青森県八戸市の一級建築事務所 建築組 パックス有限会社

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屋根断熱

午後から雨の予報で朝から暖かい。予報通り昼から雨が降り夕方にはやむ。大工が4人に増えて屋根を完成させる。野地合板を貼り破風、刀刃をつける。やっと本屋の屋根の完成である。朝から瓦屋の社長が来て瓦割りの寸法を出す。瓦は寸法が決まっているから総幅は決められる。つまり合わせると言うことだ。 
 
今回は特に欠きがあって四角でない。玄関の上は二階がないからだ。下から順序に瓦が乗ってキリの良いところで上の瓦が始まる。半端が出ると一番上で調整するから下は半端が入れられない。ただの四角であれば上のノシを積む時に調整する。 
 
しかも今回は屋根断熱であるからそちらの都合もある。何やかんやで大工たちはこんがらかってしかも瓦屋の親父は声が大きくて…….現場は混乱する。現場では声の大きさが通りの良さと比例する。大声で言えば通るのだ。棟梁である息子が押しまくられると瓦屋の言う通りになる。 
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何とか話はついて断熱も規定通り40ミリ3枚重ねができた。これだけの和風住宅で断熱が大きいのも珍しい。ほぼ最高ランクだ。お施主様の意向もあり暖かく快適な家を望まれた。正確に言うと奥様の意向が働いたと言うべきか。 
 
本当は屋根は垂木現しをやりたかった。本格的な和風は皆そうなっている。野地も無節で現しだと綺麗なものだ。しかしこの場合でも瓦屋は野地が薄くて瓦桟を打つ釘が出る。わざわざ短い釘を用意する。もちろん効きが甘く良い顔をしない。あちら立てればこちらが立たず…..少し意味が違ったかな。 
 
普通の家であれば屋根断熱でも建て方4日目くらいに野地ができる。今回は何と13日目になった。今後が心配になってくる。これからサッシをつけて壁断熱のウレタンを張ってから下屋になる。そして今度は垂木現しでまた瓦を葺く。そこまでいって外部が塞がる。外壁を張る準備ができることになる。いつになったらここまで行くのか。


ストーブ煙突

冷え込んで一面真っ白に霜が落ちた。現場は屋根が完成していないのでシートを被せてある。そうしないと凍って屋根に上がれなくなる。9時ごろには溶けて上がれるがアルミ箔のはった断熱材は滑りやすい。午前中は支払いやら図面、午後から現場へ行って確認して事務所に戻る。 
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屋根から煙突が出るので箱を作る。箱の中から煙突が立ち上がる。引っ張り線とか金具などを使わない場合は箱で出すよりない。箱は木造だが外部はサイディングとか板金で囲う。今回はお施主様自身がステンレスの覆いを作る。加工屋さんなのでお手の物だ。 
 
雪割も一体で作る予定だ。煙突カバーはタイルを貼ったり板金で作る場合が多い。ステンレス加工でやるのは少ない。もちろん高いからで本当は一番完璧だろうと思う。薪ストーブは煙突が命でこの仕様次第で燃えが大きく変わる。一番良いのはストーブ本体からまっすぐ立ち上げる。 
 
まっすぐ立ち上げると屋根を貫通するからその処理が大変だ。特に瓦の場合は複雑な取り付けと見た目の問題がある。煙突フラッシングで瓦の間から直接上がる方法がある。見た目もスッキリで工事も簡単だ。欠点は長い目で見た場合に雨漏りの心配があることだ。cimg5525 
その点瓦おさまりも風に対する強度でも箱で立ち上げるのが良い。工事費がかかるのと大袈裟な箱が木になる方もいる。洋風であればタイルを貼ったりそれなりにデザインできるので問題がない。和風はストーブ煙突と相性が悪い。今回はステンレスの一体製作で初の試みだ。そんな仕上がりになるか見ものだ。


煙突カバー

今日は冷え込んで周りの山々は白く雪が残る。朝からトラックを借りる予定だったので息子とお施主様の会社へ行く。そのまま倉庫へ行って二人で積み込み。昼までかかって必要な分を積んで現場へ。昼食後降ろしてトラックを返す。事務所へ戻り支払いとか事務手続き。 
 
現場は遅れていた屋根が強風で今日もできず。2回目の断熱までできて屋根垂木をかけて間にまた断熱材を入れる。そして野地の合板を張ると完成だ。瓦なので軒先や妻側は刀刃とか瓦座をつける。瓦の寸法があるので瓦割をして合わせないといけない。板金とか他の方式なら考えることもない。 
 
板金の屋根が主流の当地では瓦はどちらかと言うと予算的に余裕がある方だろう。その所為もあってあれこれとこだわる方が多い。瓦は和瓦と洋瓦があって和瓦は俗にいぶし瓦と呼ばれるのが多い。いわゆる和風住宅で使われる瓦である。価格的にも荷重がかかる点でもガッチリした構造が要求される。 
 
瓦屋は当地では1箇所しかなくなった。他は廃業もしくは撤退で現場数が少ないので苦労しているようだ。瓦屋は要所にモルタルを詰めるので左官業者の心得もある。ノシを積んだりキワの納めは黒いモルタルで作る。 
 
今回は薪ストーブの煙突があるので少し複雑な納めになる。お施主様が鉄工業なので自分で煙突のカバーを製作する。黒の塗装のステンレス外装になる予定だ。煙突も黒塗装でステンレスなので違和感はない。 
 
ところが問題はカバーの厚さと言うか重さだ。自分のものだから普通なら1ミリ以下の板なのに3ミリ厚にすると言う。大きさもあって持ち上げるだけで一苦労のものになる。施工はもちろん大工だから3人くらいで持ち上げることができるかどうかが問題だ。 
 
多分30キロ以上だと言われるから足場も不十分な屋根の上で簡単かどうか心配なのだ。大工たちはなんとかなるさと鷹揚なものだ。こちらはもしクレーンを呼ぶとかの騒ぎになったら相当な予算オーバーになる。作るのがお施主様なのが何とも気の揉める話であはある。


家の香辛料

昨日は久しぶりに休んだ。事務所も作業場も現場も行かなかった。家で薪割りや残材処理をした。それだけでもお昼までかかった。午後からいつもの温泉に行く。戻って孫と遊んで相撲のテレビ観戦。 
 
今日は朝から湿っぽく昼近くから雨になる。現場はシートですっぽり覆って濡れないようにする。今日から応援の大工が来る予定だったが明日からになった。屋根は2枚目の断熱まで進んで最後の屋根垂木になる。都合3枚重ね。フラットのこう断熱の基準だから仕方がない。 
 
和風には断熱工事が難しい。真壁には外断熱が基準だが屋根は垂木現しだから入れるところがない。野地板の上に三枚重ねるよりないのだが垂木や母屋現しができない。野地板現しの勾配天井は見た目も構造現しも綺麗に出る。もちろん使う材木も最高級のものに限る。 
 
普通ならフレどめに板を打ち付けてやるが現しは貫を通し込栓をする。これがなかなか良いのだが手間がかかる。材料だって無節の柾目になるから高くつく。こう言う時のために適当な材料から良い目のものは抜き取って貯めている。それが生かされる時になると貴重なわけだ。 
 
古民家風はいかに材料を様々持っているかが重要だ。ちょっとしたところにさりげなく使えるものがあるとグッと引き締まる。設計とかデザインとか全体だけでなく小さなことに差が出る。良いアディアと良い材料が香辛料のように家を引き締める。


二階屋根現し

今日は午後一番で県民局のバスツアーが来る。中は危険なので外から見ていただく。予想通りと言うか材木の太さにびっくりしたようだった。なかなか見ることのない現場なのでさもありなんと言うところだ。現場は大工と水道屋が入る。屋根が何とか塞がったので雨が降っても大丈夫だ。 
 
ここの特徴に屋根の垂木現しと二階床現しがある。昔の家は二階が屋根垂木現しが普通だった。天井があるのは一回のみで二階は個室か物置と言う扱いだった。蔵や大きな倉庫の二階などは皆そうなっていた。大きな梁や垂木は丸見えだったのだ。cimg5519 
 
屋根垂木は普通は二つ割を使うがこちらは3.5寸角を45センチピッチで登りでかける。野地板は現しだから仕上がっている。見せるのだから無節で羽目板加工をしている。突きつけでなく填め込むようになっている。あとで乾燥して隙間が出ないようになっている。 
 
それが7間の幅いっぱいに連続する。部屋の天井になっているのもあるしロフトになっているところもある。全て見えて仕上げが同じだ。施工する側から言えば材料費と手間が膨大だ。無節の角をカンナがけして見せる。振れ止めは束に貫を通して込栓をする。 cimg5514
 
二階の天井はレトロな仕上げの塊なのだ。私は二階の造作に一番力を入れている。普通の家では到底味わうことのないレトロでリッチな空間が広がる。もちろんすぐ近くには太い曲がりがあって薄暗い天井の迫力を増している。この面白さは見た者しかわからない。