青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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芯持ち材

今朝は冷え込んで秋深しを感じさせる。とうにコタツを出して寝るまでテレビを見る。まだ基礎工事の続く現場はコンクリート打設を急がないとならない。上棟の大工たちは寒さは慣れている。 
 
お施主様と話していて気になることがある。当社は柱現しであるから割れたり狂うのはご法度だ。無節を要求されるから芯去りが絶対条件だ。時々素人の方から芯去りより芯持ちが強いと言われる。 
 
芯持ちは製材するとき丸太の中心を入れる挽き方だ。芯去りは逆に中心を入れない。4寸の芯去りは基本的に40センチ以上の丸太でないと取れない。樹齢も50年以上は必要となる。芯持ちは20センチクラスでも取れる。 
 
もちろん太い年数の経った丸太は高い。細い芯持ち用の丸太は間伐材や太い丸太の3番玉からも取れる。当然安い丸太が大量にある。製材所も売りたいし大工も安い材木を欲しい。で、安物の芯持ちを強いと言い換えて使うようになった。 
 
杉などは一見まっすぐに見える。しかし挽いて見ると微妙に曲がっているものだ。当然芯持ちに挽くと後で曲がってくる。しかも確実に割れる。こんな材料で家を建てることは当社の方針に反する。
 
予算の少ない現場をやる大工は当然芯持ちだけで建てる。後ろめたい気持ちがあるのか芯持ちの方が強いと言うセリフで納得させる。それを言うなら集成材の方がさらに強い。プライドも意地もない大工はプレカットにすぐ切り替えた。 
 
かくして芯持ちは強いと言うセリフだけが生き続ける。お施主様から芯去りで建てる当社に芯持ちが強くないかと…..。そもそも柱も当社では4寸角以上を使っている。通しや肝心なところは5寸以上になる。 
 
ケヤキ信仰や芯去りなど古い昔の言い伝えのようなものまで変な常識が多い。実際にケヤキなども自分で何年も乾燥させて使うような工務店もなくなった。そもそも製材所がなくなって芯去りを買える時代でなくなった。 
 
時代が変わっても硬いケヤキの加工は機械化が難しいので大工もやれないのが普通だ。リフトで持ち上げ手ノミで力を入れて刻む。そんな大工が激減していつか誰もやれない時代が来そうだ。
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大工の勲章

基礎の下に鎮め物と呼ばれる箱を埋める。地鎮祭の時に埋めるように言われていたのです。基礎工事が続く現場は捨てコンを売って明後日から鉄筋組みに入る。作業場では上棟に使う棟札を作った。これにお施主様に書いてもらう。上棟式の際に大黒柱の前にお供えして拝礼する。 
 
ケヤキの刻みは今日も続く。杉のサンダーかけはだいぶ進んで来週には終わる。ケヤキ類も来週には終えて屋根や外壁の材料を加工しないとならない。上棟は18日以降になりそうなので現場搬入が12,3日からになる。いわゆる刻みは来週中で完了し加工に2週間ほどかかる。 
 
加工の合間に刻んだ材料を運んで組み立ての準備をする。足場をかけたりクレーンを手配したり準備が忙しくなる。足場は今日打ち合わせたが予定通りいきそうだ。クレーンも個人の業者なのでなんとかなりそうだ。そして材木だけでなく断熱材や金物等も日を合わせて用意する。 
 
現場監督の私はこれから超忙しくなる。一つでも忘れると現場が進行しなくなるので準備だけはしておく。何回やっても何かを忘れる。その度に建材店を探し回るハメになる。材木にあまり気を取られすぎるのかもしれない。 
 
こんな難しい現場は組み立ても時間がかかる。杉であればキツくても叩けば入る。ケヤキは叩いても入らないものは入らない。仕口を緩く作れと口を酸っぱく言っても聞かない。組んで試してから搬入するのだが加工後の時間の経過で狂う。 
 
赤松や柔らかい木なら加工も組み立ても簡単だ。硬いケヤキでは刻みから組み立てまで苦労の連続だ。機械でできる部分は少ないので全てノミとカンナで仕上げる。体力勝負のきつい仕事で経験のある大工なら誰もやりたがらない。息子のように若くてやる気のある者しかできない仕事だ。こう言う現場は大工の勲章みたいなものだ。
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古民家リフォーム

秋晴れの快適な一日。午前中は図面作成、午後は作業場で打ち合わせ。ケヤキの加工が続くがサンダーがけも進んだ。来週で加工を終えて外壁や屋根などの加工に入る。これが完成しないと上棟できないのです。細部の寸法を図面を描きながら大工や瓦屋と打ち合わせます。現場は基礎工事が進行中で給排水も同時に進行します。 
 
古民家リフォームの広告が今日も入った。今月は中旬から入り始めるので後半は4,5日に一度になる。今年の二月から3ヶ月ほどやった。5ヶ月中断して再開した最初に日に反応があった。前回の広告を見ていたら急に出なくなってどうしたかと思ったらまた出た。 
 
まさに古民家リフォームそのものと言うパターンで築24年の家をどうにかしたいと思っていた。24,5年前には多かった一階二階が段違いになった作りで敷地いっぱいに建っている。直すにもそこそこ金がかかりそうな間取りだ。部屋数が多く細かい仕切りがいっぱいある。 
 
小さい部屋が中廊下を中心に両側に広がる。一階が大きいので両側から日が入らない。だから冬は冷たく特に暖房しない廊下はかなりだと言う。昔大工さんが建てた典型的な家だった。子供も全部独立し夫婦二人になって定年間際もあってどうするか迷っている。 
 
若年層の低収入化とは反対に築年数の経った家をまとまった資金を使ってどうにかしたいと言うのが増えた。少なくとも人生で最大の資産を目の前に今しかないチャンスにかける。60歳といえどもまだ20年以上はここで暮らすことになる。寒いままで我慢か快適な新築かで迷う。 
 
リフォームでも本格的に断熱から水回りまで全て変えると新築とそう変わらない。工事の難しさから言ったら新築の方が簡単だ。決め手になるのは直進率、一階と二階がどこまで一致しているかだ。段がついていると強度も断熱もすごくやりにくい。 
 
こう言った悩みをお持ちの方は相当いるだろう。住宅会社を回って話を聞いても今風のこ洒落たものしかないので悩む。古民家リフォームはそう言う方にリフォームか新築を昔風の家作りで応えようと言う企画だ。
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遣り方

今朝は早くから現場集合。大工と基礎、給排水が集まる。遣り方を出してお施主様立会いで最終決定。これでいよいよ基礎工事の始まり二なる。すでに浄化槽設置や給排水も基礎にかかる部分はできている。 
 
遣り方はすべての部分の基準になる。周囲の地盤の高さはもちろん、玄関や勝手口の入り口高さまで決まってしまう。あとで外構工事のアスファルトや舗装まで決まる。基礎工事では掘る深さが決まるから残土量までわかる。 
 
ベタ基礎が多いので残土が大量に出てくる。基礎部分だけを掘る布基礎では掘る部分だけだ。ベタ基礎の場合は周囲はもちろん中までコンクリートなのですべて掻き出して砕石を入れる。コンクリートはたくさん入るが鉄筋を組む手間は逆に早い。 
 
もちろん強度的にも優れているし耐震性もよくなる。地盤調査の結果から判断するのだが長い目で見れば強いに越したことはない。瓦葺きなので重量もあって荷重がかかる。 
 
午前中は遣り方出しに来た大工は作業場へすぐ戻る。ケヤキの加工がなかなか進まずまだまだかかりそうだ。早出、残業で息子が頑張るのだがいかんせん手間がかかる。カンナがけ一つ取っても杉などに比べ一回で削る厚さが違う。ほとんど削れていないのでは思うほどで何回もかける。 
 
ケヤキは刻んでからすべて組んでみる。組み立ての時にすんなりいくかどうかはケヤキなど仕口が入るかどうかで決まる。ケヤキはキツイと重量があるため掛矢などで叩いても入らない。杉は柔らかいのでめり込んでくれるがケヤキは難しい。 
 
そういう努力はなかなか素人にはわかってもらえない。刻みが下手だとか間違っていると思われてしまう。事前に組んでみても上棟の時に木が曲がって入らない場合も多い。何にしてもケヤキ同士の組み合わせとか連結は大変だ。
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高原

昨日に続き暖かく所謂小春日和。現場は給排水が完成し明日から遣り方出し。大工が朝から杭を打ち貫で水平を出して基礎スミを出していく。いよいよ建物の位置と形が見えてくる。 
 
昨日も天気が良く久しぶりに七時雨高原に行った。途中の山でツルとか野バラとかを家内が採集する。実は昨年も行ったのだが高原のロッジは11月初旬で閉店だった。今年はなんとか間に合って食事と風呂に入った。前に来たのは子供達が小さい時で七時雨鉱泉とレストラン、売店などがあった。 
 
売店の前には池があってアヒルとかいたような気がする。今はただの小屋になって池もガマの穂で埋まっている。アヒルだって飼うには経費がかかるだろうし売店も来客数が減ったのだろう。閉鎖中は安比高原にロッジを経営してそちらだけになる。 
 
久しぶりに高原を車でドライブして秋晴れの快適な1日になった。思えばスキーに夢中になっていた頃以来来たことがなかった。奥中山高原も熱心に通ったものだが10年以上ご無沙汰だ。息子や娘もたまに来ている。 
 
気のせいか建物が古くなり昔ほど人もいないし寂れた感じにだ。来客も私と同年代の夫婦連れが多くて活気が感じられない原因かもしれない。確かヒバ造りだった建物ももはやただの古い小屋にしか見えない。 
 
スキー場やロッジなどは若者であふれていた時があった。今は昔をなつかしむ中高年しか寄らない。どこへ行っても地方の衰退とか高齢者で溢れている気がする。自分も中高年なのにどこか寂しい気がする。
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