青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

090-1060-9764

登り梁

昨日に続き大工たちと拾い出し。午前中にはお施主様も作業場にお見えになった。加工中の様子とか材木の感じを見たいと言うことだ。木が好きな方はたまにいらっしゃるが曲がりや大梁くらいのものだ。今度の方は普通の材木とかフローリングの材まで見たがる。それだけ熱意があると言うことだ。 
 
今度の現場は二階天井が屋根なり勾配になる。だから登りの梁がかかる。普通は屋根垂木が尺五寸ピッチで登りにかかる。これを3.5寸角でかけて野地板を見せる。昔の家は天井がないのが多かった。現代は水平に天井があるのが当たり前だ。 
 
二階はすべて水平天井でなく上り勾配の野地現しの勾配天井にになる。かなり印象が昔の家のようになる。作ること自体は難しくないが材料や手間がかかる。すべて現しと言うことは仕上なければならないからだ。 
 
暖房の関係で吹き抜けが大きくなって三角になる。そこに熱が溜まる傾向がある。それをどうやって処理するかだがファンをつけるのが一般的だ。煙出しとかつけると抜く時は有効だが寒くなる。もう一つは上が暗くなりがちで明かりが欲しくなる。 
 
今回は煙出はつけないで壁からの明かりでカバーする。開口を大きく取り上はあえて暗くする。熱はファンでカバーする。換気とか熱の問題は現代の住宅である以上無視する訳にはいかない。問題点はなくはないのだが。


拾い出し

昨日も一日材木の選定と入れ替え。大工たちは構造材の私はフローリングとか仕上げ材の選定。加工業者が下見に来て搬入と時期を決める。トラックを借りて持ち込みしないとならない。持ち込みが基本だからだ。 
 
フローリングは11月にならないと現場搬入はない。構造材は10月の上棟までに完成させる。まずは基本的な4寸角と5寸角を拾い出しをして曲がり捻れをプレーナーを通して取る。当社はほとんど現しになるので露出する面を見ないとならない。 
 
材木は一等材、一無、二無のヤクモノに分ける。一等材は通称並角と言い節が多い。一無二無は一面無節、二面無節のことだ。今回は製材所から購入するものもある。価格はヤクモノは並角の2倍はする。 
 
節の有無だけでなく目が真っ直ぐでないとヤクモノとは言えない。丸太から製材するのだから目が斜めになったりする。こう言うのは建ててから曲がる確率が高い。だからと言って皆はじいてしまうと製材所は商売にならない。多少は大目に見るのが普通だ。 
 
大工たちは刻む際に曲がる方向を見て壁になる面に向ける。逆だと押さえるものがないので曲がってしまう。材木の選定はある意味一番重要と言える。真剣に何度も一本ずつ転がしながら見る。 
 
拾い出した材木は大きく挽いて乾燥してあるので寸法が大きい。曲がりを修正しながら一定の寸法に鉋掛けして削る。上下の小口には使う場所とか現しの面の方向が書いてある。昔は竹でできた墨さしだったが今はマジックで書く。間違って濡らしてもにじまない。 
 
ここまできてやっと墨付けの準備完了となる。拾い出しの段階である程度仕上がりのイメージができてしまう。特に大黒や曲がりが入るとこれでほぼ構造は決まる。普通は棟梁が相方と二人でじっくり時間をかけてやる。
CIMG4995

CIMG4997

kk7bL


手刻みの家

今日も作業場で加工、選定。機械が故障して急ぎ修理をする。何ヶ月か使用しない期間があって調子がでない。新たに仕入れした分も含め現場分は揃った。製材所から仕入れた分は乾燥していて無節の約物揃いですばらしい。 

減りつつある製材所だが集中化もあってそれなりに忙しい。丸太も山のように積んであるし在庫もたまっている。賃挽きが主だが自社分の丸太も仕入れしている。少ないとは言え在庫も揃っている。 
 
良い丸太を仕入れして乾燥在庫するのが基本なのだが資金繰りは厳しい。大黒や曲がりは矢無を得ないとしても杉などは在庫したくない。乾燥材がないから仕方なく在庫したが製材所の販売が調子よくない。売れないってことだ。 
 
手刻みの減少で無垢の材木が売れなくなった。宮大工とか一部の和風住宅くらいしか手刻みをしない。一般的に手刻みは無節の良材を使う現場が主だ。となると丸太買いをするにも高い丸太を仕入れないとならない。 
 
20年前に比べると丸太もだいぶ下がった。それでも丸太代と賃挽き工賃にさらに乾燥する必要がある。資金負担はそれなりかかる。製材所は仕事確保のために丸太と挽いた材木の置き場を提供する。つまりただで貸すってことだ。 
 
もちろんそれに甘えていると在庫管理が疎かになり紛失する。丸太や材木は印を付けないと誰のモノか分からなくなる。スプレーなどで色を付けたりするが製材所も動かしたりするので分からなくなる。嫌なら自分の倉庫に仕舞えと言うことだが狭いのであまり置けない。 
 
ナンダカンだと苦労する手刻みだが完成した家を施主が喜ぶのを見るとまたやりたくなる。少なくともプレカットではあり得ない家作りであることは確かだ。


木取りと墨付け

ナンダカンだとオリンピックも終わった。いつもなら高校野球を見るのがすっかりオリンピックだ。東京都知事選挙から続いてそちらに注目を持っていかれた。台風の影響もあってすっきりしない天気が続く。 
 
作業場では今日から大工が二人体制になった。先週引っ張りだした材木を今日から鉋掛けをして寸法を決める。栗の土台、柱や胴差しに使う杉の4寸角など基本となる材木を加工する。寸法を決めたら墨付けをして刻む。 
 
大黒や梁など見栄えのするところは広葉樹で作る。杉などに比べ乾燥が十分でないと割れたり曲がったりする。しかも固くて加工そのものも難しい。体力勝負のきつい仕事でやりたがらないのもいる。 
 
プレカット時代は加工や刻みが不要で大工の技術そのものが変わってしまった。刻みをするには材木に墨付けをする。何十年もやったことがない者やまったく経験がない者までいる。現場が極端に少ないので見たり経験すらできない。 
 
木取りから墨付けまでできるのがいないと手刻みの古民家はできない。一人では負担が大きく相棒が必要だ。建てる時は組み立てるのでプレカット大工でも何とかなる。人数がいないと進まないのであちこちから集める。 
 
今は木取りから墨付けに入るところだ。先週息子と二人で倉庫をひっくり返して材木を選んだ。修正挽きをするものと作業場の機械で加工できるものを分けた。刻みは土台から始まり二階の床まわり胴差し、二階の屋根周り桁へと続く。母屋など横が終わってから柱など縦になる。二人で概ね1月はかかると見込んでいる。  
 
設計者である私の役目はと言うと細部の意匠の打ち合わせがある。図面があるので大工はだいたいはできるが細部の寸法やデザインなどは相談の上決める。設計者がすべてではなく大工の意見を聞きながら自分のイメージを伝えていく。 
 
設計者の中には大工の意見を聞くと自分のイメージが壊れると言うのもいる。強引に自分の意見を通すことになる。経験豊富であればそれもアリだがよく知らないのにやると中途半端でクレームのもとになる。


材木の選定

今日も作業場で息子と材木選定。来週からもう一人大工が来て刻み開始。メインの4寸角五寸角はなんとか揃う。追加で製材所から買ったので数は間に合う。問題は大黒や梁などの見柱などだ。つまり見せ所ってことだ。 
 
フォークリフトが故障し製材所から借りたリフトで狭い作業場であちこち動かす。100坪近いとは言え在庫が入ると動くところがない。残念なことに倉庫の外が狭くて道路まで積んである。あまり通行がないとは言え近所迷惑なことではある。 
 
丸太などはどうしても外で乾燥するから道路脇に積んでしまう。崩れたりすると危ないので本当はまずい。まあ平たく積むようにはしている。材木も大黒など広葉樹は何年も置くので整理するたびに外に出す。あまり雨には当てられないのだが矢無を得ない。 
 
その広葉樹をざっと挽いて荒挽きと言うが選定する。使う材の寸法と露出の程度で荒挽きしたのから選ぶ。これがなかなか難しく何度も挽き直すこともある。思うような目が出ないとか腐っていたとかだ。外はきれいでも中心部が腐っているのはよくある。切った小口を見ればある程度わかる。 
 
見せ場である梁や大黒はすべての面が見えるとは限らない。下からしか見えないとか片面だけが出るとか様々だ。その場面で使う材を選ぶ。太さとかは重要だからある程度目が悪くても寸法は重要視する。 
太さは素人でも分かりやすいので施主のなかには不満を持ったりすることもある。しかし縦横すべての材を太くしても良い訳ではない。全体のバランスで空間の大きさに比例しているのが重要だ。すべて太い柱で建てたこともあったが大してインパクトがない。要はメリハリだろうと思う。