青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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設計の世界—–点と点

世間には建築家と呼ばれる人が沢山いる。地方の片田舎には希としても都会にはいや世界には沢山いる。素人には思いもつかない建物を次々と繰り出す。そしてそれはまるで魔法のようでもある。

まだ高校生の頃に進学先を文系か理系かに分けられた。確たる信念もない私は数学が不得意なので教師の一言で文系に進んだ。興味もないのに成績のランクで大学を決めても大した疑問もなかった。

学園紛争が激しい入学当時、学校はストで封鎖されて授業もなく寝てばかりいた。暇つぶしにバイトをして小遣いを稼ぐ。バイト先でまだ返還されてなかった沖縄からきた若者と出会った。彼は画家志望で夜は絵画学校へ通っていた。DSC_0588

いつしか友達になり絵画学校へ一緒に通うよう誘われる。前から絵は得意で好きだったが画家と言う職業はイメージできなかった。それでも昼はバイトで夜は一諸に学校へ通った。授業の面白くなかった大学よりよほど熱心に通って友達もできた。

結局大学卒業まで絵の学校は通うことになる。就職もバイト先の出版社にそのまま彼と一緒に入社する。いろいろあって職を変え帰郷して建材メーカーの営業になった。仕事で設計事務所へ営業に行ってその仕事ぶりにかなりの興味を持った。

何度か廻り道をして営業から設計に進んだ。その時は学校を出てから15年も経っていた。必死で仕事をこなし設計者らしくなるのにさらに10年もかかる。その時になって建築デザインも絵画も同じ思考をすることに気がついた。100_2912

結局オリジナルのものは建築でも絵画でも同じだ。モノマネでなく真にオリジナルな創造は他人と似ていないことが基本だ。住宅のデザインはほとんどが誰かのモノマネだ。メーカーや雑誌などのイメージに左右される。

絵画と大きく違うのは施主の意向と金を使って自分のモノでないものを作る。その所為か自分の意思を最後まで押し通すことが難しい。また施主の好みに振り回されて完璧を求めるのも難しい。まるで障害物レースのようなものだ。

設計者が自己完結のために施主の意向を無理に曲げることも多い。作品主義的建築家に多いパターンだ。私は逆に自分の意向をある程度絞って選択肢を狭くすることにした。手刻みの真壁と言うポリシーは崩さないようにした。100_2884

仕事のチャンスを逃す結果にになってもやむを得ない。こちらに興味を示さない方が多かろうと思ったが施主の意向を無視したりすることもない。自分のやり方に意気投合してくれる方があれば理想だと思った。

他と違うやり方で家を建てたり設計をしたい。その考えに至る時に原点が学生時代の絵画学校にあると気がついた。画家の教師の他人と違う何かを追求すると言う教えは今でも生きている。

アップル社のスティーブジョブズ氏は卒業式のスピーチで点と点を結ぶ重要性を述べた。絵画学校で学んだことは当時は職業に何も影響を与えなかった。25年もしてから真の設計者になろうとして点と点が結びついてきた。

若い時に興味をもって何かに夢中になるのは後で実を結ぶ。資格取得や学校の卒業と違って自分の興味だけで学んだものは強い。その影響力は悩んだり大きく変えようとした時に発揮される。熱心に取り組めば取り組むほど影響力は強い。

真にオリジナルなものはモノマネと違って時間が経ってもあせない。長く業界にいると流行り廃りは全てメーカーが主導しているのがわかる。職人や手による仕事は利益の追求を基にしたメーカーより満足度が高い。長く持つ施主のための仕事は利益追求とは明らかに別の視点に立っている。100_2984


設計の世界—–リフォーム

日本の住宅の寿命は27年と短くアメリカの44年イギリスの75年と比較して消費型の住宅となっている。資源の無駄使いや環境破壊につながり見直しが急務となっている。平成18年の住生活基本法の制定により作って壊すフロー型の社会から長く使うストック重視型へ転換が図られている。

今後は単なる建て替えから、愛着を持って住み続けて世代を超えて長く使うためのリフォームの時代になっている。若い方の中古住宅を購入リフォームして新居とするのが増えている。

中古での購入にはメリットがある。比較的広めの敷地と庭園や塀があって予算も手の届く金額になっている。全面リフォームではインテリアは新築のようになりコストをかけずに住まいが手に入る。

築20年になるとトイレキッチンや浴室などの設備機器、給排水設備は取り替えになる。外壁や屋根も手直しや交換も必要だ。和風から洋風へのモダンなデザイン変更も可能になる。100_1068

リフォームのタイミングとしてはライフステージやライフスタイルの変化と老朽化に伴う維持などがある。機能低下や汚れなどをきっかけに本格的なリフォームになる例が多いようだ。各部分の耐久性や手直し時期は以下の通りになる。

瓦屋根—–50年以上の耐久性がある瓦ですが割れやズレは5年ごとの点検が必要だ。スレート瓦などは20年くらいで寿命になる。

金属屋根—–15年前のカラートタンは錆びや変色で塗り直しが必要だ。それ以降のガルバリウム製はもう少し寿命があるが20年くらいで塗り直しが必要だ。どちらも塗り直すと寿命は短くなり5,6年で再塗装が必要だ。

雨樋—–金属、塩ビ製どちらも20年前後で交換になります。つまりは定期的にチェックが必要だ。
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外壁のモルタル—–ひび割れは発見次第補修する。20年くらいで仕上げ材の全面吹き替えも必要です。

外壁サイディング—–セメント系は5年くらいしたらシーリングを10年後には全面再塗装も必要です。ガルバリウム系の鉄板は15年くらいで再塗装が必要だ。

外壁の板張り—–5年ごとの点検と劣化が見られれば再塗装が必要になる。20年くらいは保ちます。

柱梁などの構造—–シロアリの害虫被害や雨漏りは早急に手直しが必要だ。リフォームの場合は耐震性を高めるための追加措置が必要です。100_0953

クロス—–個人の趣味嗜好があるので個人差がある。15年から20年で張り替える。

建具—–アルミサッシの寿命は30年くらいあるが断熱を考慮すると高性能樹脂サッシに交換する。

断熱—–一番進歩したのが断熱材だ。グラスウールからウレタンやポリスチレンなどの高性能型に交換する。

設備機器—–トイレ、キッチン、浴室は20年くらいが寿命なので最新型に交換する。仕様により金額の差が大きいので十分な知識と勉強が必要だ。リフォームのメインとなる例がほとんどだ。DSC_0557

耐震性や省エネは一番の目的なので十分に検討し設計しなければならない。耐震性は1981年から2000年の間に建てられた住宅は基礎の仕様、柱梁の接合金物、耐力壁のバランスの検討をしければならない。

省エネは平成26年からポイント制が始まり省エネリフォームで最大30万ポイントもらえる。次世代省エネルギー基準(省エネルギー等級4)には最低でもクリアするようにする。2020年より義務化される低炭素建築物認定には難しいとしても将来的にも省エネのレベルは高くなっていく。


設計の世界—–どこで建てる

『そろそろ家を持ちたい』『建売それともハウスメーカー?』『マンションにするか一戸建て?』
家を考え始めた時、多くの方はモデルハウス巡りが多いようだ。ホームページであれこれ調べたりも今は普通になった。これが初めて何千万もする家の買い方のパターンだ。

何も準備や知識もなく展示場へ行くと『営業マンの感じがよくて、親身になって話を聞いてくれる』『どこに頼んでも似たようなもの』『宣伝もしているし聞いたことがある会社だから』『有名な会社だからでたらめな筈がない』。こんな感じで何ヶ月かで契約してしまうなんてのも多そうだ。

実際に展示場に行くとモダンで流行りの現代風の外観、オプションたっぷりの最新設備、豪華な風格のある和風など今より格段に便利で良い暮らしができそうな感じがする。インテリアコーディネーターがレイアウトしたモダンな家具やインテリア小物、高そうな照明器具はすべてオプションにおしゃれな暮らしができそうに思える。100_0989

しかしその前にやるべきことがある。住まいについて考え、調べ、時間をかけることだ。新しい家で自分たちがどんな暮らしをしたいか、家族でそう言う風に暮らしたいのか自問自答するべきです。次に家つくりにはどんな選択肢があるか調べないとなりません。ホームページとかネットで情報収集してください。

時間がかかる家つくりは十分に時間をかけることが大事だ。一生ローンを払い続けるのに準備期間何ヶ月かで、契約してからは3ヶ月で完成、どこかおかしくないでしょうか。時間をかけて調べたり衝動買いはできるだけ避けたいものだ。それには十分な時間をかけるべきです。

とりあえず家族で住宅雑誌などを見ながら相談をしてみてください。
1.どんな暮らしがしたいのかを書き出す。食事はどんな風にしたいか。リビングの椅子はソファか座のスタイルか。リビングは食堂と繋げるのか。リビングは和室と繋げるのか。床は無垢材か。収納は多めか。………..。希望の生活や好きな素材、生活スタイルなど好みと習慣をまとめていきます。100_0923

2.雑誌などから好きな住宅、インテリア、レストラン、ホテルなどの写真や例をあげていきます。そっくり真似はできないにしても好きなのは何かが見つかります。そして思いついたポイントをデザインのエッセンスとして取り入れるのも方法です。

3.住宅関連の情報、資料を集めて手掛かりにする。書店などで住宅雑誌や書籍を選んで数冊読んでみてください。自社の工法や住宅を売らんがための本や他社の非難をするものなど色々検討してみるべきです。

4.そうして家つくりに可能な選択肢を知ることが大事です。展示場だけでなく色々な建て方を比較検討し自分には何が向いているか知るべきです。100_1049

そんなに難しく考えなくても普段何げなく見ているものの中から思い出してください。レストランに入った時にグルっと見廻し仕上げのことや明るさや庭が眺められるのが気に入ったとか注意するだけです。心地よさの分析をしてみてください。

そして何社か検討し展示場やメールなどで打ち合わせたり絞っていきます。そこで肝心なことは自分たちの希望を取り入れてくれるの業者を探すことです。営業マンがいる会社はほとんどが決められたプランを提案する。オーダーを言っても各社の仕様から選ぶので金額がその都度跳ね上がっていく。扱う素材や工法以外に自然素材とかシックハウス対策などはあまり重視していない。

工務店は地域の木で建てるとか長持ちする家は得意とする。一般的に建てる工事のノウハウはあってもデザインのクオリティやシックハウスの知識が不足する。設計の専門家のような空間の美しさ、建築としての完成度、緻密に考え抜かれたプラン、センスなどは劣ります。100_0939

当社は住宅の設計に30年以上の経験と管理技術を持った建築士がいます。長年のノウハウは地域材の手刻みの家つくりには必ずやご満足いただけます。最新の技術や工法を取り入れた古民家のような家つくりが可能です。

さらに作業場を持ち自社大工を置いて手刻みの技術は十分な経験を持っています。天然乾燥した柱や梁材の在庫はもちろん大黒柱や曲がりも選ぶことができます。良い設計家はそれを可能にする技術と在庫がなくてはできません。さらに経験があれば鬼に金棒です。


設計の世界—–建築家

建築家と呼ばれる設計の専門家がいる。一般的にはハウスメーカーなどの設計担当や営業がプランをまとめる例が多い。住宅専門の建築家もいるがビルや店舗などに多い。

建築家に依頼するメリットはプロの知識と知恵と経験をアドバイスできるところだろう。家つくりと言う一大プロジェクトでは自分たちだけでこれから始まる家つくりに立ち向かわなければならない。

業者が見えない部分はコストを下げてとか自分たちに本当に向いたプランかとか提示された予算は本当に適正化とか全て自分で判断しないとならない。IMG_2130

建築家と言う建主の代理人がいれば、業者に建主の代わりに確認したりデータやサンプルを証明してもらったりできる。プロの立場で建主に代わり発言力を発揮してアドバイスしてくれる。

建築家との家つくりは標準仕様、企画プランはない。必要なもの、不必要なものを自分たちの生活に合わせ取捨選択します。予算が少ないなら安くてもいい材料を探したりする。コストをかけるべき部分は充実させ予算を独自に割り振りすることができる。

これが出来合いの建売住宅やメーカーの企画プランだと、アレンジできると言ってもメーカーの契約の商品や材料からしか選べない。建築家の場合は基本的に自由な変更とそれに伴う見積もりをすることができる。CIMG3564

簡単に言うと建築家の作る住宅は完全なオリジナル住宅で、建主の希望に沿った建物が同程度のコストとクオリティの高いものができると言える。予算も含め真に建主の側に立った家つくりが主導できる。

住宅メーカーなどの設計者は提案やアイディアを提示するよりユーザーと同じ視点で設計をしている。『いかに自社に効率よく成績を上げる』『利益を確保するか』『自社の商品を組み合わせる』などが主で『建主ごとの形が違う、一つの空間や工法を提供する』ことはできない。

当社で木造に経験を積んだ一級建築士が設計監理をしている。工務店形式をとりながら建築士が主導し経営まで行っている。ただ建てることが目的の工務店とは一線を画している。

しかしながら建築家は通常設計監理しかできないので、自分で丸太の選定や材木の選定を行わない。あくまで工務店の仕事の範疇はできない場合がある。木にこだわった家つくりには木の選定は必須で仕上がりを大きく左右する。CIMG3570

工務店は在来の伝統ある工法を駆使し耐久性や耐震性に金物や合板に頼らない技術を持っている。そういう分野が近年職人不足や技術の低下で廃れてきた。当社はそう言う伝統の家つくりを通して技術を生かした家つくりをしている。

近年耐震性とか省エネ性が重視されて長期優良住宅とか低炭素住宅、スマートハウスなど新しい住まいつくりが増えている。目新しさに目を奪われてつい健康素材とか構造材などに低コストのものが使われる例もある。

使いやすく長持ちのする家つくりは素材の丸太から始まる。伝統の技術に新しい金物や断熱材で現代の基準をクリアした家をつくっている。単に表面的な自然素材ではなく本物の木を使った家つくりができる。

建築家の良いところと工務店の良いところを取り入れ建主優先の木の家を作ることができる。伝統的な技術だけでなく最新の技術を常に取り入れ基準を上回る家を建てることが可能だ。CIMG3385


設計の世界—–木の家

仕事でお会いした方は何人になるのだろうか。見学会や直接事務所へお越しいただいた方など数えきれない。見学会などは一度に何十人にもなるし全部にしたら何百人になるのだろう。どちらかと言えば人に会うのが苦手なのにすごい数だなと思う。

木の家つくりを始めた頃とその前では客層が少し違っている。前は友達とか親戚、同級生など旧知が多かった。その後は文字通り木の家つくりがメインで見学会や広告での方が多い。多少オーバーラップはするが明らかに別なのだ。これからも木の家つくりしかないので、まだお会いしたことがない方が増えるだろう。

思うのは木の家と言っても受け取り方はかなり違う。私などは本格的な真壁の漆喰で田舎風とかとにかく木がメインの家と思い込んでいる。最近は仕上げのイメージが強く構造材とか真壁のイメージはあまりない。プレカットにプラスターボードの大壁で仕上げが板張りなら木の家なのだ。CIMG3956

何度も書くように家は構造材ありきで仕上げは従と思うのだが、仕上げが全てでそれがデザインと思う方もいる。最初は自然素材とか木の家とかイメージしていると途中から集成材のカウンターとか少しずつイメージが違ってくる。

違和感を感じるのは私だけでなく、二度三度会うごとにイメージが離れていく。今までで一番多いパターンである。私的には本格的な木の家つくりを希望していると勝手に思うから中途半端な終わり方になる。

設計も請負も商売なのだから契約できないと話にならない。業者と打ち合わせるといつもこの事に注文を付けられる。簡単に言うと施主に合わせてなりなりに妥協しろと言うことだ。妥協でなければすり合わせて契約に至るようにと言うことだ。CIMG3967

あまり生真面目すぎるとか杓子定規すぎると言われることがある。自分の思い込みが強く施主の意向を察していないのではとも思うこともある。その反面自分の信念に反しておかしいと思うことができるのか。信念を貫いた結果、選ぶのは施主であるとするか。

サラリーマン時代には営業会議では目標達成に向けて自分の意見を述べる。いつも出来そうもないことを言うのもいて自分には言えないと思った。自営になり売り上げは大事だからそうもいかないのもわかる。

子供達が小学校に入ったころ家族でスイスに遊びに行ったことがある。妹夫婦が転勤でスイスにいたからだがいわゆる観光コースではなく自分たちで歩き回った。道に迷ったり英語が通じなくて鉄道に乗れなかったり色々な経験をした。普通のアパートに住んでいたので住宅事情もわかる。DSC_4811

スイスの住宅は借り物が多く土地は借りて建物だけ建てる。貴族とか大地主がいて全域を所有しているからだ。規制が厳しく屋根とか外壁は色や仕様が決められている。防火も厳しく木造に見えてもコンクリートの上に板を貼っている。テレビなどで見るあの調和の取れた風景は規制によって作られる。

もちろん古い建物も残っているので勝手に改装とか壊すことができない。環境規制も厳しいのでマキストーブとかガス器具もご法度だ。電気の床暖房や温水器になっている。コンクリートないしは石作りなので内部は板を貼ったり漆喰になっている。

デザインはインテリアデザインが多くて家具やカーテン類が主だ。日本のように外観から屋根の色まですべて自由となると選ぶ方も大変だ。スイスは外壁の素材も決められるので似たような感じにしかできない。建材のような仕上げ方は内部しかできない。

中国とか東アジアが世界の注目を浴びるとその文化も世界へ普及する。日本の食文化とかアニメなどオタク文化は世界で通用する。家の建て方も通用するかもしれない。少なくとも建築家は世界で活躍する方が増えた。アメリカでは日本家屋が富裕層に受けている。DSC_4806

ヨーロッパなどの規制一辺倒の統一とは逆に個性的で自由な統一感のない日本式がアジアでは受けている。便器とかユニットバス、サッシ類などの機器から始まって外壁材とかビニールクロスなどが普及するかもしれない。安く簡単にイメージを変えることができるからだ。

これからの家の建て方も世界の動きと連動していくかもしれない。建材などの産業は日本だけを相手にできなくなって機器から海外を目指す。規制などの基準も世界に合わせていくようになる。それに連れてデザインも大きく変わっていく。

建築技術や設備関係は世界的な評価は高い。住宅も世界に通用するものがこれから開発されるだろう。製造規格が世界向けになり日本の規格も変わることだろう。デザインの考え方も変わるからいつまでも過去に囚われないないようにしないといけない。施主もドンドン変わっていくので経験だけにしがみ付くと遅れていく。