で自然っぽく作りたい。

中高年の趣味の部屋と言うか隠れ家のようなものだ。酒を飲む方はこう言う部屋を欲しがる。自宅で飲むのと違って自由に気兼ねなく過ごせるのは一番だろう。その点で小屋とは言っても別棟だから開放的で自由だ。薪ストーブで魚でも炙っては自宅の室内では少々無理がある。

単なるリフォームを超えて自分の生き様まで反映させるのが増えている。できれば自宅とはイメージを大きく変えたい。子ども時分に戻って仲間を集めてワイワイやりたい。そう言うリフォームもアリと思う。


洋風建物

昨夜の雨が残る日曜の昼に電話があって展示場へ案内する。日曜も広告が入って見たと言うことだった。早めに行って薪ストーブの火を起こす。案内の後事務所で打ち合わせ。そしたら独立前に仕事をさせていただいた方だった。広告を見て私とわかって電話をしたと言うことだった。

ご実家のトイレを工事したことがあってその後私と同じ頃独立開業をした方だった。お互いにその後の付き合いがなく25,6年ぶりの再会だった。私の方が少し前に独立していて開業の挨拶だったか何かでお会いしたことがあった。

工事をした現場は当時珍しかった洒落た洋風の建物だった。お父上が建てたもので開放的な作りで冬の寒さは格別だったようだ。今ならデザインとかこだわりとかで設計された現場は数多くある。当時で築15年くらいは経っていたかもしれない。

古民家は当社の売りとなっているが本当のことを言うと明治大正の洋風建物の方が好きだ。いつかはこう言う建物を建ててみたいと思っていた。残念ながら注文もなく地域材とも相性も特別なかった。どちらかと言うと木の素材を活かすよりも材木の加工でデザインされている。加工技術もなくセンスもない当社には難しかった。

明治大正の洋館は見た目よりも難しい。短かい期間で無理やり洋風に合わせる技術は一部の棟梁にしか残らない。後継者もなく廃れた技術になった。

それに比べると古くからある伝統技術の農家などの古民家は数も多い。大工の技術も受け継がれてできる大工も多かった。材料や技術の難しさで減ってはいるものの宮大工なども数多い。洋館作りはほぼできる大工は見当たらないし図面や口伝によるものもない。

公共建物であれば残る資料も住宅では残されていない。見よう見まねか解体して模倣するよりない。洋風と言えば今では当たり前だ。しかし建材によるニセモノを使った不思議な洋風なのだ。むしろ明治大正の洋館は本物で洋風に似せて造られる。似せるとは言ってもまがい物とは違う。本物の素材による洋風なデザインは建材によるまがい物とは比べるべくもない建物で古民家と同様本物の建物なのだ。